ドレスローザ編
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夢主視点
ローと一緒に甲板へ向かい、シルビは何処かへいるのだろうロビンを探す。宴会会場となっていた甲板には、人数の違いもあるがハートの船で行なわれるそれ以上の見るに耐えない状態が広がっていた。
これを見るとハートの海賊団の宴会は随分と良心的だ。少なくとも後片付けの責任は汚した者にある。飲むときは自己責任を徹底させているだけだが、もしかしたら海賊らしからぬ海賊な気がしてきた。
シャチ達ももうちょっと自由にさせてやるべきかと思いながら、ローから離れ『たまたま同じタイミングで戻ってきた』他人の振りをしてトンタッタ族に囲まれているロビンへと歩み寄る。ローには何も言っていないが、ローだって『死告シャイタンと旧知』と今更知られたくもないだろう。
酒を飲み過ぎてか熟睡しているトンタッタ族を膝に乗せていたロビンは、シルビが傍へ来たことに気付くとシルビを見上げて微笑んだ。
「騒がしいのは嫌い?」
「その為に一人で飲んでたんじゃねぇよ。まぁ月見酒の方が好きだけどぉ」
腰を下ろす動きの間に、さりげなく指を鳴らす動作を混ぜる。音はさせなかったのでロビンには気付かれなかったらしい。
「盗み聞きとはよろしくねぇなぁ」
「あら、随分とはっきり言うのね」
「広められたら困るからなぁ」
「それは泣いたこと? それともトラ男くんに抱きついたこと?」
「……何処から見てたんだぁ?」
ふざけて指摘している訳ではなさそうなロビンへ聞き返せば、ロビンは不思議そうに首を傾げて頬へ手を当てる。
「貴方がお礼を言われてたところからよ。私が思っていたよりも仲がいいのね」
「スキンシップが好きなだけだぁ。……口止めする必要無かったかなぁ?」
「口止めするような事を話していたの? ならもっと早くから聞き耳を立てていれば良かったわ」
ポーズか本音か、飄々と言ってのけるロビンにシルビはゆっくりと手を伸ばした。敵意も何も込めていないそれに、シルビから視線を逸らしていたロビンはシルビの指先が肌に触れるまで気付かない。
いきなり伸ばされた手へ驚くロビンの首を、シルビの指が『貫通』する。
「盗み聞きは、よろしくねぇよ?」
『貫通』した手をスルスルとロビンの首から何の障害もなく彼女の眼球付近へと動かし、しかし眼球にも彼女の肌へも何の傷を付けることなく手を引いた。
「今後も仲良くしていてぇなぁ。なぁ? ロビィ?」
「……そうね」
顔色を悪くしながらも震えを隠しつつ肯定したロビンに、少しやりすぎたかと後悔する。怖がらせるつもりは無かったのだ。
何の抵抗も手出しもしないことを示すつもりで両手を軽く上げて、ロビンがシルビから受けたであろう恐怖心を薄くするよう努力する。誰にも言うなと脅すつもりではあったが、本当には怖がらせるつもりはなかったのだ。
「悪かったよ。んな怖がらねぇでくれるかぁ」
「今のは、なに?」
「俺にしか出来ねぇこと。俺の“敵ではない”君には、せいぜいが一芸として見せる程度の芸だよ」
「芸にしては物騒じゃないかしら」
「もっと“物騒”なものがあるからなぁ。使い方を間違えなけりゃ世界は平和だね」
トンタッタ族の一人が不明瞭な寝言を呟いて寝返りを打つ。表情からしていい夢を見ているのだろう。
「ラム」
「いただくわ」
まだ中身のあった酒瓶を近くへ引き寄せロビンが使っていたらしいグラスへ注ぐ。それを煽る様に一息で飲み干したロビンへ、シルビはちょっと笑って二杯目を注いだ。
「さっきのも秘密で頼むよ」
「言っても仕方ない秘密ね」
