原作前日常編
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バンダナ視点
ゴト、と音を立ててテーブルへ置かれたジョッキは五杯目で、昼間から飲むには多過ぎる量だとバンダナは思った。しかもそれを為したのが、普段は海賊という荒くれ者にしては殆ど飲まないペンギンだったから尚更である。
「ペ、ペンちゃん呑み過ぎじゃ……」
「すいません、酒ここからここまで追加でぇ」
「はーい」
酒場の店員の明るい返事を聞いてバンダナはもう止める気力を失った。きっとペンギンだって飲みたい時があるのだと思うことにする。
ここ最近、正確には前の島で船長が『新しいクルー』として拾ってきた少年は、目の悪い子だった。
弱視や夜盲症、狭視症等を併発し、太陽の明かりが差す昼間や月の無い夜の闇を極端に怖がる。小さい頃は見えていたというから、日常生活の過程による後天性のものだとバンダナ達は判断した。そうして真っ先に怒ったのはペンギンだ。
『色々準備だって必要なんですから、連れて来る前に一言欲しかったですね!』
船長は追い追い少年の目を手術して治すつもりだったらしい。けれども診察の結果眼自体には問題が無く、栄養管理である程度治せるものだった。
となれば当然必要になってくるのはその為の食事や薬だが、処方する薬剤師であるペンギンや栄養管理をする料理番に何も言わずに連れて来た為、処方する薬の材料も療法食の材料も船には足りなかったらしい。
一言相談すればどうにでもなる問題だったというのに独断で行動した船長を、毎度の事だがペンギンが正座させて説教していたのはまだ記憶に新しかった。結局、次の島で買出しをするまでは何も出来ないからと、少年には悪いが何も手を出せずにいたのだ。
問題は、その少年がそういった事情を知らずに『船長を説教した』という理由で、ペンギンを毛嫌いしているらしい事。
「別に嫌われるのは慣れてるからいいんですよ。チョウサヘイダンだった頃は全員に嫌われてましたしぃ? 直接『嫌い』とか言われなけりゃスルー出来るんですけどねぇ」
「愚痴吐いてる時点で出来てないよね」
ペンギンの過去など知らないので『チョウサヘイダン』が何だか分からないが、ペンギンが大分お疲れであることは分かる。
少年の治療が出来ない代わりにと太陽光が海面を反射する関係で陸地より眩しい海上を進まずにずっと潜っていたり、少年に呼ばれたら必ず返事することをクルーへ通達したりしたのもペンギンだ。少年がぶつかって乱れた椅子などを他のクルー達が今だけだからとこっそり直している事も、ペンギンがわざと音を立てて動いている事も少年は知らない。
「足音立てて歩くの、結構疲れるんですよねぇ……」
「普通は足音立つと思うんだけど」
「え?」
「え、ってペンちゃん……」
ゴト、と音を立ててテーブルへ置かれたジョッキは五杯目で、昼間から飲むには多過ぎる量だとバンダナは思った。しかもそれを為したのが、普段は海賊という荒くれ者にしては殆ど飲まないペンギンだったから尚更である。
「ペ、ペンちゃん呑み過ぎじゃ……」
「すいません、酒ここからここまで追加でぇ」
「はーい」
酒場の店員の明るい返事を聞いてバンダナはもう止める気力を失った。きっとペンギンだって飲みたい時があるのだと思うことにする。
ここ最近、正確には前の島で船長が『新しいクルー』として拾ってきた少年は、目の悪い子だった。
弱視や夜盲症、狭視症等を併発し、太陽の明かりが差す昼間や月の無い夜の闇を極端に怖がる。小さい頃は見えていたというから、日常生活の過程による後天性のものだとバンダナ達は判断した。そうして真っ先に怒ったのはペンギンだ。
『色々準備だって必要なんですから、連れて来る前に一言欲しかったですね!』
船長は追い追い少年の目を手術して治すつもりだったらしい。けれども診察の結果眼自体には問題が無く、栄養管理である程度治せるものだった。
となれば当然必要になってくるのはその為の食事や薬だが、処方する薬剤師であるペンギンや栄養管理をする料理番に何も言わずに連れて来た為、処方する薬の材料も療法食の材料も船には足りなかったらしい。
一言相談すればどうにでもなる問題だったというのに独断で行動した船長を、毎度の事だがペンギンが正座させて説教していたのはまだ記憶に新しかった。結局、次の島で買出しをするまでは何も出来ないからと、少年には悪いが何も手を出せずにいたのだ。
問題は、その少年がそういった事情を知らずに『船長を説教した』という理由で、ペンギンを毛嫌いしているらしい事。
「別に嫌われるのは慣れてるからいいんですよ。チョウサヘイダンだった頃は全員に嫌われてましたしぃ? 直接『嫌い』とか言われなけりゃスルー出来るんですけどねぇ」
「愚痴吐いてる時点で出来てないよね」
ペンギンの過去など知らないので『チョウサヘイダン』が何だか分からないが、ペンギンが大分お疲れであることは分かる。
少年の治療が出来ない代わりにと太陽光が海面を反射する関係で陸地より眩しい海上を進まずにずっと潜っていたり、少年に呼ばれたら必ず返事することをクルーへ通達したりしたのもペンギンだ。少年がぶつかって乱れた椅子などを他のクルー達が今だけだからとこっそり直している事も、ペンギンがわざと音を立てて動いている事も少年は知らない。
「足音立てて歩くの、結構疲れるんですよねぇ……」
「普通は足音立つと思うんだけど」
「え?」
「え、ってペンちゃん……」