空白の二年間編2
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ワカメ視点
甲板で雑談の様に真面目な話をしていたはずの船長達が食堂へ戻ってきた。あの三人は世間話やその日の夕飯の話のようにハートの海賊団の今後を話し合う事があるので困る。他愛のない話だと思って加わると話へ付いていけず泣きを見るのだ。
今日はおそらく船長が船を降りた後のハートの船の事を話し合っていたのだろうと、ワカメを含めたクルー全員が思っていたのだが。
「ベポ。ちょっと来い」
「アイアイ?」
船長が呼んだのはベポで、イルカとココアを飲んでいたベポが船長達の元へ向かう。なんでベポが呼ばれたのかは本人も分かっていないようで、船長の傍に立ってベポは首を傾げていた。
「なぁにキャプテン」
「お前、昔のことどの位覚えてる?」
「昔って?」
「仲間になったばかりの頃だ」
「んー、青いのが飛んでたのは覚えてるよ。あと赤いの」
少し考えるように唸ったベポがそう答えると、船長とバンダナは分からないらしくペンギンを見る。ワカメが思い出したのはもう十年近く昔の、ベポの故郷でペンギンと一緒に見た光景だった。
多分あの光景はペンギンとワカメ、それと船長が見たかどうかのものでしかない。そしてワカメはその光景の事をベポへ話したことはなかった。
ペンギンはまっすぐにベポを見ている。
「正確には赤い地面と白い地面。それと青い蝶……だろぉ?」
「うん。青いのを追いかけてたらキャプテンに拾われたんだよ!」
「ペンちゃん」
「青い蝶は気にしなくていいんですけど……。ベポ。本当に覚えてねぇんだなぁ?」
「ん、うん……覚えてなくちゃダメだった?」
不安げにペンギンを見下ろすベポの頭を船長が手を伸ばして撫でた。
「むしろ覚えてなくて良かった話だ。ただ、これから話すことは覚えておけ」
「これから話すこと?」
「ベポ。お前さんただのシロクマじゃなくてミンク族なんだと」
聞き耳を立てていたクルーだけではなく、ベポ本人も黙り込む。船長達三人はそんなベポの様子を探るように見つめていて、無言の時間が長引けば長引く程にバンダナとペンギンが困惑と怪訝そうな顔を浮かべた。
「ほらペンちゃん。やっぱり話してねえんだよ」
「話したと思ったんですけどねぇ。記憶違いかなぁ」
そう言って腕組みをするペンギンは、どうやらベポがミンク族であると知っていたらしい。やっと頭にその事実が届いたとばかりに、ベポが口を開いた。
「……オレ、シロクマじゃないの?」
「シロクマだよ。でもただの白熊より人間に近けぇシロクマのミンクだよ」
「シロクマの、ミンク……」
甲板で雑談の様に真面目な話をしていたはずの船長達が食堂へ戻ってきた。あの三人は世間話やその日の夕飯の話のようにハートの海賊団の今後を話し合う事があるので困る。他愛のない話だと思って加わると話へ付いていけず泣きを見るのだ。
今日はおそらく船長が船を降りた後のハートの船の事を話し合っていたのだろうと、ワカメを含めたクルー全員が思っていたのだが。
「ベポ。ちょっと来い」
「アイアイ?」
船長が呼んだのはベポで、イルカとココアを飲んでいたベポが船長達の元へ向かう。なんでベポが呼ばれたのかは本人も分かっていないようで、船長の傍に立ってベポは首を傾げていた。
「なぁにキャプテン」
「お前、昔のことどの位覚えてる?」
「昔って?」
「仲間になったばかりの頃だ」
「んー、青いのが飛んでたのは覚えてるよ。あと赤いの」
少し考えるように唸ったベポがそう答えると、船長とバンダナは分からないらしくペンギンを見る。ワカメが思い出したのはもう十年近く昔の、ベポの故郷でペンギンと一緒に見た光景だった。
多分あの光景はペンギンとワカメ、それと船長が見たかどうかのものでしかない。そしてワカメはその光景の事をベポへ話したことはなかった。
ペンギンはまっすぐにベポを見ている。
「正確には赤い地面と白い地面。それと青い蝶……だろぉ?」
「うん。青いのを追いかけてたらキャプテンに拾われたんだよ!」
「ペンちゃん」
「青い蝶は気にしなくていいんですけど……。ベポ。本当に覚えてねぇんだなぁ?」
「ん、うん……覚えてなくちゃダメだった?」
不安げにペンギンを見下ろすベポの頭を船長が手を伸ばして撫でた。
「むしろ覚えてなくて良かった話だ。ただ、これから話すことは覚えておけ」
「これから話すこと?」
「ベポ。お前さんただのシロクマじゃなくてミンク族なんだと」
聞き耳を立てていたクルーだけではなく、ベポ本人も黙り込む。船長達三人はそんなベポの様子を探るように見つめていて、無言の時間が長引けば長引く程にバンダナとペンギンが困惑と怪訝そうな顔を浮かべた。
「ほらペンちゃん。やっぱり話してねえんだよ」
「話したと思ったんですけどねぇ。記憶違いかなぁ」
そう言って腕組みをするペンギンは、どうやらベポがミンク族であると知っていたらしい。やっと頭にその事実が届いたとばかりに、ベポが口を開いた。
「……オレ、シロクマじゃないの?」
「シロクマだよ。でもただの白熊より人間に近けぇシロクマのミンクだよ」
「シロクマの、ミンク……」