ゾウ編
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夢主視点
「つまり? 襲撃の途中からペンちゃんは本物のペンちゃんじゃなくなってて? 本物はドレスローザで船長達と色々やってて? こっちで手足千切れさせてたのは影武者的なアレだってか?」
「影武者……まぁ、影ですねぇ。武者ではありませんけれども」
「それで船長がゾウへ着いたから向こうと別れて、何事もなかったかのようにこっちで合流しようとしたと」
「……はい」
「何事もなかったかのように」
「ぅ……」
シルビが説明した話を整理して、バンダナはしかし怒っていることに変わりはないのか正座して小さくなっているシルビを見下ろしていた。
もう一応『死告シャイタン』の格好からツナギへ着替えている。防寒帽は血がベットリ付いてしまっていて、誰かが洗ってくれたのだろうが血が落ちきらなかったらしく斑らに汚れていた。
“イブリス”を信頼して何事も無かったかのように戻ってきたというのに、状況は予想以上に最悪でゾウの面々にとってシルビは『両腕と片足を失った状態』になっている。それだけジャックの手勢へ苦戦させられたという事なのだろうが、何はともあれ今のところバンダナ以外と顔を合わせることは出来ない。
襲撃後からシルビは昏睡状態で世話をしているバンダナ以外部屋に立ち入り禁止になっているらしいので、この部屋へいる限りでは安全でもある。だがシルビが戻ってきたのは船長がゾウへまでやってきたからで、もう少しすれば船長やルフィ達もズニーシャの足を登ってモコモ公国へ到着するだろう。そうなればハートのクルーかミンクの誰かが、船長へシルビの負傷を伝えるだろうことは必須だ。
船長はシルビがドレスローザへ居たことを知っているから不可解に思いもするだろうが、とにかくシルビの負傷の件を聞けば必ずやってきて尋問するに違いない。
三肢欠損なんてしていなければまだ誤魔化せた。せめて欠損した姿を誰にも見られていなければワンチャンスだっただろう。
だがどちらも既に叶わない。
「ペンちゃんのさあ、その先を考えないガムシャラなとこは尊敬するよ」
「褒めてませんよね、それ」
「分かったかい。そりゃ嬉しいね。……どうすんだい?」
三肢欠損と同時刻に二カ所へ同時に現れていたことの説明。特に前者は船長だけではなくハートの皆だけでもなく、目撃していただろうミンク族にも説明しなければいけなくなってくる。
実に面倒くさい。
床に正座したままシルビは腕組みをして唸る。バンダナは怒っているものの一応シルビに協力はしてくれるつもりらしい。
同時刻に二カ所。欠損した一人と欠損なんてしていない一人。シルビは一人でシルビが『死告シャイタン』で。
誤魔化さなければいけない人数は大勢。
「『死告シャイタン』を捏造しましょう」
もうそれしかない。
シルビが『死告シャイタン』であることを知っているのは、ハートの中でも船長とバンダナとシャチの三人だ。その内『ペンギン』がちゃんとゾウへ居たことを知っているのがシャチとバンダナである。
しかし同時に船長はドレスローザでシルビと会っていた。ドフラミンゴとの闘争の最中、『ペンギン』と呼ばれかけたり『ペンギン』として会話したりしていたのでそれは確定事項である。
新聞にも世界配信の映像でも少しだけとはいえ『死告シャイタン』は映ってしまっていたが、それに関してバンダナは既に真実を知ったばかりで、シャチはまだ会っていないので新聞を見たかどうか分からない。だがまぁシャチはどうにでもなるだろう。よってバンダナとシャチは解決したことにする。この前提がないと次にいけない。
次の問題としては船長とゾウに居たハートのクルー達の認識の齟齬だ。船長はドレスローザでシルビと出会っていて、しかしハートのクルー達にとってシルビはずっとゾウから出ていないことになる。
だがここで糸口になるのが世間的に『ドレスローザへいたのは死告シャイタン』であるという認識だ。
シルビこと『ペンギン』はゾウから出ていない。そしてシルビは今まで何度か『死告シャイタン』との繋がりをほのめかしていた。いつか全員へ話すつもりでほのめかしていただけだったのだが、これが使える。
「『死告シャイタン』は俺の知り合い説。これでいこぉ!」
「んな乱暴な」
「乱暴でも突き通しますよ俺はぁ! ドレスローザからルフィ君達と共にゾウまで来たシャイタンは、彼らと別れた後ふと思い立って知り合いのペンギンへ顔を見せに来た。だが再会したペンギンは三肢欠損。シャイタンは呆れながらもペンギンの手足を再生させて今度こそゾウを立ち去る! どうですかこれぇ!?」
「どうって言われてもねえ。だいたい『死告シャイタン』って潰れた手足を再生出来んのかい? オペオペの実を食ってる船長ですら代えの手足が無くちゃ接合手術は出来ないんだよ?」
「問題ありません」
何せドレスローザで船長の腕を繋げているのだ。あの時はチユチユの実の能力者だったマンシェリー姫も居たとは言え、その後の治癒能力も見られているので言い訳は捏造出来る。
「それならアレでしょう? 幻覚の鎖の説明も多分必要になったら楽です。何でもかんでもシャイタンのせい」
「つまりペンちゃんのせいだと」
「バンダナさんはワカメ達に何か言われたら『シャイタンがやってきてペンギンの手足が生えた』って感じでお願いします」
「船長はどうすんだい」
「後で改めてちゃんと説明します。……しなきゃ駄目でしょう」
