空白の二年間編2
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夢主視点
船長の特訓の前に自分が慣れる必要を感じつつ、シルビは砂浜の砂を踏み締める。相変わらず付いてきていたロシナンテは、砂に足を取られてこけるのが三回を越えた辺りからシルビが手を引いていた。
幽霊なのにシルビとは手を繋げるのが、地味に納得がいかない。人の目がある場所ではその手も透けてしまうのが尚更。まぁ実際人目がある場所も触れたならシルビが変人扱いされるだけだろう。
昼間に倒れた辺りへやってきて、空けてしまった空間に周囲の砂を増殖させて埋める。こうしておかないと怪奇現象発生だ。程々にやったところで手についた砂を払って振り返る。
『貴方は、ローの特訓には何も言わねぇんですね』
返事はない。ロシナンテは何も言おうとはせず口を閉ざしている。別にシルビとしても無理に聞くつもりはなかったので直ぐに視線を逸らした。
殆ど元通りになった砂浜を見回してから、防寒帽を脱いでその中にナイフや銃を放り込んだ。ウォレットチェーンと腕輪も外して入れたところで砂の上に防寒帽を置く。
一歩進んだところで全身の感覚が曖昧になり、更に足を踏み出したところで視界が低くなった。蹄のついた脚を見下ろして振り返れば、ロシナンテが目を見開いて驚いている。
久しぶりになった『白澤』の姿は、どうやらロシナンテにも驚かれるくらい異形らしい。
やはり化物だよなと思っているとロシナンテが驚きの表情を戻さないまま足を踏み出し、シルビへ向けて近付いてくる。触れるだろうが触るつもりなのだろうかと思いながらその動きを眺めていると、ロシナンテはおそるおそる触れてくる予想を裏切り、思いっきり抱き締めにかかってきた。
『ちょっ、角! 角刺さっ、――目ぇイッテェエエエ!』
背中や頭の角がロシナンテへ刺さると心配するより先に、ロシナンテの手が脇腹にある目に突っ込まれかける。声が出ていたら普通に叫んで悶絶していた。
今は叫ぼうとしても声が出ない分、喉が痛い。
どうやら毛並みを堪能しているらしいロシナンテに、船長のあのモコモコした帽子好きはもしかしてコイツのせいなのだろうかと遠い目をする。ロシナンテも羽がタップリの上着を着ているし。
だがそこで、今の姿を万が一にでも船長に見られたら同じ目に遭う! と気付いて慌てて人の姿へ戻った。元から今のシルビでも『獣の姿になれるのか』と確かめる為だったので確認出来た以上戻って構わない筈だ。
ロシナンテの残念そうな顔は見ていない。見ていないったら見ていない。
船長の特訓の前に自分が慣れる必要を感じつつ、シルビは砂浜の砂を踏み締める。相変わらず付いてきていたロシナンテは、砂に足を取られてこけるのが三回を越えた辺りからシルビが手を引いていた。
幽霊なのにシルビとは手を繋げるのが、地味に納得がいかない。人の目がある場所ではその手も透けてしまうのが尚更。まぁ実際人目がある場所も触れたならシルビが変人扱いされるだけだろう。
昼間に倒れた辺りへやってきて、空けてしまった空間に周囲の砂を増殖させて埋める。こうしておかないと怪奇現象発生だ。程々にやったところで手についた砂を払って振り返る。
『貴方は、ローの特訓には何も言わねぇんですね』
返事はない。ロシナンテは何も言おうとはせず口を閉ざしている。別にシルビとしても無理に聞くつもりはなかったので直ぐに視線を逸らした。
殆ど元通りになった砂浜を見回してから、防寒帽を脱いでその中にナイフや銃を放り込んだ。ウォレットチェーンと腕輪も外して入れたところで砂の上に防寒帽を置く。
一歩進んだところで全身の感覚が曖昧になり、更に足を踏み出したところで視界が低くなった。蹄のついた脚を見下ろして振り返れば、ロシナンテが目を見開いて驚いている。
久しぶりになった『白澤』の姿は、どうやらロシナンテにも驚かれるくらい異形らしい。
やはり化物だよなと思っているとロシナンテが驚きの表情を戻さないまま足を踏み出し、シルビへ向けて近付いてくる。触れるだろうが触るつもりなのだろうかと思いながらその動きを眺めていると、ロシナンテはおそるおそる触れてくる予想を裏切り、思いっきり抱き締めにかかってきた。
『ちょっ、角! 角刺さっ、――目ぇイッテェエエエ!』
背中や頭の角がロシナンテへ刺さると心配するより先に、ロシナンテの手が脇腹にある目に突っ込まれかける。声が出ていたら普通に叫んで悶絶していた。
今は叫ぼうとしても声が出ない分、喉が痛い。
どうやら毛並みを堪能しているらしいロシナンテに、船長のあのモコモコした帽子好きはもしかしてコイツのせいなのだろうかと遠い目をする。ロシナンテも羽がタップリの上着を着ているし。
だがそこで、今の姿を万が一にでも船長に見られたら同じ目に遭う! と気付いて慌てて人の姿へ戻った。元から今のシルビでも『獣の姿になれるのか』と確かめる為だったので確認出来た以上戻って構わない筈だ。
ロシナンテの残念そうな顔は見ていない。見ていないったら見ていない。