ゾウ編
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シャチ視点
堅苦しい報告だけをとりあえず話し合い終えたらしい船長達が部屋から出てくる。その後ろにはバンダナとペンギンの姿。
ペンギンはさっき被っていなかった防寒帽を被っていて、船長の後ろでバンダナに何か言われて言い返していた。それはやっぱりいつも通りのペンギンで、襲撃でジャックと対峙していた時の雰囲気はどこにもない。
やはり気のせいだったのだろうと考えるシャチの目の前で、ベポとワカメを筆頭にクルー達が我先にと船長とペンギンへ飛びつきに行くのに、シャチも急いで駆け寄った。船長へ飛びつくのはやはり一ヶ月以上別行動だったからだが、ペンギンにも飛びつくのは全員があの重傷を見ているからだろう。
「キャプテーン!」
「ベポ、歩けねえ」
「知らないんすか。この国じゃコレがフツーなんですよ!」
「お前らミンク族じゃねえだろ!」
モコモ公国の風習をここぞとばかりに出してきて船長にベタベタと触れにいく皆に、シャチも船長に飛びつくかせめて話しかけたいなと思っていたところで、ふとイルカと話していたペンギンがシャチを呼んだ。
イルカが船長へタックルをしにいくのと入れ替わりにペンギンへと近付けば、ペンギンの包帯が巻かれた両腕が背中に回る。
「ちょっ、ペンギン!?」
「――心配かけて、ごめん」
すとん、と落とされた謝罪に言葉が喉に詰まった。ジャンバールが気付いてこちらを見ているが、見るなとも言えない。
シャチはあの時、気を失う寸前ではあったけれど、ペンギンの腕が切り落とされるのを目撃してしまっていた。ジャックに当たることなく跳んだ銃弾が炎の輪を潜って消えるところも、全体重が掛かったであろう腕に曲刀の先が突き刺さるところも、見ていたのだ。
もしあの時ペンギンが痛みに叫んでいたなら、もしかしたらシャチはもう少し抵抗していたかも知れない。仲間に、ペンギンに何をするんだと勝ち負けの問題ではなく動いただろう。でもペンギンは叫びもしなかった。
片足と両腕を失って、麦藁の一味が来てやっと肩の荷を降ろしたペンギンが、もう二度と目を覚まさなかったらどうしようと。
「っぅ、ぐ……にっ、……二度とすんなバーカ!」
史上最高額の賞金首だとかそんなことはどうでもいい。ただ目の前であんな大怪我をされるのはもう嫌だった。
「なんだよシャチ、泣いてんのかよー」
「うるせー……」
「ミンク族や麦藁屋達にからかわれたくなかったら泣きやめよ」
船長が帽子の上から軽く頭を叩いてくる。
「う、はいっ」
堅苦しい報告だけをとりあえず話し合い終えたらしい船長達が部屋から出てくる。その後ろにはバンダナとペンギンの姿。
ペンギンはさっき被っていなかった防寒帽を被っていて、船長の後ろでバンダナに何か言われて言い返していた。それはやっぱりいつも通りのペンギンで、襲撃でジャックと対峙していた時の雰囲気はどこにもない。
やはり気のせいだったのだろうと考えるシャチの目の前で、ベポとワカメを筆頭にクルー達が我先にと船長とペンギンへ飛びつきに行くのに、シャチも急いで駆け寄った。船長へ飛びつくのはやはり一ヶ月以上別行動だったからだが、ペンギンにも飛びつくのは全員があの重傷を見ているからだろう。
「キャプテーン!」
「ベポ、歩けねえ」
「知らないんすか。この国じゃコレがフツーなんですよ!」
「お前らミンク族じゃねえだろ!」
モコモ公国の風習をここぞとばかりに出してきて船長にベタベタと触れにいく皆に、シャチも船長に飛びつくかせめて話しかけたいなと思っていたところで、ふとイルカと話していたペンギンがシャチを呼んだ。
イルカが船長へタックルをしにいくのと入れ替わりにペンギンへと近付けば、ペンギンの包帯が巻かれた両腕が背中に回る。
「ちょっ、ペンギン!?」
「――心配かけて、ごめん」
すとん、と落とされた謝罪に言葉が喉に詰まった。ジャンバールが気付いてこちらを見ているが、見るなとも言えない。
シャチはあの時、気を失う寸前ではあったけれど、ペンギンの腕が切り落とされるのを目撃してしまっていた。ジャックに当たることなく跳んだ銃弾が炎の輪を潜って消えるところも、全体重が掛かったであろう腕に曲刀の先が突き刺さるところも、見ていたのだ。
もしあの時ペンギンが痛みに叫んでいたなら、もしかしたらシャチはもう少し抵抗していたかも知れない。仲間に、ペンギンに何をするんだと勝ち負けの問題ではなく動いただろう。でもペンギンは叫びもしなかった。
片足と両腕を失って、麦藁の一味が来てやっと肩の荷を降ろしたペンギンが、もう二度と目を覚まさなかったらどうしようと。
「っぅ、ぐ……にっ、……二度とすんなバーカ!」
史上最高額の賞金首だとかそんなことはどうでもいい。ただ目の前であんな大怪我をされるのはもう嫌だった。
「なんだよシャチ、泣いてんのかよー」
「うるせー……」
「ミンク族や麦藁屋達にからかわれたくなかったら泣きやめよ」
船長が帽子の上から軽く頭を叩いてくる。
「う、はいっ」