バンダナが物言いたげな目でシルビを見た。
「つまり? 襲撃の途中からペンちゃんは本物のペンちゃんじゃなくなってて? 本物はドレスローザで船長達と色々やってて? こっちで手足千切れさせてたのは影武者的なアレだってか?」
「影武者……まぁ、影ですねぇ。武者ではありませんけれども」
「それで船長がゾウへ着いたから向こうと別れて、何事もなかったかのようにこっちで合流しようとしたと」
「……はい」
「何事もなかったかのように」
「ぅ……」
シルビが説明した話を整理して、バンダナはしかし怒っていることに変わりはないのか正座して小さくなっているシルビを見下ろしていた。
もう一応『死告シャイタン』の格好からツナギへ着替えている。防寒帽は血がベットリ付いてしまっていて、誰かが洗ってくれたのだろうが血が落ちきらなかったらしく斑らに汚れていた。
“イブリス”を信頼して何事も無かったかのように戻ってきたというのに、状況は予想以上に最悪でゾウの面々にとってシルビは『両腕と片足を失った状態』になっている。それだけジャックの手勢へ苦戦させられたという事なのだろうが、何はともあれ今のところバンダナ以外と顔を合わせることは出来ない。
襲撃後からシルビは昏睡状態で世話をしているバンダナ以外部屋に立ち入り禁止になっているらしいので、この部屋へいる限りでは安全でもある。だがシルビが戻ってきたのは船長がゾウへまでやってきたからで、もう少しすれば船長やルフィ達もズニーシャの足を登ってモコモ公国へ到着するだろう。そうなればハートのクルーかミンクの誰かが、船長へシルビの負傷を伝えるだろうことは必須だ。
船長はシルビがドレスローザへ居たことを知っているから不可解に思いもするだろうが、とにかくシルビの負傷の件を聞けば必ずやってきて尋問するに違いない。
三肢欠損なんてしていなければまだ誤魔化せた。せめて欠損した姿を誰にも見られていなければワンチャンスだっただろう。
だがどちらも既に叶わない。
「ペンちゃんのさあ、その先を考えないガムシャラなとこは尊敬するよ」
「褒めてませんよね、それ」
「分かったかい。そりゃ嬉しいね。……どうすんだい?」
三肢欠損と同時刻に二カ所へ同時に現れていたことの説明。特に前者は船長だけではなくハートの皆だけでもなく、目撃していただろうミンク族にも説明しなければいけなくなってくる。
実に面倒くさい。
床に正座したままシルビは腕組みをして唸る。バンダナは怒っているものの一応シルビに協力はしてくれるつもりらしい。
同時刻に二カ所。欠損した一人と欠損なんてしていない一人。シルビは一人でシルビが『死告シャイタン』で。
誤魔化さなければいけない人数は大勢。
「『死告シャイタン』を捏造しましょう」
もうそれしかない。
シルビが『死告シャイタン』であることを知っているのは、ハートの中でも船長とバンダナとシャチの三人だ。その内『ペンギン』がちゃんとゾウへ居たことを知っているのがシャチとバンダナである。
しかし同時に船長はドレスローザでシルビと会っていた。ドフラミンゴとの闘争の最中、『ペンギン』と呼ばれかけたり『ペンギン』として会話したりしていたのでそれは確定事項である。
新聞にも世界配信の映像でも少しだけとはいえ『死告シャイタン』は映ってしまっていたが、それに関してバンダナは既に真実を知ったばかりで、シャチはまだ会っていないので新聞を見たかどうか分からない。だがまぁシャチはどうにでもなるだろう。よってバンダナとシャチは解決したことにする。この前提がないと次にいけない。
次の問題としては船長とゾウに居たハートのクルー達の認識の齟齬だ。船長はドレスローザでシルビと出会っていて、しかしハートのクルー達にとってシルビはずっとゾウから出ていないことになる。
だがここで糸口になるのが世間的に『ドレスローザへいたのは死告シャイタン』であるという認識だ。
シルビこと『ペンギン』はゾウから出ていない。そしてシルビは今まで何度か『死告シャイタン』との繋がりをほのめかしていた。いつか全員へ話すつもりでほのめかしていただけだったのだが、これが使える。
「『死告シャイタン』は俺の知り合い説。これでいこぉ!」
「んな乱暴な」
「乱暴でも突き通しますよ俺はぁ! ドレスローザからルフィ君達と共にゾウまで来たシャイタンは、彼らと別れた後ふと思い立って知り合いのペンギンへ顔を見せに来た。だが再会したペンギンは三肢欠損。シャイタンは呆れながらもペンギンの手足を再生させて今度こそゾウを立ち去る! どうですかこれぇ!?」
「どうって言われてもねえ。だいたい『死告シャイタン』って潰れた手足を再生出来んのかい? オペオペの実を食ってる船長ですら代えの手足が無くちゃ接合手術は出来ないんだよ?」
「問題ありません」
何せドレスローザで船長の腕を繋げているのだ。あの時はチユチユの実の能力者だったマンシェリー姫も居たとは言え、その後の治癒能力も見られているので言い訳は捏造出来る。
「それならアレでしょう? 幻覚の鎖の説明も多分必要になったら楽です。何でもかんでもシャイタンのせい」
「つまりペンちゃんのせいだと」
「バンダナさんはワカメ達に何か言われたら『シャイタンがやってきてペンギンの手足が生えた』って感じでお願いします」
「船長はどうすんだい」
「後で改めてちゃんと説明します。……しなきゃ駄目でしょう」
バンダナが物言いたげな目でシルビを見た。