原作前日常編
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少年視点
「ワカメと行く?」
「うん。オレも新しい服とか欲しいしさ」
ペンギンは防寒帽に隠れた眼でワカメの後ろへ隠れているシャチを見ているようだった。何となく眼が合わせ辛くてシャチは更にワカメの背中へ隠れる。
結局バンダナの案を採用してワカメに頼み込み、次の島でのシャチの私物の買出しはワカメに同行してもらう事にした。その為に本来一緒に行く予定だったペンギンへそれを話して断るところなのだが、こんなにあからさまだと流石にシャチがペンギンを嫌っているとバレるだろう。もしかしたら既に気付いているだろうが、目の前でここまで明確に態度に示した事は無かったはずだ。
消耗品の買出しリストを作るという理由で倉庫にいたペンギンは、何も音を立てないでいるととても静かだった。気配だって良く分からなくなる。
「別に構わねぇけど、ちゃんと領収書を貰って来いよぉ」
「分かってるって! オレ領収書大好き!」
「それもどうかと思うけどなぁ。……シャチ」
名前を呼ばれて肩を竦めた。ワカメの背中から顔を覗かせるとペンギンがこちらを向いているのが分かる。相変わらず変な帽子だ。
「な、なに」
「サングラスを買うのなら船長に相談してからになさい」
もう倉庫に用は無いのかゴツゴツと足音を響かせてペンギンが倉庫を出て行く。足音が遠ざかって静かになった倉庫で、シャチは思わず悪態を吐いた。
「何が『サングラスを買うなら』だよ! もう掛けてるっての!」
「いやそれ壊れてんじゃん。新しいの買ってもいいと思うぜ?」
「買うにしたって自分で選べるし!」
もう何処もかしこも壊れていて掛けているのもやっとなサングラスの位置を直す。あまり意味は無いけれどその『あまり』がシャチにとっては重要だからいいのだ。
倉庫は薄暗いから楽である。でもいきなり明るい場所へ出るのは苦手で、シャチはワカメの服を掴んで後を付いていく形で倉庫を出た。瞼越しの眩しさにある程度慣れてから目を開けた。
きっと久しぶりに出る外はもっと明るい。
「誰かから帽子借りようかな」
「船長に借りれば? あの人色々帽子持ってるし。大抵モコモコだけど」
「オレにモコモコ似あうと思う?」
「……イルカに借りればいいんじゃない?」
操舵室のある方角から島が見えたと声が聞こえる。ワカメが見に行こうと言うのを断った。
見たくなかった訳じゃない。むしろ初めて自分が住んでいた場所じゃない島なのだから見てみたかった。
けれども島は外にあるから、きっと眩しいんだろうなと思って諦める。眩しいのも暗いのもペンギンより嫌いだ。
「ワカメと行く?」
「うん。オレも新しい服とか欲しいしさ」
ペンギンは防寒帽に隠れた眼でワカメの後ろへ隠れているシャチを見ているようだった。何となく眼が合わせ辛くてシャチは更にワカメの背中へ隠れる。
結局バンダナの案を採用してワカメに頼み込み、次の島でのシャチの私物の買出しはワカメに同行してもらう事にした。その為に本来一緒に行く予定だったペンギンへそれを話して断るところなのだが、こんなにあからさまだと流石にシャチがペンギンを嫌っているとバレるだろう。もしかしたら既に気付いているだろうが、目の前でここまで明確に態度に示した事は無かったはずだ。
消耗品の買出しリストを作るという理由で倉庫にいたペンギンは、何も音を立てないでいるととても静かだった。気配だって良く分からなくなる。
「別に構わねぇけど、ちゃんと領収書を貰って来いよぉ」
「分かってるって! オレ領収書大好き!」
「それもどうかと思うけどなぁ。……シャチ」
名前を呼ばれて肩を竦めた。ワカメの背中から顔を覗かせるとペンギンがこちらを向いているのが分かる。相変わらず変な帽子だ。
「な、なに」
「サングラスを買うのなら船長に相談してからになさい」
もう倉庫に用は無いのかゴツゴツと足音を響かせてペンギンが倉庫を出て行く。足音が遠ざかって静かになった倉庫で、シャチは思わず悪態を吐いた。
「何が『サングラスを買うなら』だよ! もう掛けてるっての!」
「いやそれ壊れてんじゃん。新しいの買ってもいいと思うぜ?」
「買うにしたって自分で選べるし!」
もう何処もかしこも壊れていて掛けているのもやっとなサングラスの位置を直す。あまり意味は無いけれどその『あまり』がシャチにとっては重要だからいいのだ。
倉庫は薄暗いから楽である。でもいきなり明るい場所へ出るのは苦手で、シャチはワカメの服を掴んで後を付いていく形で倉庫を出た。瞼越しの眩しさにある程度慣れてから目を開けた。
きっと久しぶりに出る外はもっと明るい。
「誰かから帽子借りようかな」
「船長に借りれば? あの人色々帽子持ってるし。大抵モコモコだけど」
「オレにモコモコ似あうと思う?」
「……イルカに借りればいいんじゃない?」
操舵室のある方角から島が見えたと声が聞こえる。ワカメが見に行こうと言うのを断った。
見たくなかった訳じゃない。むしろ初めて自分が住んでいた場所じゃない島なのだから見てみたかった。
けれども島は外にあるから、きっと眩しいんだろうなと思って諦める。眩しいのも暗いのもペンギンより嫌いだ。