空白の二年間編2
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夢主視点
チェストへ外套とランタンを戻して一息吐く。海軍からの接触待ちで停泊している島で自由行動の時間を貰えたので、元帥就任祝いとして海軍本部へ行ってきたのだ。
別に律儀に行く必要は無いのだが、一応『世界政府の宿敵』なんて言われているので、それらしい行動をしておいたほうがいいと思っているのである。とはいえそんな事をしているから賞金額が馬鹿みたいに上がっていくのだろうが。
外套の下にと着ていった私服をツナギへと着替えて、防寒帽を置いていた机を見ると横にあったはずの薬事ノートが無くなっていた。誰かが来て持っていったのだろうかと思ったが、そんな人物は一人しか心当たりが無い。
「書置きを残してくとかすりゃいいのにぃ」
呆れつつもシルビは防寒帽を被りながら部屋を出た。もうクルー達に素顔もばれているのだが、船長から命令撤回の言葉も無いので相変わらず顔を隠している。けれどもシャワーとかで顔を見られないようにこそこそする必要は減った。
廊下で陸から帰ってきたところらしいイルカとすれ違う。この島の名産らしい紅茶を手に入れたから一緒に飲もうと誘われ、船長のところへ行くからついでに連れて行くと返した。
船長室へ向かってノックをしても返事は無い。鍵が掛かっていなかったので勝手に開けて部屋の中を窺えば、船長は机に突っ伏して寝ているようだった。
昼寝をするにもベッドへ行けばいいのにと思いつつ近付いて声を掛けようとして、机の上に広げられていたシルビのノートと、見覚えのある手紙に手が止まる。
年季が入って古ぼけた手紙。その封筒に書かれている宛て先と筆跡には酷く見覚えがあった。
「……なんで」
手を伸ばして封筒を取り上げる。中に入っていたのであろう便箋は取り出されていて、封筒の隅には“書いた覚えの無い”差出人の名が書き足されていた。
『北の海フレバンス “トラファルガー”』
言葉を失ったまま今度は便箋のほうを手に取り、二枚に増えているその手紙へ目を通す。
『昔』の自分が書いた手紙。それは覚えている。十数年前にはその島が滅んだ事も覚えていた。タルボが何も言わなかったから『手紙は出される事もなかった』のだと思って、シルビは何も出来なかったと落ち込んだのだって記憶にある。
その手紙が、ここにあった。出された事を示すように差出人の名前とその者が書いたのであろう手紙が追加され、ここに。
眠りが浅かったのか船長が目を覚ます。シルビがいる事に気付いて何か言いかけた口が、シルビの持つ手紙に気付いて閉ざされた。
「……なんで、これがここにあるんですか」
チェストへ外套とランタンを戻して一息吐く。海軍からの接触待ちで停泊している島で自由行動の時間を貰えたので、元帥就任祝いとして海軍本部へ行ってきたのだ。
別に律儀に行く必要は無いのだが、一応『世界政府の宿敵』なんて言われているので、それらしい行動をしておいたほうがいいと思っているのである。とはいえそんな事をしているから賞金額が馬鹿みたいに上がっていくのだろうが。
外套の下にと着ていった私服をツナギへと着替えて、防寒帽を置いていた机を見ると横にあったはずの薬事ノートが無くなっていた。誰かが来て持っていったのだろうかと思ったが、そんな人物は一人しか心当たりが無い。
「書置きを残してくとかすりゃいいのにぃ」
呆れつつもシルビは防寒帽を被りながら部屋を出た。もうクルー達に素顔もばれているのだが、船長から命令撤回の言葉も無いので相変わらず顔を隠している。けれどもシャワーとかで顔を見られないようにこそこそする必要は減った。
廊下で陸から帰ってきたところらしいイルカとすれ違う。この島の名産らしい紅茶を手に入れたから一緒に飲もうと誘われ、船長のところへ行くからついでに連れて行くと返した。
船長室へ向かってノックをしても返事は無い。鍵が掛かっていなかったので勝手に開けて部屋の中を窺えば、船長は机に突っ伏して寝ているようだった。
昼寝をするにもベッドへ行けばいいのにと思いつつ近付いて声を掛けようとして、机の上に広げられていたシルビのノートと、見覚えのある手紙に手が止まる。
年季が入って古ぼけた手紙。その封筒に書かれている宛て先と筆跡には酷く見覚えがあった。
「……なんで」
手を伸ばして封筒を取り上げる。中に入っていたのであろう便箋は取り出されていて、封筒の隅には“書いた覚えの無い”差出人の名が書き足されていた。
『北の海フレバンス “トラファルガー”』
言葉を失ったまま今度は便箋のほうを手に取り、二枚に増えているその手紙へ目を通す。
『昔』の自分が書いた手紙。それは覚えている。十数年前にはその島が滅んだ事も覚えていた。タルボが何も言わなかったから『手紙は出される事もなかった』のだと思って、シルビは何も出来なかったと落ち込んだのだって記憶にある。
その手紙が、ここにあった。出された事を示すように差出人の名前とその者が書いたのであろう手紙が追加され、ここに。
眠りが浅かったのか船長が目を覚ます。シルビがいる事に気付いて何か言いかけた口が、シルビの持つ手紙に気付いて閉ざされた。
「……なんで、これがここにあるんですか」