ゾウ編
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ロー視点
「治せ」
命じればペンギンはわずかに顔を上げて、ローとバンダナを見てから左手で指を鳴らして指先へ灯した黄色い炎を腕の傷口へと押し当てた。熱くはなく火傷することもなく、ひだまりの様な暖かさが腕に当たる。
皮膚を血が出る程度に切っただけの傷はすぐに治り、炎を消したペンギンが腕を降ろすのに手を伸ばしてその頭へ手を乗せた。
「お前が死んでたら、シャチ達もオレも死んでたと思え」
ゾウの襲撃の際、ペンギンは最も襲撃の妨害をしていたらしい。
ドレスローザで、シャイタンは炎で多くの国民を救っていた。
逆に考えればペンギンがそれをしなければもっと犠牲が出ていたということで、更に言うならペンギンがその過程の何処かで死んでいても同じ事だ。だとすればペンギン自身がどうなってもいいという考えは誰にも肯定されない。
救えなかったと悔やむことは知っている。フレバンスや麦藁の兄のエースがそうだ。だが今のペンギンは『ローのモノ』である。
「船長命令だ。自分の命も大事にしろ」
「……ごめんなさい」
無意識かどうか、了解の返事ではないそれに舌打ちをしたくなった。だが、バンダナが無言で首を振るのにローは何も言わずペンギンの頭から手を離す。
嘘を吐いたってそれがロー達の為なら構わない。隠し事もそうだ。苦労だってクルーに因るモノだったら背負ってやる。
だが、もう失うのは御免だ。
「――それで、どうするんですかい?」
使った消毒液や使わなかったガーゼを棚へ戻しながらバンダナが聞いてくる。指を鳴らして藍色の炎を灯し、防寒帽をどこからともなく出現させて被ったペンギンが帽子を押さえたまま俯いた。
顔を隠したいらしい。
「仕方ねえから『死告屋に治してもらった』で通すしかねえだろ。オレだって代わりの手足がねぇと繋げられねェんだ」
その点、オペオペの実やチユチユの実どころか悪魔の実の能力者ではないくせに、ペンギンは代わりの腕が無くとも繋げることが出来るのだろう。他にも幽霊を見たり海の上へ立ったりと謎が多すぎる男だ。
棚へ片づけ終えたバンダナがペンギンへ近付いて、その頭へデコピンを食らわせる。僅かに首を反らせたペンギンが深く息を吐いて顔を上げた。
「ミンク族にもそのまま騙し通します。ルフィ君達がどう動くのかは分からねぇけど彼らは一応全員『死告シャイタン』を知ってるし、ロビンもいるから大丈夫かと」
「黒足屋達とは会ってねェだろ」
「会ってます。顔は見られてませんけど」
ドレスローザでペンギンが来る前にゾウへ向かったであろうメンバーの事を考えて言うも、ペンギンは断言する。『死告シャイタン』との面識があるのならそれに越したことはないだろうが、いつ会ったのかが少し気になった。
「治せ」
命じればペンギンはわずかに顔を上げて、ローとバンダナを見てから左手で指を鳴らして指先へ灯した黄色い炎を腕の傷口へと押し当てた。熱くはなく火傷することもなく、ひだまりの様な暖かさが腕に当たる。
皮膚を血が出る程度に切っただけの傷はすぐに治り、炎を消したペンギンが腕を降ろすのに手を伸ばしてその頭へ手を乗せた。
「お前が死んでたら、シャチ達もオレも死んでたと思え」
ゾウの襲撃の際、ペンギンは最も襲撃の妨害をしていたらしい。
ドレスローザで、シャイタンは炎で多くの国民を救っていた。
逆に考えればペンギンがそれをしなければもっと犠牲が出ていたということで、更に言うならペンギンがその過程の何処かで死んでいても同じ事だ。だとすればペンギン自身がどうなってもいいという考えは誰にも肯定されない。
救えなかったと悔やむことは知っている。フレバンスや麦藁の兄のエースがそうだ。だが今のペンギンは『ローのモノ』である。
「船長命令だ。自分の命も大事にしろ」
「……ごめんなさい」
無意識かどうか、了解の返事ではないそれに舌打ちをしたくなった。だが、バンダナが無言で首を振るのにローは何も言わずペンギンの頭から手を離す。
嘘を吐いたってそれがロー達の為なら構わない。隠し事もそうだ。苦労だってクルーに因るモノだったら背負ってやる。
だが、もう失うのは御免だ。
「――それで、どうするんですかい?」
使った消毒液や使わなかったガーゼを棚へ戻しながらバンダナが聞いてくる。指を鳴らして藍色の炎を灯し、防寒帽をどこからともなく出現させて被ったペンギンが帽子を押さえたまま俯いた。
顔を隠したいらしい。
「仕方ねえから『死告屋に治してもらった』で通すしかねえだろ。オレだって代わりの手足がねぇと繋げられねェんだ」
その点、オペオペの実やチユチユの実どころか悪魔の実の能力者ではないくせに、ペンギンは代わりの腕が無くとも繋げることが出来るのだろう。他にも幽霊を見たり海の上へ立ったりと謎が多すぎる男だ。
棚へ片づけ終えたバンダナがペンギンへ近付いて、その頭へデコピンを食らわせる。僅かに首を反らせたペンギンが深く息を吐いて顔を上げた。
「ミンク族にもそのまま騙し通します。ルフィ君達がどう動くのかは分からねぇけど彼らは一応全員『死告シャイタン』を知ってるし、ロビンもいるから大丈夫かと」
「黒足屋達とは会ってねェだろ」
「会ってます。顔は見られてませんけど」
ドレスローザでペンギンが来る前にゾウへ向かったであろうメンバーの事を考えて言うも、ペンギンは断言する。『死告シャイタン』との面識があるのならそれに越したことはないだろうが、いつ会ったのかが少し気になった。