「俺はそう思ってねぇよ。世界政府の宿敵『死告シャイタン』と、今回の件で七武海の称号は剥奪されたとしても『トラファルガー・ロー』とが懇意にしているという事実は、俺はともかくローやハートの海賊団を危険に晒すだけでしかねぇ。ましてや彼の船に乗っているとなれば、尚更のこと」
身を隠して乗っている、という事になっているとしても、ハートの海賊団の『ペンギン』と『死告シャイタン』が同一人物であることは本来知られて良いことではない。世間へそれが知られた途端ハートの海賊団は今のようなただの海賊として以上の意味を持つことになり、シルビを部下にしているローへも様々な憶測が付加することになるだろう。
悲しいことに、それらは全てハートの海賊団にとって良くないものであると断言出来る。
ハートの海賊団を好きであるが故にシルビは自分が原因でハートの海賊団をそんな目に遭わせる訳にはいかず、しかし『死告シャイタン』という名前を背負っている以上、その危険を孕み続けなければならない。どちらかを捨てない限り。
「ぉわっ!?」
背後からいきなりフードを掴まれ慌てて両手でフードを押さえる。後ろを振り返ればフードを掴んでいたのはローだった。
シルビを見下ろして何か言おうとするのに、急いで指を鳴らす。
「――をしてんだ」
最初の数語が間に合わなかったが、特に問題はないだろう。ロビンとだけ話す為に周囲の空気を『青の炎』で沈静化して音を消していたのだ。
「ロビンと話していただけだよ。君には関係無――トラファルガー!」
フードを掴んだまま歩き出したローに引きずられ、首が締まる前に立ち上がって後を追いかける。ロビンが生暖かい視線を寄越してきたのに、一応手だけ振っておいた。
船縁に寄りかかって腰を下ろしたローに促され、隣に座ると肩へ寄りかかられる。いつものハートの船での昼寝の格好じゃないかと思うと、そのまま寝るつもりらしいローが呟く。
「トラファルガーって呼ぶのやめろ」
「流石に船長とは呼べねぇでしょう?」
「ローでいい」
「今は『死告シャイタン』なのにぃ?」
「シャイタン『でも』だ」
ローと一緒に甲板へ向かい、シルビは何処かへいるのだろうロビンを探す。宴会会場となっていた甲板には、人数の違いもあるがハートの船で行なわれるそれ以上の見るに耐えない状態が広がっていた。
これを見るとハートの海賊団の宴会は随分と良心的だ。少なくとも後片付けの責任は汚した者にある。飲むときは自己責任を徹底させているだけだが、もしかしたら海賊らしからぬ海賊な気がしてきた。
シャチ達ももうちょっと自由にさせてやるべきかと思いながら、ローから離れ『たまたま同じタイミングで戻ってきた』他人の振りをしてトンタッタ族に囲まれているロビンへと歩み寄る。ローには何も言っていないが、ローだって『死告シャイタンと旧知』と今更知られたくもないだろう。
酒を飲み過ぎてか熟睡しているトンタッタ族を膝に乗せていたロビンは、シルビが傍へ来たことに気付くとシルビを見上げて微笑んだ。
「騒がしいのは嫌い?」
「その為に一人で飲んでたんじゃねぇよ。まぁ月見酒の方が好きだけどぉ」
腰を下ろす動きの間に、さりげなく指を鳴らす動作を混ぜる。音はさせなかったのでロビンには気付かれなかったらしい。
「盗み聞きとはよろしくねぇなぁ」
「あら、随分とはっきり言うのね」
「広められたら困るからなぁ」
「それは泣いたこと? それともトラ男くんに抱きついたこと?」
「……何処から見てたんだぁ?」
ふざけて指摘している訳ではなさそうなロビンへ聞き返せば、ロビンは不思議そうに首を傾げて頬へ手を当てる。
「貴方がお礼を言われてたところからよ。私が思っていたよりも仲がいいのね」
「スキンシップが好きなだけだぁ。……口止めする必要無かったかなぁ?」
「口止めするような事を話していたの? ならもっと早くから聞き耳を立てていれば良かったわ」
