二年後編
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ベポ視点
ベポがまだペンギンと一緒に寝ていた程の小さい時の話だが、ベポが目を覚ますと時々隣に白い生き物がいた。
キャプテンが読み聞かせてくれた絵本で見た牛のような山羊のような、ベポと同じ真っ白い毛並みだけれど違う生き物だ。角があってわき腹にも目があって、寝起きのぼんやりとした感じの目が、いつも何を考えているのか分からない紫色をしていたのを覚えている。
その目が動いてベポを映せば、顔が動いてベポの顔を舐めた。ザリザリと身体中を綺麗にするように舐められて、ベポはいつも気持ちよくて目を細める。小さくても声を出して笑うと白い生き物は顔を引いてしまって、そのまま枕に顎を置いてしまう。
次の瞬間には白い生き物の姿は消えて、一緒に寝ていたペンギンの姿に戻るのだ。
小さい頃のベポはだから、ペンギンも本当は自分と同じ白い獣で、自分も大きくなったらペンギンの様に毛の少ない人間になれると思っていた。それが間違っていると気付いたのは喋れる様になって、今の姿のまま二足歩行へ慣れて、だっこの回数が減ったと気付いた頃だ。
ベポはペンギンとは違う。ペンギンも多分本当は普通の人間とは違う。
けれどもそれでも良かった。ペンギンはベポの仲間であり家族で、キャプテンがシロクマであるベポを仲間にしているように、ベポもペンギンがどんな姿をしていたって構わない。
構わないけれど、ベポが本当はミンク族という種族だったことは、もうちょっと早く教えて欲しかった。
「でっけーゾウ!」
「ズニーシャって名前だぁ。生きてるからあまり乱暴にすんなよぉ」
「こんなにデカくて蹴られた感覚とか分かんのかい?」
「その辺はちょっと……」
ハートの船から湿った感じのする陸へ上がる。本当は陸ではなくて千年も前から生きている巨大なゾウの上らしい。普通の地面よりもしっとりとしていて、ベポはついでに蒸し暑い感じがした。
湿った匂いと動物の生きている匂い。それからそこに植物や土の匂いが混じってくる。
足を止めて茂った木々の向こうに見える海みたいな空の青色を見上げながら、ベポはもう一度深呼吸した。
人間とは違う動物の匂いがする。
「ベポ?」
ペンギンに呼ばれて見れば、荷物の入った鞄を背負ったペンギンが不思議そうにベポを見ていた。近づいて抱きつくようにペンギンの匂いを嗅ぐ。
人間の体臭と、ちょっと桃みたいな甘くて美味しそうな匂い。それと火が何かを燃やすような匂いと冷たい風の匂い。ペンギンはそんなものが混じっている。
「動物の匂いが凄いよ」
「ズニーシャかミンク族の匂いだろぉ。すぐに慣れるといいなぁ」
ベポの手を引いてペンギンが歩き出す。
ベポがミンク族で、ペンギンが人間じゃない何かだとしても、二人ともハートの海賊団の一員だから。
「キャプテンも早く来ないかな」
「まだ無理だろうねえ。オレも早く帰ってきて欲しいと思うよ」
「オレもオレも!」
「そういやあの人どうやって……いや、早く帰ってくるといいなぁ」
皆と一緒にキャプテンを待つのだ。
ベポがまだペンギンと一緒に寝ていた程の小さい時の話だが、ベポが目を覚ますと時々隣に白い生き物がいた。
キャプテンが読み聞かせてくれた絵本で見た牛のような山羊のような、ベポと同じ真っ白い毛並みだけれど違う生き物だ。角があってわき腹にも目があって、寝起きのぼんやりとした感じの目が、いつも何を考えているのか分からない紫色をしていたのを覚えている。
その目が動いてベポを映せば、顔が動いてベポの顔を舐めた。ザリザリと身体中を綺麗にするように舐められて、ベポはいつも気持ちよくて目を細める。小さくても声を出して笑うと白い生き物は顔を引いてしまって、そのまま枕に顎を置いてしまう。
次の瞬間には白い生き物の姿は消えて、一緒に寝ていたペンギンの姿に戻るのだ。
小さい頃のベポはだから、ペンギンも本当は自分と同じ白い獣で、自分も大きくなったらペンギンの様に毛の少ない人間になれると思っていた。それが間違っていると気付いたのは喋れる様になって、今の姿のまま二足歩行へ慣れて、だっこの回数が減ったと気付いた頃だ。
ベポはペンギンとは違う。ペンギンも多分本当は普通の人間とは違う。
けれどもそれでも良かった。ペンギンはベポの仲間であり家族で、キャプテンがシロクマであるベポを仲間にしているように、ベポもペンギンがどんな姿をしていたって構わない。
構わないけれど、ベポが本当はミンク族という種族だったことは、もうちょっと早く教えて欲しかった。
「でっけーゾウ!」
「ズニーシャって名前だぁ。生きてるからあまり乱暴にすんなよぉ」
「こんなにデカくて蹴られた感覚とか分かんのかい?」
「その辺はちょっと……」
ハートの船から湿った感じのする陸へ上がる。本当は陸ではなくて千年も前から生きている巨大なゾウの上らしい。普通の地面よりもしっとりとしていて、ベポはついでに蒸し暑い感じがした。
湿った匂いと動物の生きている匂い。それからそこに植物や土の匂いが混じってくる。
足を止めて茂った木々の向こうに見える海みたいな空の青色を見上げながら、ベポはもう一度深呼吸した。
人間とは違う動物の匂いがする。
「ベポ?」
ペンギンに呼ばれて見れば、荷物の入った鞄を背負ったペンギンが不思議そうにベポを見ていた。近づいて抱きつくようにペンギンの匂いを嗅ぐ。
人間の体臭と、ちょっと桃みたいな甘くて美味しそうな匂い。それと火が何かを燃やすような匂いと冷たい風の匂い。ペンギンはそんなものが混じっている。
「動物の匂いが凄いよ」
「ズニーシャかミンク族の匂いだろぉ。すぐに慣れるといいなぁ」
ベポの手を引いてペンギンが歩き出す。
ベポがミンク族で、ペンギンが人間じゃない何かだとしても、二人ともハートの海賊団の一員だから。
「キャプテンも早く来ないかな」
「まだ無理だろうねえ。オレも早く帰ってきて欲しいと思うよ」
「オレもオレも!」
「そういやあの人どうやって……いや、早く帰ってくるといいなぁ」
皆と一緒にキャプテンを待つのだ。