ドレスローザ編
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バンダナ視点
くじらの森の奥で医療班の一人として運ばれてくる怪我人を治していたバンダナは、暫く前にモコモ公国中に爆音を響かせ蔓延した毒ガスから町人のミンク族達を避難させる集団を手伝いながら、その直後から聞こえなくなっていた喧噪の音に耳を澄ませた。
襲撃者であるカイドウの部下のジャック達がやってきてから、バンダナは一度もペンギンの姿を見ていない。侠客団と共に前線へ出ているジャンバール達の話では、ここ数日ずっと幻覚の鎖でジャック達襲撃者の幹部格を拘束し続けているのだという。
それ故に戻ってくることが出来ず、昼夜交代の形を取っているミンク族以上にペンギンは前線へ出たままだ。
爆発音と急速的に広まった毒ガスと共に、前線であるクラウ都の方角から音は聞こえなくなっている。何があったのかも分からないまま、しかし毒ガスのせいでその場へ向かうことも出来ない。
未だ広まりつつあるガスの来ていないギリギリの場所から、届きもしなくなった情報を求めて立ち尽くしているしか出来なかった。
「バンダナ! ガスマスクの用意はまだ時間が掛かるって!」
「ガスが迫って来ちまうよ! ミンク族に言ってもう少し奥に避難したほうがいい!」
少し前から誰も戻ってはこない。ネコマムシ達もイヌアラシ達もだ。
まさか敵味方関係なくこのガスにやられて死んでしまったのかと嫌な想像をしてしまった瞬間、バンダナのすぐ脇を背後から銃弾が飛び抜けていった。
「ぇ――」
何処からともなく現れ地面へと着弾した銃弾は、そのまま橙と青と緑の三色の炎を燃え上がらせたかと思うと砦を囲う様に地を這って伸びていく。気付いたのだろう銃士隊の負傷兵が驚いて駆けてくるのに、バンダナは目を見開いたままその負傷兵を止めた。
「何をする!?」
「……ペンちゃんだ」
「ぺんちゃん? ペンギンのことか?」
「っ――無事なヤツや怪我人は絶対にこの炎の向こうに行くな! 炎から出なければガスは大丈夫だ!」
「そ、何を根拠に!」
「煩せえ! ガスマスクの準備が出来るまでは怪我人は医者の言うこと聞いてりゃいいんだよ!」
怒鳴り返して壁を形成しつつある『炎』を見やる。
やはり向こうで何かがあったのだ。それでペンギンは奥へ避難している者達のことを考えてこの炎の壁を作り上げた。
だがペンギン自身は戻ってこれない状況ではあるのだろう。それから他の者達も。
「怪我するなとは言わないから、せめて死ぬんじゃないよ」
呟いて踵を返す。ペンギン達が心配だからといって、ただ立ち尽くしているだけではいられなかった。
くじらの森の奥で医療班の一人として運ばれてくる怪我人を治していたバンダナは、暫く前にモコモ公国中に爆音を響かせ蔓延した毒ガスから町人のミンク族達を避難させる集団を手伝いながら、その直後から聞こえなくなっていた喧噪の音に耳を澄ませた。
襲撃者であるカイドウの部下のジャック達がやってきてから、バンダナは一度もペンギンの姿を見ていない。侠客団と共に前線へ出ているジャンバール達の話では、ここ数日ずっと幻覚の鎖でジャック達襲撃者の幹部格を拘束し続けているのだという。
それ故に戻ってくることが出来ず、昼夜交代の形を取っているミンク族以上にペンギンは前線へ出たままだ。
爆発音と急速的に広まった毒ガスと共に、前線であるクラウ都の方角から音は聞こえなくなっている。何があったのかも分からないまま、しかし毒ガスのせいでその場へ向かうことも出来ない。
未だ広まりつつあるガスの来ていないギリギリの場所から、届きもしなくなった情報を求めて立ち尽くしているしか出来なかった。
「バンダナ! ガスマスクの用意はまだ時間が掛かるって!」
「ガスが迫って来ちまうよ! ミンク族に言ってもう少し奥に避難したほうがいい!」
少し前から誰も戻ってはこない。ネコマムシ達もイヌアラシ達もだ。
まさか敵味方関係なくこのガスにやられて死んでしまったのかと嫌な想像をしてしまった瞬間、バンダナのすぐ脇を背後から銃弾が飛び抜けていった。
「ぇ――」
何処からともなく現れ地面へと着弾した銃弾は、そのまま橙と青と緑の三色の炎を燃え上がらせたかと思うと砦を囲う様に地を這って伸びていく。気付いたのだろう銃士隊の負傷兵が驚いて駆けてくるのに、バンダナは目を見開いたままその負傷兵を止めた。
「何をする!?」
「……ペンちゃんだ」
「ぺんちゃん? ペンギンのことか?」
「っ――無事なヤツや怪我人は絶対にこの炎の向こうに行くな! 炎から出なければガスは大丈夫だ!」
「そ、何を根拠に!」
「煩せえ! ガスマスクの準備が出来るまでは怪我人は医者の言うこと聞いてりゃいいんだよ!」
怒鳴り返して壁を形成しつつある『炎』を見やる。
やはり向こうで何かがあったのだ。それでペンギンは奥へ避難している者達のことを考えてこの炎の壁を作り上げた。
だがペンギン自身は戻ってこれない状況ではあるのだろう。それから他の者達も。
「怪我するなとは言わないから、せめて死ぬんじゃないよ」
呟いて踵を返す。ペンギン達が心配だからといって、ただ立ち尽くしているだけではいられなかった。