ポーズか本音か、飄々と言ってのけるロビンにシルビはゆっくりと手を伸ばした。敵意も何も込めていないそれに、シルビから視線を逸らしていたロビンはシルビの指先が肌に触れるまで気付かない。
いきなり伸ばされた手へ驚くロビンの首を、シルビの指が『貫通』する。
「盗み聞きは、よろしくねぇよ?」
『貫通』した手をスルスルとロビンの首から何の障害もなく彼女の眼球付近へと動かし、しかし眼球にも彼女の肌へも何の傷を付けることなく手を引いた。
「今後も仲良くしていてぇなぁ。なぁ? ロビィ?」
「……そうね」
顔色を悪くしながらも震えを隠しつつ肯定したロビンに、少しやりすぎたかと後悔する。怖がらせるつもりは無かったのだ。
何の抵抗も手出しもしないことを示すつもりで両手を軽く上げて、ロビンがシルビから受けたであろう恐怖心を薄くするよう努力する。誰にも言うなと脅すつもりではあったが、本当には怖がらせるつもりはなかったのだ。
「悪かったよ。んな怖がらねぇでくれるかぁ」
「今のは、なに?」
「俺にしか出来ねぇこと。俺の“敵ではない”君には、せいぜいが一芸として見せる程度の芸だよ」
「芸にしては物騒じゃないかしら」
「もっと“物騒”なものがあるからなぁ。使い方を間違えなけりゃ世界は平和だね」
トンタッタ族の一人が不明瞭な寝言を呟いて寝返りを打つ。表情からしていい夢を見ているのだろう。
「ラム」
「いただくわ」
まだ中身のあった酒瓶を近くへ引き寄せロビンが使っていたらしいグラスへ注ぐ。それを煽る様に一息で飲み干したロビンへ、シルビはちょっと笑って二杯目を注いだ。
「さっきのも秘密で頼むよ」
「言っても仕方ない秘密ね」
「俺はそう思ってねぇよ。世界政府の宿敵『死告シャイタン』と、今回の件で七武海の称号は剥奪されたとしても『トラファルガー・ロー』とが懇意にしているという事実は、俺はともかくローやハートの海賊団を危険に晒すだけでしかねぇ。ましてや彼の船に乗っているとなれば、尚更のこと」
身を隠して乗っている、という事になっているとしても、ハートの海賊団の『ペンギン』と『死告シャイタン』が同一人物であることは本来知られて良いことではない。世間へそれが知られた途端ハートの海賊団は今のようなただの海賊として以上の意味を持つことになり、シルビを部下にしているローへも様々な憶測が付加することになるだろう。
悲しいことに、それらは全てハートの海賊団にとって良くないものであると断言出来る。
ハートの海賊団を好きであるが故にシルビは自分が原因でハートの海賊団をそんな目に遭わせる訳にはいかず、しかし『死告シャイタン』という名前を背負っている以上、その危険を孕み続けなければならない。どちらかを捨てない限り。
「ぉわっ!?」
背後からいきなりフードを掴まれ慌てて両手でフードを押さえる。後ろを振り返ればフードを掴んでいたのはローだった。
シルビを見下ろして何か言おうとするのに、急いで指を鳴らす。
「――をしてんだ」
最初の数語が間に合わなかったが、特に問題はないだろう。ロビンとだけ話す為に周囲の空気を『青の炎』で沈静化して音を消していたのだ。
「ロビンと話していただけだよ。君には関係無――トラファルガー!」
フードを掴んだまま歩き出したローに引きずられ、首が締まる前に立ち上がって後を追いかける。ロビンが生暖かい視線を寄越してきたのに、一応手だけ振っておいた。
船縁に寄りかかって腰を下ろしたローに促され、隣に座ると肩へ寄りかかられる。いつものハートの船での昼寝の格好じゃないかと思うと、そのまま寝るつもりらしいローが呟く。
「トラファルガーって呼ぶのやめろ」
「流石に船長とは呼べねぇでしょう?」
「ローでいい」
「今は『死告シャイタン』なのにぃ?」
「シャイタン『でも』だ」