原作前日常編
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少年視点
シャチが目を覚ますと目の前にバンダナとワカメの顔があった。驚いて悲鳴も出せずにいるとシャチが目を覚ました事に気付いた二人がホッとしたように息を吐いて、それからワカメがくしゃりと顔を歪ませる。
「うわあああシャチゴメン! 逸れてゴメン!」
「……え」
「オレが逸れなけりゃ一緒にちゃんと逃げられたのに!」
「こらこら、寝起きにそんな大声聞かせるんじゃないよ」
町中で逸れたことを謝るワカメと、それを宥めつつシャチの額に手を当てて容態を見るバンダナに、シャチはゆっくりと起き上がって周りを見回した。
ハートの潜水艦の中の、医務室だ。
寝ているのはシャチだけで他の寝台は空いている。鈍く響く稼動音に船が航海中なのは分かったが、どうしてここに居るのかが分からなかった。
「なんでここに?」
「崖から海に落ちた衝撃で気を失ったんだよ。目立つ怪我は無かったけど目を覚まさなかったから、念の為ここで寝かせてたのさ。気分が悪かったりは?」
「……大丈夫」
「一晩しか経ってないから、今日は安静だね。ほらワカメ、謝るのはもういいから船長に伝えにいっておいで」
シャチのいる寝台にしがみ付いて落ち込んでいたワカメの頭を叩き、船長への報告へ行かせようとするバンダナに、シャチは訊いていいのかどうか迷いながら尋ねる。
「ねぇバンダナ。その……ペンギンは?」
立ち上がったワカメとバンダナが揃ってシャチを見たので、やっぱり聞いてはいけなかったかと思った。だってペンギンはシャチを迎えに来てくれたし、患者がどうのという不安も否定してくれたけど、それはあの場だけの誤魔化しだったかも知れない。
だとしたら『あんな面倒ごとがゴメンだ』と機嫌を悪くしているかも知れず、だったらシャチが気にしていたと知っても困るだけだろう。その事ももう少し話したいと思ったけれど、バンダナとワカメは互いに視線を交わしてからあからさまに視線を逸らした。
「あー……ペンちゃん、ね」
「そうだよなー。心配だよなー……」
「まさか、怪我した……とか」
「それはない。あの程度の高さでしかも下が海で、ペンギンが怪我する事はない。大丈夫」
「で、でも海兵の……」
「それもないね。ペンちゃん異様に強いから」
「能力者?」
「能力者だったら自分から海へ飛び込んだりしないだろ」
どうやら能力者ではないらしい。じゃあ昨日の燃える蝶は何だったのだろうと思いながら、言い難そうにしている二人の次の言葉を待つ。
「ペンちゃんねぇ……二日酔いで死んでるんだよ」
シャチが目を覚ますと目の前にバンダナとワカメの顔があった。驚いて悲鳴も出せずにいるとシャチが目を覚ました事に気付いた二人がホッとしたように息を吐いて、それからワカメがくしゃりと顔を歪ませる。
「うわあああシャチゴメン! 逸れてゴメン!」
「……え」
「オレが逸れなけりゃ一緒にちゃんと逃げられたのに!」
「こらこら、寝起きにそんな大声聞かせるんじゃないよ」
町中で逸れたことを謝るワカメと、それを宥めつつシャチの額に手を当てて容態を見るバンダナに、シャチはゆっくりと起き上がって周りを見回した。
ハートの潜水艦の中の、医務室だ。
寝ているのはシャチだけで他の寝台は空いている。鈍く響く稼動音に船が航海中なのは分かったが、どうしてここに居るのかが分からなかった。
「なんでここに?」
「崖から海に落ちた衝撃で気を失ったんだよ。目立つ怪我は無かったけど目を覚まさなかったから、念の為ここで寝かせてたのさ。気分が悪かったりは?」
「……大丈夫」
「一晩しか経ってないから、今日は安静だね。ほらワカメ、謝るのはもういいから船長に伝えにいっておいで」
シャチのいる寝台にしがみ付いて落ち込んでいたワカメの頭を叩き、船長への報告へ行かせようとするバンダナに、シャチは訊いていいのかどうか迷いながら尋ねる。
「ねぇバンダナ。その……ペンギンは?」
立ち上がったワカメとバンダナが揃ってシャチを見たので、やっぱり聞いてはいけなかったかと思った。だってペンギンはシャチを迎えに来てくれたし、患者がどうのという不安も否定してくれたけど、それはあの場だけの誤魔化しだったかも知れない。
だとしたら『あんな面倒ごとがゴメンだ』と機嫌を悪くしているかも知れず、だったらシャチが気にしていたと知っても困るだけだろう。その事ももう少し話したいと思ったけれど、バンダナとワカメは互いに視線を交わしてからあからさまに視線を逸らした。
「あー……ペンちゃん、ね」
「そうだよなー。心配だよなー……」
「まさか、怪我した……とか」
「それはない。あの程度の高さでしかも下が海で、ペンギンが怪我する事はない。大丈夫」
「で、でも海兵の……」
「それもないね。ペンちゃん異様に強いから」
「能力者?」
「能力者だったら自分から海へ飛び込んだりしないだろ」
どうやら能力者ではないらしい。じゃあ昨日の燃える蝶は何だったのだろうと思いながら、言い難そうにしている二人の次の言葉を待つ。
「ペンちゃんねぇ……二日酔いで死んでるんだよ」