原作前日常編
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夢主視点
「じいさん、足の調子はどうだぁ?」
「おう、アンタに貰った軟膏のお陰で大分ラクになったモンだ」
「そろそろ無くなる頃だと思って追加持ってきたぜぇ。あと買い物してぇ」
「好きなモン買ってきな! ……ところで、後ろの若造は連れかい?」
水菓子屋の爺さんに尋ねられて、シルビは家からずっと付いてきているトラファルガーに溜め息を吐いた。
薬を買いにきたのかと思えば何の説明も無しに『仲間になれ』と勧誘してきた男。咄嗟にシルビが断ったのはそれが麻薬取引や毒薬精製の『仲間』だったら嫌だからである。
いや多分そういう悪事とは関わりもないのだろう。トラファルガーからは死臭や薬品臭はしても麻薬特有の甘ったるいような匂いはしない。匂いから察するにトラファルガーは医者か医事に携わる者なのだろうが、あちらが何の説明もしてこない以上、シルビは『仲間になれ』の一言で仲良くしてやるつもりなど毛頭無かった。
ただでさえこの『世界』は、昔に比べて海の治安が悪くなっている。大海賊時代だか何だか知らないが海を無意味に汚すのは止めてもらいたい。それにシルビにとって海賊とは恩人の『ジャック』の下だけで充分だ。
新鮮な林檎があるからと爺さんに薦められアップルパイかリゾットでも作るかと購入し、他に買う予定だったレモンを受け取って振り返ればトラファルガーと目が合った。無視するべきか、それとも時間的に昼食を誘うべきか。
少し考えて、結局何も言わずともこのまま付いて来そうだと思って声も掛けずに歩き出した。
シルビがこの島へ来るまで空き家だった一軒家は町外れにある。この島に居た医者へ聞きたいことがあって島を尋ねてきた当初は宿住まいだったが、医者が心臓発作で別の島へ移され、残されたシルビが薬品の保存管理を兼ねて薬師をやり始めると、町民達が勧めてくれた家だ。
元は核家族が住めるほどの大きさだが、調合した薬品を置いている為住居スペースは結果的にあまり広くは無い。勝手にリフォームして半分を薬局にしていることもあって、客を泊めることもままならないだろう。
そんなシルビの家でもトラファルガーは気にすることなく敷居を跨ぐ。シルビが勧誘に快諾するまで付きまとうつもりなのかもしれない。
往診の最中もずっと付いて来ていた事を考えると、暇なのかと思う。
「……アレルギーは」
「メシ作ってくれるのか」
「いらねぇなら外で待ってろぉ。食わねぇ奴と同席する趣味は無ぇ」
「パンは嫌いだ」
それはアレルギーではなく好き嫌いだ、と思ったものの、面倒だったので言い返すのはやめた。
「じいさん、足の調子はどうだぁ?」
「おう、アンタに貰った軟膏のお陰で大分ラクになったモンだ」
「そろそろ無くなる頃だと思って追加持ってきたぜぇ。あと買い物してぇ」
「好きなモン買ってきな! ……ところで、後ろの若造は連れかい?」
水菓子屋の爺さんに尋ねられて、シルビは家からずっと付いてきているトラファルガーに溜め息を吐いた。
薬を買いにきたのかと思えば何の説明も無しに『仲間になれ』と勧誘してきた男。咄嗟にシルビが断ったのはそれが麻薬取引や毒薬精製の『仲間』だったら嫌だからである。
いや多分そういう悪事とは関わりもないのだろう。トラファルガーからは死臭や薬品臭はしても麻薬特有の甘ったるいような匂いはしない。匂いから察するにトラファルガーは医者か医事に携わる者なのだろうが、あちらが何の説明もしてこない以上、シルビは『仲間になれ』の一言で仲良くしてやるつもりなど毛頭無かった。
ただでさえこの『世界』は、昔に比べて海の治安が悪くなっている。大海賊時代だか何だか知らないが海を無意味に汚すのは止めてもらいたい。それにシルビにとって海賊とは恩人の『ジャック』の下だけで充分だ。
新鮮な林檎があるからと爺さんに薦められアップルパイかリゾットでも作るかと購入し、他に買う予定だったレモンを受け取って振り返ればトラファルガーと目が合った。無視するべきか、それとも時間的に昼食を誘うべきか。
少し考えて、結局何も言わずともこのまま付いて来そうだと思って声も掛けずに歩き出した。
シルビがこの島へ来るまで空き家だった一軒家は町外れにある。この島に居た医者へ聞きたいことがあって島を尋ねてきた当初は宿住まいだったが、医者が心臓発作で別の島へ移され、残されたシルビが薬品の保存管理を兼ねて薬師をやり始めると、町民達が勧めてくれた家だ。
元は核家族が住めるほどの大きさだが、調合した薬品を置いている為住居スペースは結果的にあまり広くは無い。勝手にリフォームして半分を薬局にしていることもあって、客を泊めることもままならないだろう。
そんなシルビの家でもトラファルガーは気にすることなく敷居を跨ぐ。シルビが勧誘に快諾するまで付きまとうつもりなのかもしれない。
往診の最中もずっと付いて来ていた事を考えると、暇なのかと思う。
「……アレルギーは」
「メシ作ってくれるのか」
「いらねぇなら外で待ってろぉ。食わねぇ奴と同席する趣味は無ぇ」
「パンは嫌いだ」
それはアレルギーではなく好き嫌いだ、と思ったものの、面倒だったので言い返すのはやめた。