ゾウ編
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ロー視点
物思いへ耽るようにペンギンが包帯の巻かれた自身の両腕を見下ろす。その姿を見るとローがいない間に何かがあったことは明白で、しかし詳細は未だに分からない。
ただ分かることはペンギンが『死告シャイタン』としてドレスローザへいた頃、同日同時刻にもゾウへ『ペンギン』がいて負傷したのだろう事だけ。しかしペンギンはローに対し『自分が死告シャイタンである』と宣言している。
ドレスローザで話をした『死告シャイタン』はペンギン本人だった。それはローも確信している。アレがペンギン本人ではないなどと認めない。
ではゾウでクルー達が見ていた『ペンギン』は誰なのかという話になる。
ペンギンが言う通り本当は『死告シャイタン』が存在して、それがドレスローザへ来ていたのか、それともペンギンと入れ替わってゾウにいたのか。
「……とにかく、最初から話せ」
「船長がパンクハザードで降りてから……」
「ミンク族が騒いでる“襲撃”のとこからでいい」
「半月程前に四皇のカイドウの部下である『干害のジャック』が手勢を連れてモコモ公国へ襲撃に訪れました。ハートは夜の王であるネコマムシの旦那の預かりとなっておりましたが、ベポの種族の故郷であることもあって加勢。戦闘は数日続きました」
「それで、五日目にペンギンの足が踏み潰されて毒ガスを撒かれました……」
「踏みっ……それで?」
ペンギンの言葉を継いでイルカが申し訳なさそうに話した内容にも驚くが、それではまだ両腕が残っている。クルー達は腕がどうのと騒いでいたのだ。
「毒ガス散布後、ジャック達がイヌアラシ公爵やネコマムシの旦那を拷問にかけたんですけど、一番ジャック達の邪魔をしてたペンギンも磔にされて」
「それでも抵抗しようとしたから両腕を、その」
「き、斬り落とさ――うぅっ」
その時の光景を思い出したのかベポが言葉を詰まらせて泣き出す。歩み寄ったペンギンが包帯の巻かれた手でベポを宥めるように抱きしめた。
「大丈夫だぁベポ。ちゃんと両腕あるだろぉ? もう痛くも無ぇから泣くなぁ」
「うわぁああああん! ペンギン死んじゃうかと思ったあああああ!」
大声を上げてペンギンを抱きしめ返し泣くベポに影響されて、シャチやワカメやイルカまでペンギンへしがみついている。当のペンギンは苦笑してベポ達を宥めるのに一生懸命のようだった。
ドレスローザでローもドフラミンゴへ片腕を切り落とされた訳だが、ペンギンの怪我はそれより酷い。なのに大丈夫なのかと考えていると『死告シャイタン』に運ばれてきてからずっと黙っていたバンダナが、こっそりとローの腕を叩いた。
「……ペンちゃんのアレ、嘘ですからね」
物思いへ耽るようにペンギンが包帯の巻かれた自身の両腕を見下ろす。その姿を見るとローがいない間に何かがあったことは明白で、しかし詳細は未だに分からない。
ただ分かることはペンギンが『死告シャイタン』としてドレスローザへいた頃、同日同時刻にもゾウへ『ペンギン』がいて負傷したのだろう事だけ。しかしペンギンはローに対し『自分が死告シャイタンである』と宣言している。
ドレスローザで話をした『死告シャイタン』はペンギン本人だった。それはローも確信している。アレがペンギン本人ではないなどと認めない。
ではゾウでクルー達が見ていた『ペンギン』は誰なのかという話になる。
ペンギンが言う通り本当は『死告シャイタン』が存在して、それがドレスローザへ来ていたのか、それともペンギンと入れ替わってゾウにいたのか。
「……とにかく、最初から話せ」
「船長がパンクハザードで降りてから……」
「ミンク族が騒いでる“襲撃”のとこからでいい」
「半月程前に四皇のカイドウの部下である『干害のジャック』が手勢を連れてモコモ公国へ襲撃に訪れました。ハートは夜の王であるネコマムシの旦那の預かりとなっておりましたが、ベポの種族の故郷であることもあって加勢。戦闘は数日続きました」
「それで、五日目にペンギンの足が踏み潰されて毒ガスを撒かれました……」
「踏みっ……それで?」
ペンギンの言葉を継いでイルカが申し訳なさそうに話した内容にも驚くが、それではまだ両腕が残っている。クルー達は腕がどうのと騒いでいたのだ。
「毒ガス散布後、ジャック達がイヌアラシ公爵やネコマムシの旦那を拷問にかけたんですけど、一番ジャック達の邪魔をしてたペンギンも磔にされて」
「それでも抵抗しようとしたから両腕を、その」
「き、斬り落とさ――うぅっ」
その時の光景を思い出したのかベポが言葉を詰まらせて泣き出す。歩み寄ったペンギンが包帯の巻かれた手でベポを宥めるように抱きしめた。
「大丈夫だぁベポ。ちゃんと両腕あるだろぉ? もう痛くも無ぇから泣くなぁ」
「うわぁああああん! ペンギン死んじゃうかと思ったあああああ!」
大声を上げてペンギンを抱きしめ返し泣くベポに影響されて、シャチやワカメやイルカまでペンギンへしがみついている。当のペンギンは苦笑してベポ達を宥めるのに一生懸命のようだった。
ドレスローザでローもドフラミンゴへ片腕を切り落とされた訳だが、ペンギンの怪我はそれより酷い。なのに大丈夫なのかと考えていると『死告シャイタン』に運ばれてきてからずっと黙っていたバンダナが、こっそりとローの腕を叩いた。
「……ペンちゃんのアレ、嘘ですからね」