空白の二年間編2
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バンダナ視点
三本目の煙草を吸うまでに、ハートの海賊団の船長と副船長が行なった“手合わせ”の結果はペンギンの圧勝。
そこまで歴然とした差が出るとは流石に思っていなかったバンダナの目の前で、とうとう能力の使い過ぎか体力の限界か船長が地面へ倒れる。逆に今でも余裕の様子であるペンギンは、倒れた船長を一瞥してから静かにナイフを鞘へ戻した。
「――俺の勝ち、ですね」
風に溶けてしまうような、普段の声に比べれば随分と小さくて、けれども慈しみの篭った声。
その場にしゃがんだペンギンが船長の手から太刀を取り上げ、鞘を拾いにいく。
もう“決闘”は決着が着いたのだとバンダナも座っていた岩から立ち上がって、倒れている船長へと近付いた。船長はうつ伏せで倒れていて、荒い呼吸を繰り返してはいるものの意識もはっきりとしている。見える場所へ出血のある外傷も無い。
けれども多分、これから体中に痣が出来るだろう。ペンギンは武器を構えたくせにそれらを使わず、殆ど打撃しか与えていなかったから。
それなりにいかせてもらう、と言っていた割には手加減をしまくっていたのだと対峙していなくても分かった。そしてそれが遠慮とか躊躇いの結果では無く、『それで充分だ』と判断した故の結果だという事も。
「ペンちゃん強いですねえ。船長が全然敵わない程とはねえ」
「っ……最初、っから、勝てると思ってねえ、よ」
ゴロリと寝返りを打って仰向けになった船長が、そう言ってバンダナを見上げた。
「そりゃまたどうして?」
「勝つ気は、無かったからな」
船長が深く息を吐き出すと太刀を鞘へ納めたペンギンが戻ってくる。太刀を抱きかかえるようにして船長の傍へ腰を降ろしたペンギンは、微笑んでいた。
「ペンギン」
「はい」
「強えだろ。畜生」
「はい」
悔しがられて喜ぶペンギンも、ここまでしなければ分かってもらえない船長も若いなぁとバンダナは思う。分かってもらえない原因もペンギンなので、実のところ全体的にペンギンが悪いのだろうが。
「でもこれで恨みっこなしだからな」
「はい」
持っていた防寒帽をペンギンの頭へ被せれば、ペンギンはバンダナを見上げてやはり笑った。
二人の間でどんな話があったのかの詳細を聞くつもりは、バンダナには今のところ無い。ただこの二人が迷っていると、ハートの船全体が軋むのだろうなとは思えた。
ペンギンではないが確かに船長は船長として未熟だし、けれどもペンギンだって未熟だ。結局どちらも似た者同士なのだろう。
「でもアレですね。船長思ってた以上に弱ぇ」
「……あのねペンちゃん。ペンちゃんが強すぎるんだとオレは思うんだ」
「バンダナの言う通りだろ。大体なんで能力無効化出来んだ!」
「どれだけ船長の戦い方見てきたと思ってるんです? 手の内明かしは味方にだってしねぇモンでしょう?」
「……お前に勝てる奴いねえだろ」
「勝てねぇと思っても、『そこで諦めたら試合終了』だって安西先生が……」
「誰だよ」
「誰だいそりゃ」
三本目の煙草を吸うまでに、ハートの海賊団の船長と副船長が行なった“手合わせ”の結果はペンギンの圧勝。
そこまで歴然とした差が出るとは流石に思っていなかったバンダナの目の前で、とうとう能力の使い過ぎか体力の限界か船長が地面へ倒れる。逆に今でも余裕の様子であるペンギンは、倒れた船長を一瞥してから静かにナイフを鞘へ戻した。
「――俺の勝ち、ですね」
風に溶けてしまうような、普段の声に比べれば随分と小さくて、けれども慈しみの篭った声。
その場にしゃがんだペンギンが船長の手から太刀を取り上げ、鞘を拾いにいく。
もう“決闘”は決着が着いたのだとバンダナも座っていた岩から立ち上がって、倒れている船長へと近付いた。船長はうつ伏せで倒れていて、荒い呼吸を繰り返してはいるものの意識もはっきりとしている。見える場所へ出血のある外傷も無い。
けれども多分、これから体中に痣が出来るだろう。ペンギンは武器を構えたくせにそれらを使わず、殆ど打撃しか与えていなかったから。
それなりにいかせてもらう、と言っていた割には手加減をしまくっていたのだと対峙していなくても分かった。そしてそれが遠慮とか躊躇いの結果では無く、『それで充分だ』と判断した故の結果だという事も。
「ペンちゃん強いですねえ。船長が全然敵わない程とはねえ」
「っ……最初、っから、勝てると思ってねえ、よ」
ゴロリと寝返りを打って仰向けになった船長が、そう言ってバンダナを見上げた。
「そりゃまたどうして?」
「勝つ気は、無かったからな」
船長が深く息を吐き出すと太刀を鞘へ納めたペンギンが戻ってくる。太刀を抱きかかえるようにして船長の傍へ腰を降ろしたペンギンは、微笑んでいた。
「ペンギン」
「はい」
「強えだろ。畜生」
「はい」
悔しがられて喜ぶペンギンも、ここまでしなければ分かってもらえない船長も若いなぁとバンダナは思う。分かってもらえない原因もペンギンなので、実のところ全体的にペンギンが悪いのだろうが。
「でもこれで恨みっこなしだからな」
「はい」
持っていた防寒帽をペンギンの頭へ被せれば、ペンギンはバンダナを見上げてやはり笑った。
二人の間でどんな話があったのかの詳細を聞くつもりは、バンダナには今のところ無い。ただこの二人が迷っていると、ハートの船全体が軋むのだろうなとは思えた。
ペンギンではないが確かに船長は船長として未熟だし、けれどもペンギンだって未熟だ。結局どちらも似た者同士なのだろう。
「でもアレですね。船長思ってた以上に弱ぇ」
「……あのねペンちゃん。ペンちゃんが強すぎるんだとオレは思うんだ」
「バンダナの言う通りだろ。大体なんで能力無効化出来んだ!」
「どれだけ船長の戦い方見てきたと思ってるんです? 手の内明かしは味方にだってしねぇモンでしょう?」
「……お前に勝てる奴いねえだろ」
「勝てねぇと思っても、『そこで諦めたら試合終了』だって安西先生が……」
「誰だよ」
「誰だいそりゃ」