空白の二年間編2
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シャチ視点
船長とペンギンが何処かへ行っていたと思ったら、二人揃ってボロボロの姿で帰ってきた。
すわ海賊に襲われたか何か事故に巻き込まれたかと騒ぐが、船長は『何でもない』と言って身長の関係でペンギンを小脇に抱えるようにして医務室へ連れて行ってしまう。ベポと顔を見合わせてからシャチが急いでそれを追いかけていくと、医務室の中でペンギンは寝台の上に放り投げられていた。
喉を痛めて声が出せないから静かにしているのかと思っていたのだが、もしかしてペンギンの方が酷い怪我なのか。
「何があったんだよ!」
「落ち着けシャチ。ただの疲労らしい」
「ひ、疲労?」
言われて見てみれば、ガーゼや消毒液を取り出して自分の怪我を処置している船長に比べ、ペンギンに外傷らしい外傷は見当たらない。砂浜で倒れたのか砂がこびり付いている程度だ。
寝台に突っ伏していたペンギンの背中をベポが擦ると、両手を突いてペンギンが起き上がる。座り直して左手で指を鳴らしたかと思うとその手元へ液体の入った薬壜が現れ、ペンギンは一息でそれを煽った。
「っ……、……!」
辛いのか苦いのか喉に染みるのか舌を出して首を押さえながら悶絶している。涙目になりながらもう一度指を鳴らし、同じ壜をもう一つ何処からともなく取り出したかと思うと船長へ差し出した。
「飲まねえよ。不味いだろそれ」
【滋養強壮のドリンク。疲れが吹っ飛ぶ。味の酷さで】
スケッチブックを手繰り寄せてそう書いたペンギンが、船長に渡すつもりだったのだろう壜をシャチへ差し出してくるのに思わず受け取ってしまう。飲むつもりはもちろん無い。
自分が飲んだ方の空瓶を消したペンギンはずるりと防寒帽を脱いで再び寝台へ横になる。椅子へ座った船長も疲れきっている様子で、シャチにはいったい何をしてきたのかと尋ねるのも憚られた。
昨日から船を降りては何かをしているようだとは分かっていたけれど。
「何してたのキャプテン」
だから臆することなく聞いてしまったベポを、はたきたい様な褒めたい様な。
「……ちょっとな」
ぼかす言い方にペンギンがニヤニヤしていた。船長がソレに気付いて嫌そうな顔をする。ペンギンは教えてもらえて、シャチは教えてもらえないのかとちょっと不満に思った。
船長が単独で船を降りる事も、シャチだけではないとはいえペンギンより後だ。難しい話は確かにシャチには分からないしシャチは古参でもなんでもないが、それでももう少しと思うときはある。
【恥ずかしいから言えないだけだよ。シャチ】
何を察したのかペンギンがスケッチブックへそんな事を書いていた。
船長とペンギンが何処かへ行っていたと思ったら、二人揃ってボロボロの姿で帰ってきた。
すわ海賊に襲われたか何か事故に巻き込まれたかと騒ぐが、船長は『何でもない』と言って身長の関係でペンギンを小脇に抱えるようにして医務室へ連れて行ってしまう。ベポと顔を見合わせてからシャチが急いでそれを追いかけていくと、医務室の中でペンギンは寝台の上に放り投げられていた。
喉を痛めて声が出せないから静かにしているのかと思っていたのだが、もしかしてペンギンの方が酷い怪我なのか。
「何があったんだよ!」
「落ち着けシャチ。ただの疲労らしい」
「ひ、疲労?」
言われて見てみれば、ガーゼや消毒液を取り出して自分の怪我を処置している船長に比べ、ペンギンに外傷らしい外傷は見当たらない。砂浜で倒れたのか砂がこびり付いている程度だ。
寝台に突っ伏していたペンギンの背中をベポが擦ると、両手を突いてペンギンが起き上がる。座り直して左手で指を鳴らしたかと思うとその手元へ液体の入った薬壜が現れ、ペンギンは一息でそれを煽った。
「っ……、……!」
辛いのか苦いのか喉に染みるのか舌を出して首を押さえながら悶絶している。涙目になりながらもう一度指を鳴らし、同じ壜をもう一つ何処からともなく取り出したかと思うと船長へ差し出した。
「飲まねえよ。不味いだろそれ」
【滋養強壮のドリンク。疲れが吹っ飛ぶ。味の酷さで】
スケッチブックを手繰り寄せてそう書いたペンギンが、船長に渡すつもりだったのだろう壜をシャチへ差し出してくるのに思わず受け取ってしまう。飲むつもりはもちろん無い。
自分が飲んだ方の空瓶を消したペンギンはずるりと防寒帽を脱いで再び寝台へ横になる。椅子へ座った船長も疲れきっている様子で、シャチにはいったい何をしてきたのかと尋ねるのも憚られた。
昨日から船を降りては何かをしているようだとは分かっていたけれど。
「何してたのキャプテン」
だから臆することなく聞いてしまったベポを、はたきたい様な褒めたい様な。
「……ちょっとな」
ぼかす言い方にペンギンがニヤニヤしていた。船長がソレに気付いて嫌そうな顔をする。ペンギンは教えてもらえて、シャチは教えてもらえないのかとちょっと不満に思った。
船長が単独で船を降りる事も、シャチだけではないとはいえペンギンより後だ。難しい話は確かにシャチには分からないしシャチは古参でもなんでもないが、それでももう少しと思うときはある。
【恥ずかしいから言えないだけだよ。シャチ】
何を察したのかペンギンがスケッチブックへそんな事を書いていた。