空白の二年間編2
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夢主視点
成人して長いというのに涙もろい自分が嫌になると思いつつ、シルビは落ち着きを取り戻して手紙を拾って立ち上がる。シルビが落ち着いて話が出来るようになるのを待っていたと思われる船長へその手紙を渡して、シルビは防寒帽を取り返した。
「……言っても無駄だと思いますが、謝ってもいいですか」
「謝るより出来れば説明しろ。この手紙の何を知ってんだ」
「俺が書いたんです」
船長の手ではたはたと揺らされる手紙。それを止めて船長がシルビを見るのに視線は逸らさなかった。
懐かしささえあるそれは、筆跡を見比べてもらえばシルビが書いたものだと直ぐに分かる。ただ時代だけが合わない。
合うわけが無いのだ。それは『昔』のシルビが書いたものなのだから。
船長が持つ手紙を見つめて防寒帽を握り締める。
「……本当は、俺がこの船を降りる時かラフテルへ辿り着けた時に言おうと思っていました」
それが『逃げ道の確保』であることは理解していたが。
「『世界政府の宿敵』と呼ばれる『死告シャイタン』の正体は、俺です」
握り締めた手が力の入れすぎか緊張でか震えている。気を張っていなければ直ぐに視線を逸らしてしまうか、もっと酷くてこの場から逃げ出しそうなのを堪えた。
船長は何も言わない。突拍子の無い事に理解が追いつかないか冗談かを測りかねているのか。出来ればシルビだって『冗談でした』と否定したかった。
けれどもそれは真実で否定出来る訳が無い。空白の百年の後の、『死告シャイタン』の名を世界政府が付けた日から、シルビは『死告シャイタン』を名乗るようにした。
自分の本名である『シルビ』と分別をつける為。それから『シルビ』という名前が貶されないように。
「先祖がそうだったのか?」
ややあって尋ねてきた船長の問いは、少し的外れなそれだった。
「ぇ、いや、昔から俺が『死告シャイタン』で」
「年齢が合わねえだろうが。不老不死じゃあるまいし」
「不老不死じゃねぇですけど近けぇっていうか」
「それもあの島の能力か何かか? タルボ爺さんも千年前から生きてるとか言ってたな」
「タルボ爺さんはありゃ長生きなだけの爺さんですがまぁ確かに千年生きて……いえ、船長。貴方信じるんですか?」
「信じて欲しくないのか?」
逆に聞かれて戸惑う。本来ならばそう簡単に信じられまい。実際に昔のシルビと今のシルビが同一人物であることを知っているのは、今や故郷の外ではレイリーだけの筈だ。
センゴクやガープはシルビの名前を知らない。サボやドラゴンは昔のシルビを知らない。
ロジャーは今のシルビを知る前に死んでしまった。
成人して長いというのに涙もろい自分が嫌になると思いつつ、シルビは落ち着きを取り戻して手紙を拾って立ち上がる。シルビが落ち着いて話が出来るようになるのを待っていたと思われる船長へその手紙を渡して、シルビは防寒帽を取り返した。
「……言っても無駄だと思いますが、謝ってもいいですか」
「謝るより出来れば説明しろ。この手紙の何を知ってんだ」
「俺が書いたんです」
船長の手ではたはたと揺らされる手紙。それを止めて船長がシルビを見るのに視線は逸らさなかった。
懐かしささえあるそれは、筆跡を見比べてもらえばシルビが書いたものだと直ぐに分かる。ただ時代だけが合わない。
合うわけが無いのだ。それは『昔』のシルビが書いたものなのだから。
船長が持つ手紙を見つめて防寒帽を握り締める。
「……本当は、俺がこの船を降りる時かラフテルへ辿り着けた時に言おうと思っていました」
それが『逃げ道の確保』であることは理解していたが。
「『世界政府の宿敵』と呼ばれる『死告シャイタン』の正体は、俺です」
握り締めた手が力の入れすぎか緊張でか震えている。気を張っていなければ直ぐに視線を逸らしてしまうか、もっと酷くてこの場から逃げ出しそうなのを堪えた。
船長は何も言わない。突拍子の無い事に理解が追いつかないか冗談かを測りかねているのか。出来ればシルビだって『冗談でした』と否定したかった。
けれどもそれは真実で否定出来る訳が無い。空白の百年の後の、『死告シャイタン』の名を世界政府が付けた日から、シルビは『死告シャイタン』を名乗るようにした。
自分の本名である『シルビ』と分別をつける為。それから『シルビ』という名前が貶されないように。
「先祖がそうだったのか?」
ややあって尋ねてきた船長の問いは、少し的外れなそれだった。
「ぇ、いや、昔から俺が『死告シャイタン』で」
「年齢が合わねえだろうが。不老不死じゃあるまいし」
「不老不死じゃねぇですけど近けぇっていうか」
「それもあの島の能力か何かか? タルボ爺さんも千年前から生きてるとか言ってたな」
「タルボ爺さんはありゃ長生きなだけの爺さんですがまぁ確かに千年生きて……いえ、船長。貴方信じるんですか?」
「信じて欲しくないのか?」
逆に聞かれて戸惑う。本来ならばそう簡単に信じられまい。実際に昔のシルビと今のシルビが同一人物であることを知っているのは、今や故郷の外ではレイリーだけの筈だ。
センゴクやガープはシルビの名前を知らない。サボやドラゴンは昔のシルビを知らない。
ロジャーは今のシルビを知る前に死んでしまった。