魚人島編
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夢主視点
肉を持ったまま何処かへ向かったルフィ達を見送って、シルビもジンベエを振り返った。
そろそろ本当に国王へ会って話がしたい。
シルビの考えを汲んだのかルフィが何処かへ行ったからか、同じく立ち上がったジンベエがシルビを手招いて歩き出す。座ったままだったチョッパー達へ手を振ってジンベエの後を追いかけていけば、ジンベエは城の奥の人気が無い場所へとシルビを案内していった。
宴の騒がしさから少し離れた場所の、城外へ面したシャボンの中へ国王とニコ・ロビンが揃っている。二人はジンベエの後ろを付いてきたシルビの姿に、揃って訝しげにしていた。
「国王。国王にお会いしたい者が来ておるのじゃが」
「ワシに会いたい者?」
「お初にお目に掛かります魚人の王。俺は世界政府より『死告シャイタン』と呼ばれている者。この度は方舟『ノア』が壊されかけたとのことで、少しばかり話を聴いて頂きたく」
ランタンを腰へ提げ直して拝礼する。いくらシルビでも相手が国王ならそのくらいして当たり前だ。
シルビの言葉を聞いたニコ・ロビンが息を呑んで、喘ぐようにシルビの二つ名を呟いていた。彼女は二年の間に革命軍と一緒に故郷へ来たらしいから、シルビのことを知っている。
むしろそれを聞いたから彼女へも挨拶をしておこうと思ったのだが。
「……して、『死告シャイタン』殿。話とは?」
「“人魚姫”のことで」
端的に告げてからジンベエへ視線を向ければ、国王もジンベエを見た。だがすぐにそらして再びシルビを見つめる。どうやらジンベエの前で話してもいいらしい。
「今回のことで“人魚姫”の力が目覚めたのではと思われます。しかしながら今はまだ『約束の時』ではありません。どうか『ノア』と同様、人魚姫のことも秘してお守り頂けるよう、お願いいたします」
「何故お主がそれを言いにきたのじゃ?」
「『死告シャイタン』である以前に俺は過去を知る者。故に海の祈りを後世へ伝える役も持ち合わせております」
フードでシルビの表情は見えないだろうが、更に頭を下げて顔を隠す。それらしいことを言ってはみたが、シルビだって世界の全てに関われる訳が無いのだからそんな役目は存在しない。
ただシルビはそう言うことで古代兵器の一つとも言われている『ポセイドン』の力を隠すことになればいいと思っただけだ。
海王類の王。
ジョイボーイの無念は未だに果たせていない。
「俺が人魚姫を守る訳にはいかないのです。この老いぼれの頼みをどうか受け入れて頂きたく」
「……元よりその考えじゃった。シャイタン殿、そなたの忠告はそれを確固たるものにした。わざわざの来訪感謝するじゃもん」
「ありがとうございます魚人の王」
そのつもりだったとはいえ、言葉に出してもらえればそれはより信憑性が上がる。ノアの破損についても、あの方舟を守る役割を担っている魚人達がどうにかするだろう。この国王なら比較的すぐに修理へ乗り出すかも知れない。
城の奥から警備兵らしい魚人が慌てた様子で国王を呼びに来た。シルビが伝えるべきことももう詳細以外は無いので、兵士と一緒に場内へと駆け込んでいく国王を見送る。
「ジンベエも気になるなら行っていいぜぇ」
「人魚姫というのはしらほし姫様のことじゃろう?」
「ジンベエも聞かなかったこととして秘密にしておけぇ。その方が平和だろぉ」
「……おぬしはよく分からんな」
そう言ってジンベエが国王の向かった方へと向かっていった。姿が見えなくなってから深く息を吐いたところで、国王と一緒に話を聞いていたニコ・ロビンがシルビへと歩み寄ってくる。
「初めまして。『死告シャイタン』」
「こんにちはお嬢さん」
国王とシルビの話を黙って聞いていた彼女だが、あの『オハラ』の生き残りであり『歴史の本文』も読めるという話だ。おそらく国王よりシルビの話には興味があっただろう。
だが先に、シルビは違う話題を差し向けた。
「麦藁の一味が再結成する前の二年の間に、革命軍と一緒に俺の故郷へ来たらしいなぁ」
「ええ。貴方の『お墓』にもお参りさせてもらったわ」
「ありがとう。君のお母さんも俺の墓を参ったらしいぜぇ。彼女の分もお礼を受け取ってもらえるかぁ?」
「……どういたしまして」
彼女の母親は確か、オハラの壊滅と同時に亡くなったと聞いている。その頃のシルビはオハラへ向かうとかそれ以前の問題だったので、彼女へそれ以上掛ける言葉は無かった。
白い町『フレバンス』のように、謝罪するのも間違っている。
「俺も一度、君達が故郷を訪れた後に戻ったんだぁ。だから話は聞いてる」
「私もサボやコアラから話を聞いたわ。――ねえ、本当は貴方『何者』なの?」
思わず笑ってしまったのは、こうも率直にシルビへシルビの正体を問いかけて来る者が久し振りだったからだ。考古学者という性か、真実を知りたいと思う故の情熱か。
その真っ直ぐさに敬意を示し、シルビはフードを外して真っ直ぐにニコ・ロビンを見つめた。
