空白の二年間編2
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バンダナ視点
疲れきった様子で、全身についた砂を払いながら帰ってきたペンギンは、甲板で見下ろしていたバンダナに気付くと顔を上げて手を振ってきた。
いくら停泊中で船番ではないとはいえ、夜中にこっそり船を降りるのはどうなのか。しかしバンダナに見つかってもあっけらかんとしているところを見るに、別にスパイ行為をしているのでも無いのだろうとすぐに分かる。
そもそも何処と繋がってスパイ行為をするのかという疑問が先にあるが。
「酷い格好だねえ。砂浜を転がってきたのかい?」
タラップを上がって来たペンギンが苦笑を漏らす。けれども否定はしなかった。
最近船長が何故かペンギンに師事して、こっそり特訓していることにバンダナは気付いている。どうしてそこで部下のペンギンを選んでしまうのかは、船長に圧勝するペンギンの実力を知っている身としては納得できなくも無い。
ペンギンは謎が多いのだ。旅の薬師だったと自称している割には故郷の島の重鎮だったり、生きた伝説も同然の『冥王』とも知り合いだったり、その底が図れない。
本人はそれらをひけらかすつもりは無くむしろ隠そうとしている。バンダナの予想ではその行動は、何か一番隠しておきたい事を隠しておくのに必要だからそうしている気がした。
船長にはそれを告げたのだろう。だから前にも増して船長へ従うようになった。
でもそれは『怯え』だよなと思わなくも無い。船長がその秘密を漏らさないとはまだ思えないのか。思うつもりが無いのか。
前に自身の事を“化物”だと称していたあたり、気にならないといえば嘘になる。
「なあペンちゃん。オレには話しておきたいことってのは無いのかい?」
砂をまだ払い落としていたペンギンが顔を上げ不思議そうな顔をした。ソレを見てやっちまったと思ったが吐いた言葉は戻らない。
例えばの話だ。もしこの船で船長以外にもその『秘密』を知っている者が増えたら、ペンギンはどうするのか。
例えばの話、その相手がバンダナであったなら。バンダナはそれを信頼と受け止める事が出来るのか。
バンダナだってあの北の海のあの島で、ペンギンの紫色の眼に魅入った一人だ。
「オレだってペンちゃんを信頼してるつもりなんだよ。船長にばっかり現を抜かされちゃあねえ」
これでは船長へ対する嫉妬のようだと自分でも分かっている。ペンギンがバンダナを差別しているなんてことは無いと分かっているのに。
「――……『Può parlare』」
かすれた声がして振り向けば、ペンギンが手を喉へ押し当てていた。ペンギンはバンダナと目が合うとどうしようもない子供を見るように目を細める。
「この船の皆は優しくていいですよね」
疲れきった様子で、全身についた砂を払いながら帰ってきたペンギンは、甲板で見下ろしていたバンダナに気付くと顔を上げて手を振ってきた。
いくら停泊中で船番ではないとはいえ、夜中にこっそり船を降りるのはどうなのか。しかしバンダナに見つかってもあっけらかんとしているところを見るに、別にスパイ行為をしているのでも無いのだろうとすぐに分かる。
そもそも何処と繋がってスパイ行為をするのかという疑問が先にあるが。
「酷い格好だねえ。砂浜を転がってきたのかい?」
タラップを上がって来たペンギンが苦笑を漏らす。けれども否定はしなかった。
最近船長が何故かペンギンに師事して、こっそり特訓していることにバンダナは気付いている。どうしてそこで部下のペンギンを選んでしまうのかは、船長に圧勝するペンギンの実力を知っている身としては納得できなくも無い。
ペンギンは謎が多いのだ。旅の薬師だったと自称している割には故郷の島の重鎮だったり、生きた伝説も同然の『冥王』とも知り合いだったり、その底が図れない。
本人はそれらをひけらかすつもりは無くむしろ隠そうとしている。バンダナの予想ではその行動は、何か一番隠しておきたい事を隠しておくのに必要だからそうしている気がした。
船長にはそれを告げたのだろう。だから前にも増して船長へ従うようになった。
でもそれは『怯え』だよなと思わなくも無い。船長がその秘密を漏らさないとはまだ思えないのか。思うつもりが無いのか。
前に自身の事を“化物”だと称していたあたり、気にならないといえば嘘になる。
「なあペンちゃん。オレには話しておきたいことってのは無いのかい?」
砂をまだ払い落としていたペンギンが顔を上げ不思議そうな顔をした。ソレを見てやっちまったと思ったが吐いた言葉は戻らない。
例えばの話だ。もしこの船で船長以外にもその『秘密』を知っている者が増えたら、ペンギンはどうするのか。
例えばの話、その相手がバンダナであったなら。バンダナはそれを信頼と受け止める事が出来るのか。
バンダナだってあの北の海のあの島で、ペンギンの紫色の眼に魅入った一人だ。
「オレだってペンちゃんを信頼してるつもりなんだよ。船長にばっかり現を抜かされちゃあねえ」
これでは船長へ対する嫉妬のようだと自分でも分かっている。ペンギンがバンダナを差別しているなんてことは無いと分かっているのに。
「――……『Può parlare』」
かすれた声がして振り向けば、ペンギンが手を喉へ押し当てていた。ペンギンはバンダナと目が合うとどうしようもない子供を見るように目を細める。
「この船の皆は優しくていいですよね」