魚人島編
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ロビン視点
「……普通の旅人は、転生なんてしないわ」
「だろうなぁ。しかしながらお嬢さん? この海で『あり得ないことはあり得ない』」
そう言って微笑む外套の男は長い黒髪の男だった。
外見だけならロビンよりも若く、つり目がちの女顔で、先に声を聞いていなければ女性と間違えていたかも知れない。凡そ高額な賞金が掛かっていると思えない彼はしかし、その優しげな雰囲気とは裏腹に特徴的な紫の眼をしていた。
千年前からその存在を知らしめているその男は、若くもあり老いてもいるという説がある。ロビンは今まで調べた古書に記されていた彼の記録とその説から、代々紫の眼を持つ者が後継者となってその名を継いでいるのだと考えていた。
だが真実は、男が言うことが本当であるのならもっと奇怪だ。
「確か君の仲間にヨミヨミの実を食った者がいただろぉ? ヨミヨミの実は一度死んだ者を蘇らせるが、その方法は体から抜け出た魂を再び元の体へ戻すものだぁ。その理論が成立するのなら魂というものが存在することは受け入れられるなぁ?」
「……つまり、貴方はそうして魂を入れ替えているというわけ?」
「そうなる。言っておくが俺の意志でそうなってる訳じゃねぇよ? 好んで選択できるのなら俺は平穏な眠りにつきてぇと思う」
他人事の様に言うが、これは本来あり得ないことだった。何故彼にだけそんなことが起こっているのか、他の者にその現象が起こらない理由はと疑問が浮かんでは消える。
男はそんな疑問の波に浚われそうなロビンを見て、困った様な笑みを浮かべた。
「俺自身ちゃんとした理由は未だに分かってねぇんだぁ。だから聞かれてもちょっと困るなぁ」
「そうなの。困ったわね」
「生きることに問題はねぇよ。ただちょっと友人を見送る回数が増えるだけ」
困ったような口調ではないが、その雰囲気が雄弁に語る。
見送るという表現でボカシはしていたが、それは数多の知り合いの死を経験してきたということだろう。それでも自分は生きているから、色々なことを見守り続けている。
彼は自身のことを『海の祈りを後世へ伝える役』と言った。それは転生を続けている故に自分から担ったのかも知れない。古代兵器『ポセイドン』についての進言も、彼だけが長い年月を見ているからか。
歴史や、人の移り変わりを。
「何か見当違いなことを考えてるだろぉお嬢さん」
「見当違い?」
「俺は好きなことをやってるだけだよ。何かの責任を背負ってる訳じゃねぇ」
「……辛いと思わないの?」
「辛いと思うことより、楽しいと思うことも多いよ」
「……普通の旅人は、転生なんてしないわ」
「だろうなぁ。しかしながらお嬢さん? この海で『あり得ないことはあり得ない』」
そう言って微笑む外套の男は長い黒髪の男だった。
外見だけならロビンよりも若く、つり目がちの女顔で、先に声を聞いていなければ女性と間違えていたかも知れない。凡そ高額な賞金が掛かっていると思えない彼はしかし、その優しげな雰囲気とは裏腹に特徴的な紫の眼をしていた。
千年前からその存在を知らしめているその男は、若くもあり老いてもいるという説がある。ロビンは今まで調べた古書に記されていた彼の記録とその説から、代々紫の眼を持つ者が後継者となってその名を継いでいるのだと考えていた。
だが真実は、男が言うことが本当であるのならもっと奇怪だ。
「確か君の仲間にヨミヨミの実を食った者がいただろぉ? ヨミヨミの実は一度死んだ者を蘇らせるが、その方法は体から抜け出た魂を再び元の体へ戻すものだぁ。その理論が成立するのなら魂というものが存在することは受け入れられるなぁ?」
「……つまり、貴方はそうして魂を入れ替えているというわけ?」
「そうなる。言っておくが俺の意志でそうなってる訳じゃねぇよ? 好んで選択できるのなら俺は平穏な眠りにつきてぇと思う」
他人事の様に言うが、これは本来あり得ないことだった。何故彼にだけそんなことが起こっているのか、他の者にその現象が起こらない理由はと疑問が浮かんでは消える。
男はそんな疑問の波に浚われそうなロビンを見て、困った様な笑みを浮かべた。
「俺自身ちゃんとした理由は未だに分かってねぇんだぁ。だから聞かれてもちょっと困るなぁ」
「そうなの。困ったわね」
「生きることに問題はねぇよ。ただちょっと友人を見送る回数が増えるだけ」
困ったような口調ではないが、その雰囲気が雄弁に語る。
見送るという表現でボカシはしていたが、それは数多の知り合いの死を経験してきたということだろう。それでも自分は生きているから、色々なことを見守り続けている。
彼は自身のことを『海の祈りを後世へ伝える役』と言った。それは転生を続けている故に自分から担ったのかも知れない。古代兵器『ポセイドン』についての進言も、彼だけが長い年月を見ているからか。
歴史や、人の移り変わりを。
「何か見当違いなことを考えてるだろぉお嬢さん」
「見当違い?」
「俺は好きなことをやってるだけだよ。何かの責任を背負ってる訳じゃねぇ」
「……辛いと思わないの?」
「辛いと思うことより、楽しいと思うことも多いよ」