ゾウ編
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バンダナ視点
ジャックによる襲撃から十日が経った。ミンク族の怪我も癒え始め、襲撃で町が破壊されてしまったとはいえミンク族は夜型も昼型もそれぞれ落ち着きを取り戻し始めている。
ただし二人の王はジャック達によって行なわれた拷問の影響でまだ目覚めていない。それから、両腕と片足を失ったペンギンもだ。
ニュースクーの運んできてくれた新聞に、船長がいるのだろうドレスローザの記事が乗っている。その記事によれば王下七武海の一人だったドフラミンゴがトラファルガー・ローと麦藁のルフィによる海賊同盟に倒されたこと。それから海軍がドレスローザ国民へ土下座をしたらしい。
どちらも世界的には重大な事件だ。同時にドフラミンゴが倒された日付から、ジャック達が何故退いたのかも理解した。だがそんなことはミンク族壊滅に陥らなかったのでもういい。
バンダナにとっての問題は、もう一つのほうだ。
「……なぁんでドレスローザに、『死告シャイタン』がいるんだろうねえ」
寝台へ横たわり、目元へ濡れタオルを乗せているペンギンは答えない。それもその筈でペンギンはあの襲撃の後からずっと目を覚ましていなかった。
その掛布の下に両腕と片足はやはり無く、手足を失ったペンギンを見てハートのクルーは泣いたり驚いたりでつい先日まで忙しかったのだ。一昨日辺りからやっと自分のせいだと落ち込んでいたベポも元気になって、今もワカメとシャチとジャンバールと一緒に侠客団のところへ行っている。
ただやはり、船長が戻ってきたらアレは泣く。
斬られた両腕は見つかったが、毒ガスと雑菌のせいで接合手術は出来そうに無い。脚に関してはマンモスに踏まれたことで見つかったのは砕けた骨と肉片だけだった。
つまりペンギンの手足はもう、元には戻らない。いくら船長でも、無理なものは無理だ。
「オレは船長になんて言やいいんだい?」
ペンギンの正体は史上最高額の賞金首である『死告シャイタン』だ。それが何故か同日に違う場所で目撃されていることも不思議でならないが、それよりもミンク族達を守る為に五体満足でなくなってしまったペンギンのことを、船長へどう伝えればいいのか分からない。
こんな姿でこの先の航海が出来るはずがなかった。それくらいペンギン自身にだって分かっていたはずだ。
椅子に座って俯いていたバンダナの前で、眠っていたはずのペンギンが起き上がる。両腕が無いにも関わらず滑らかに起き上がったペンギンは、落ちたタオルも気にせずに部屋の外へ繋がる扉を見つめていた。
その眼が『金色』である事に気付いて、バンダナはそういえばペンギンの眼は金色だったかと考えて、“本来の色”を思い出して立ち上がる。
ペンギンの眼は金色ではない。
扉が“三回”ノックされて開かれる。そうして入ってきた人物へ向けて寝台の上の男が笑う。
「あの子は救えたか?」
ジャックによる襲撃から十日が経った。ミンク族の怪我も癒え始め、襲撃で町が破壊されてしまったとはいえミンク族は夜型も昼型もそれぞれ落ち着きを取り戻し始めている。
ただし二人の王はジャック達によって行なわれた拷問の影響でまだ目覚めていない。それから、両腕と片足を失ったペンギンもだ。
ニュースクーの運んできてくれた新聞に、船長がいるのだろうドレスローザの記事が乗っている。その記事によれば王下七武海の一人だったドフラミンゴがトラファルガー・ローと麦藁のルフィによる海賊同盟に倒されたこと。それから海軍がドレスローザ国民へ土下座をしたらしい。
どちらも世界的には重大な事件だ。同時にドフラミンゴが倒された日付から、ジャック達が何故退いたのかも理解した。だがそんなことはミンク族壊滅に陥らなかったのでもういい。
バンダナにとっての問題は、もう一つのほうだ。
「……なぁんでドレスローザに、『死告シャイタン』がいるんだろうねえ」
寝台へ横たわり、目元へ濡れタオルを乗せているペンギンは答えない。それもその筈でペンギンはあの襲撃の後からずっと目を覚ましていなかった。
その掛布の下に両腕と片足はやはり無く、手足を失ったペンギンを見てハートのクルーは泣いたり驚いたりでつい先日まで忙しかったのだ。一昨日辺りからやっと自分のせいだと落ち込んでいたベポも元気になって、今もワカメとシャチとジャンバールと一緒に侠客団のところへ行っている。
ただやはり、船長が戻ってきたらアレは泣く。
斬られた両腕は見つかったが、毒ガスと雑菌のせいで接合手術は出来そうに無い。脚に関してはマンモスに踏まれたことで見つかったのは砕けた骨と肉片だけだった。
つまりペンギンの手足はもう、元には戻らない。いくら船長でも、無理なものは無理だ。
「オレは船長になんて言やいいんだい?」
ペンギンの正体は史上最高額の賞金首である『死告シャイタン』だ。それが何故か同日に違う場所で目撃されていることも不思議でならないが、それよりもミンク族達を守る為に五体満足でなくなってしまったペンギンのことを、船長へどう伝えればいいのか分からない。
こんな姿でこの先の航海が出来るはずがなかった。それくらいペンギン自身にだって分かっていたはずだ。
椅子に座って俯いていたバンダナの前で、眠っていたはずのペンギンが起き上がる。両腕が無いにも関わらず滑らかに起き上がったペンギンは、落ちたタオルも気にせずに部屋の外へ繋がる扉を見つめていた。
その眼が『金色』である事に気付いて、バンダナはそういえばペンギンの眼は金色だったかと考えて、“本来の色”を思い出して立ち上がる。
ペンギンの眼は金色ではない。
扉が“三回”ノックされて開かれる。そうして入ってきた人物へ向けて寝台の上の男が笑う。
「あの子は救えたか?」