原作前日常編
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少年視点
船の外はやっぱり眩しい。イルカに借りた帽子とサングラスのお陰で何とか歩けているけど、目の前にワカメが居なかったら行く方向も分からないかも知れない。
やっぱり新しいサングラスを買おうと思いながら抱えていた荷物を持ち直す。船内の荷物置き場の事も考えられた数着分の着替えは、着るのが勿体無いと思えるような綺麗なシャツで、暫くはやっぱりクルー達のお下がりを着ていようと思えた。
更に驚いたのはワカメがその服を一着買うにしても値切っていた事で、衣服の値段なんて良く分からないシャチから見たらそんなに高いものを選んでしまったのかと不安になる。服なんてツナギ一着あれば半年は確実に着ていられるのに。
「次は帽子かな。どんなのがいい?」
「……安いのでいい」
「遠慮するなって。ペンギンだって領収書貰ってくればいくら買ってもいいって言ってたろ」
「つっても帽子の種類なんて分かんないし」
「うーん。ツバが広いほうが良いのかな? 眩しいの嫌なんだろ?」
「うん」
「オレも帽子の種類なんて分かんないしなぁ」
自分も帽子を被っておいてよく言う。
「ワカメの帽子は自分で選んだの?」
「コレは船長やペンギンが帽子被ってたから真似しただけだよ。ペンギンは理由があるらしいけど、船長は趣味なんかなアレ」
「理由?」
「ペンギン絶対帽子脱がないんだぜ。オレも帽子取ってるの見たこと無いから、もしかしたらシャチみたいに眩しいの嫌いなのかもな」
思わず足を止めた。
「な、んでオレが眩しいの嫌いって……」
「なんでってそりゃ、オレ達海賊でも医者の集団だし」
「……そうなんだ」
次の言葉が出てこない。あのトラファルガー・ローが自分を船へ乗せたのは、患者が欲しかったからなのかな、なんて少し思ってしまって、そう思うともう駄目だった。
そりゃ確かにペンギンも嫌がる訳だ。船に乗っているから雑用をさせたけど、新しいクルーじゃなくて、医者として診察したり治療したりしたいだけの相手だったなら。
『目を治してやる』なんて言われて嬉しかったけれど、ただの穀潰しなら、帳簿を預かっている者として乗せたくは無いだろう。
立ち止まったシャチに気付いていなかったのか、ワカメが雑踏の向こうに見えなくなってしまった。港の方角は覚えていたし太陽の出ている今ならまだ一人でも帰れるけれど、そんな気分になれない。
後ろの通りが何だか騒がしくなった。振り返ると集団が走ってくるのが見える。それが海兵だと分かった時には、同時に彼等の目的がシャチだという事も分かった。
船の外はやっぱり眩しい。イルカに借りた帽子とサングラスのお陰で何とか歩けているけど、目の前にワカメが居なかったら行く方向も分からないかも知れない。
やっぱり新しいサングラスを買おうと思いながら抱えていた荷物を持ち直す。船内の荷物置き場の事も考えられた数着分の着替えは、着るのが勿体無いと思えるような綺麗なシャツで、暫くはやっぱりクルー達のお下がりを着ていようと思えた。
更に驚いたのはワカメがその服を一着買うにしても値切っていた事で、衣服の値段なんて良く分からないシャチから見たらそんなに高いものを選んでしまったのかと不安になる。服なんてツナギ一着あれば半年は確実に着ていられるのに。
「次は帽子かな。どんなのがいい?」
「……安いのでいい」
「遠慮するなって。ペンギンだって領収書貰ってくればいくら買ってもいいって言ってたろ」
「つっても帽子の種類なんて分かんないし」
「うーん。ツバが広いほうが良いのかな? 眩しいの嫌なんだろ?」
「うん」
「オレも帽子の種類なんて分かんないしなぁ」
自分も帽子を被っておいてよく言う。
「ワカメの帽子は自分で選んだの?」
「コレは船長やペンギンが帽子被ってたから真似しただけだよ。ペンギンは理由があるらしいけど、船長は趣味なんかなアレ」
「理由?」
「ペンギン絶対帽子脱がないんだぜ。オレも帽子取ってるの見たこと無いから、もしかしたらシャチみたいに眩しいの嫌いなのかもな」
思わず足を止めた。
「な、んでオレが眩しいの嫌いって……」
「なんでってそりゃ、オレ達海賊でも医者の集団だし」
「……そうなんだ」
次の言葉が出てこない。あのトラファルガー・ローが自分を船へ乗せたのは、患者が欲しかったからなのかな、なんて少し思ってしまって、そう思うともう駄目だった。
そりゃ確かにペンギンも嫌がる訳だ。船に乗っているから雑用をさせたけど、新しいクルーじゃなくて、医者として診察したり治療したりしたいだけの相手だったなら。
『目を治してやる』なんて言われて嬉しかったけれど、ただの穀潰しなら、帳簿を預かっている者として乗せたくは無いだろう。
立ち止まったシャチに気付いていなかったのか、ワカメが雑踏の向こうに見えなくなってしまった。港の方角は覚えていたし太陽の出ている今ならまだ一人でも帰れるけれど、そんな気分になれない。
後ろの通りが何だか騒がしくなった。振り返ると集団が走ってくるのが見える。それが海兵だと分かった時には、同時に彼等の目的がシャチだという事も分かった。