空白の二年間編2
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夢主視点
「キャプテン。それを今ベポに話したってのは何か意味があるのか?」
「オレが船を降りてる間、お前等にはゾウへ行ってもらうつもりだからだ」
「『ゾウ』?」
「千年前から生きてるって噂の巨大な象の背中さ」
船長とバンダナが『ゾウ』の説明を始めるのに、シルビは要所要所で補足をすればいいかと黙って聞く側に回る。下手に喋って船長とバンダナ、シャチ以外に自分が千年前からその名前が広まっている『死告シャイタン』だと知られるのは、まだシルビの願うところではない。
千年前、まだシルビが『死告シャイタン』などという名前を付けられておらず、ただ放浪していた頃。たまたま出会ったゾウがあんなに大きくなるだなんて誰が思うものか。
転生して気が向いた時に会いに行けば、会いに行く度に成長していたあのゾウへもしばらく会いに行っていない。忘れられていたらちょっと寂しいなと考えていると、ベポがずっと黙り込んでいることに気付いた。
いつもなら新しい島の話になれば興味津々になって聞くというのに、船長の声も聞こえないほどに考え込んでいる。
それもそうだろうなとは思うが。
ベポの“家族”は全滅していた。島の開発に巻き込まれ、ミンク族であったなら人間に対抗しうる武力を持っていただろうにそれもせず、シルビが見たベポの“家族”は“ただの害獣”として殺されていたのだ。
彼等がそれを選んだ理由をシルビは知らない。ただ『兄』が生き残っていたベポを導いた。
そうしてあの子はハートのクルーになったのだ。
「ミンク族ってそんなに警戒が必要なんすか?」
「さあ、オレもそこまでは。ペンちゃん知ってるかい?」
「え、あ、そうですね。彼等の流儀に反しなけりゃ特に懸念事項はありません」
「ペンギンは行ったことあんの?」
「昔なぁ。だから知り合いが生きてりゃ話は通せるんじゃねぇかなぁ」
ただし話し合いは慎重に行なわなければならない。
クルー達はシルビの知り合いが居るかも知れないという話を聞いて、あからさまに何かを安心したような態度になった。『ペンギンがそう言うなら』とぬかしているが、シルビが信頼されていると思っていいのか楽観視しすぎだろと思えばいいのか。
何せ知り合いが生きていたとしても最後にあったのは四十年以上前だ。しかもシルビの見た目に関して言えば、特徴は変わらずとも若返っているのである。
「いやでもシャクヤクもレイリーも一目で俺のこと分かったし、意外と分かるもん……?」
呟いていたら隣のバンダナに怪訝そうに見られた。
「キャプテン。それを今ベポに話したってのは何か意味があるのか?」
「オレが船を降りてる間、お前等にはゾウへ行ってもらうつもりだからだ」
「『ゾウ』?」
「千年前から生きてるって噂の巨大な象の背中さ」
船長とバンダナが『ゾウ』の説明を始めるのに、シルビは要所要所で補足をすればいいかと黙って聞く側に回る。下手に喋って船長とバンダナ、シャチ以外に自分が千年前からその名前が広まっている『死告シャイタン』だと知られるのは、まだシルビの願うところではない。
千年前、まだシルビが『死告シャイタン』などという名前を付けられておらず、ただ放浪していた頃。たまたま出会ったゾウがあんなに大きくなるだなんて誰が思うものか。
転生して気が向いた時に会いに行けば、会いに行く度に成長していたあのゾウへもしばらく会いに行っていない。忘れられていたらちょっと寂しいなと考えていると、ベポがずっと黙り込んでいることに気付いた。
いつもなら新しい島の話になれば興味津々になって聞くというのに、船長の声も聞こえないほどに考え込んでいる。
それもそうだろうなとは思うが。
ベポの“家族”は全滅していた。島の開発に巻き込まれ、ミンク族であったなら人間に対抗しうる武力を持っていただろうにそれもせず、シルビが見たベポの“家族”は“ただの害獣”として殺されていたのだ。
彼等がそれを選んだ理由をシルビは知らない。ただ『兄』が生き残っていたベポを導いた。
そうしてあの子はハートのクルーになったのだ。
「ミンク族ってそんなに警戒が必要なんすか?」
「さあ、オレもそこまでは。ペンちゃん知ってるかい?」
「え、あ、そうですね。彼等の流儀に反しなけりゃ特に懸念事項はありません」
「ペンギンは行ったことあんの?」
「昔なぁ。だから知り合いが生きてりゃ話は通せるんじゃねぇかなぁ」
ただし話し合いは慎重に行なわなければならない。
クルー達はシルビの知り合いが居るかも知れないという話を聞いて、あからさまに何かを安心したような態度になった。『ペンギンがそう言うなら』とぬかしているが、シルビが信頼されていると思っていいのか楽観視しすぎだろと思えばいいのか。
何せ知り合いが生きていたとしても最後にあったのは四十年以上前だ。しかもシルビの見た目に関して言えば、特徴は変わらずとも若返っているのである。
「いやでもシャクヤクもレイリーも一目で俺のこと分かったし、意外と分かるもん……?」
呟いていたら隣のバンダナに怪訝そうに見られた。