「俺の名前は『シルビ』。遥か昔からこの世界で転生を繰り返しているただの旅人だぁ」
肉を持ったまま何処かへ向かったルフィ達を見送って、シルビもジンベエを振り返った。
そろそろ本当に国王へ会って話がしたい。
シルビの考えを汲んだのかルフィが何処かへ行ったからか、同じく立ち上がったジンベエがシルビを手招いて歩き出す。座ったままだったチョッパー達へ手を振ってジンベエの後を追いかけていけば、ジンベエは城の奥の人気が無い場所へとシルビを案内していった。
宴の騒がしさから少し離れた場所の、城外へ面したシャボンの中へ国王とニコ・ロビンが揃っている。二人はジンベエの後ろを付いてきたシルビの姿に、揃って訝しげにしていた。
「国王。国王にお会いしたい者が来ておるのじゃが」
「ワシに会いたい者?」
「お初にお目に掛かります魚人の王。俺は世界政府より『死告シャイタン』と呼ばれている者。この度は方舟『ノア』が壊されかけたとのことで、少しばかり話を聴いて頂きたく」
ランタンを腰へ提げ直して拝礼する。いくらシルビでも相手が国王ならそのくらいして当たり前だ。
シルビの言葉を聞いたニコ・ロビンが息を呑んで、喘ぐようにシルビの二つ名を呟いていた。彼女は二年の間に革命軍と一緒に故郷へ来たらしいから、シルビのことを知っている。
むしろそれを聞いたから彼女へも挨拶をしておこうと思ったのだが。
「……して、『死告シャイタン』殿。話とは?」
「“人魚姫”のことで」
端的に告げてからジンベエへ視線を向ければ、国王もジンベエを見た。だがすぐにそらして再びシルビを見つめる。どうやらジンベエの前で話してもいいらしい。
「今回のことで“人魚姫”の力が目覚めたのではと思われます。しかしながら今はまだ『約束の時』ではありません。どうか『ノア』と同様、人魚姫のことも秘してお守り頂けるよう、お願いいたします」
「何故お主がそれを言いにきたのじゃ?」
「『死告シャイタン』である以前に俺は過去を知る者。故に海の祈りを後世へ伝える役も持ち合わせております」
フードでシルビの表情は見えないだろうが、更に頭を下げて顔を隠す。それらしいことを言ってはみたが、シルビだって世界の全てに関われる訳が無いのだからそんな役目は存在しない。
ただシルビはそう言うことで古代兵器の一つとも言われている『ポセイドン』の力を隠すことになればいいと思っただけだ。
海王類の王。
ジョイボーイの無念は未だに果たせていない。
「俺が人魚姫を守る訳にはいかないのです。この老いぼれの頼みをどうか受け入れて頂きたく」
「……元よりその考えじゃった。シャイタン殿、そなたの忠告はそれを確固たるものにした。わざわざの来訪感謝するじゃもん」
「ありがとうございます魚人の王」
そのつもりだったとはいえ、言葉に出してもらえればそれはより信憑性が上がる。ノアの破損についても、あの方舟を守る役割を担っている魚人達がどうにかするだろう。この国王なら比較的すぐに修理へ乗り出すかも知れない。
城の奥から警備兵らしい魚人が慌てた様子で国王を呼びに来た。シルビが伝えるべきことももう詳細以外は無いので、兵士と一緒に場内へと駆け込んでいく国王を見送る。
「ジンベエも気になるなら行っていいぜぇ」
「人魚姫というのはしらほし姫様のことじゃろう?」
「ジンベエも聞かなかったこととして秘密にしておけぇ。その方が平和だろぉ」
「……おぬしはよく分からんな」
そう言ってジンベエが国王の向かった方へと向かっていった。姿が見えなくなってから深く息を吐いたところで、国王と一緒に話を聞いていたニコ・ロビンがシルビへと歩み寄ってくる。
「初めまして。『死告シャイタン』」
「こんにちはお嬢さん」
国王とシルビの話を黙って聞いていた彼女だが、あの『オハラ』の生き残りであり『歴史の本文』も読めるという話だ。おそらく国王よりシルビの話には興味があっただろう。
だが先に、シルビは違う話題を差し向けた。
「麦藁の一味が再結成する前の二年の間に、革命軍と一緒に俺の故郷へ来たらしいなぁ」
「ええ。貴方の『お墓』にもお参りさせてもらったわ」
「ありがとう。君のお母さんも俺の墓を参ったらしいぜぇ。彼女の分もお礼を受け取ってもらえるかぁ?」
「……どういたしまして」
彼女の母親は確か、オハラの壊滅と同時に亡くなったと聞いている。その頃のシルビはオハラへ向かうとかそれ以前の問題だったので、彼女へそれ以上掛ける言葉は無かった。
白い町『フレバンス』のように、謝罪するのも間違っている。
「俺も一度、君達が故郷を訪れた後に戻ったんだぁ。だから話は聞いてる」
「私もサボやコアラから話を聞いたわ。――ねえ、本当は貴方『何者』なの?」
思わず笑ってしまったのは、こうも率直にシルビへシルビの正体を問いかけて来る者が久し振りだったからだ。考古学者という性か、真実を知りたいと思う故の情熱か。
その真っ直ぐさに敬意を示し、シルビはフードを外して真っ直ぐにニコ・ロビンを見つめた。
「俺の名前は『シルビ』。遥か昔からこの世界で転生を繰り返しているただの旅人だぁ」