空白の二年間編2
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ワカメ視点
息をするように人を殺すことを覚えたのは果たして幾つの時だったか。少なくとも、この船へ乗ってからだ。
ワカメが乗る海賊船の副船長は、歳若くして一国の重鎮であるにも拘らず、息をするようにどころか生きる様な、ごく当たり前だといわんばかりな敵の倒し方をする。
利き手である左手に構えたナイフ。それが銀の軌道を描きながら鮮血の間を縫う様子はワカメだけでは無く敵の視線さえ奪うのだ。しかし視線を奪われた敵は次の瞬間にはその喉を掻き切られている訳だが。
手の中で半回転して逆手に持ち直されたナイフが、後ろから襲い掛かろうとした荒くれ者の腹部へと吸い込まれる。そのまま引き裂くように破かれた腹から飛び出す臓物が地面へ飛びつく頃には、彼は既に次の標的へ向かっているのだ。
地を這うように低く下げられた身体が、銃で船長を狙っていた敵の目の前へ迫る。銃を構える手首を切断したかと思うと叫ぶ間も与えず蹴り飛ばし、ナイフを持つのとは逆の手で玩具にしか見えないが愛用らしい銃を構えてワカメを見た。
「へっ――」
すぐ耳の脇を銃弾が掠っていく。振り返れば背後にいた男が肩から血を流して倒れるところで。
「あ、危ねー!」
「危ねぇじゃねぇよ動けよワカメぇ!」
さっきまでの殺意を無かったものにしてペンギンが走り寄って来る。周りではバンダナやイルカがまだ暴れまわっていた。どうやら立ち尽くしていたのはワカメだけらしい。
船長は視界で起きている乱闘の向こうでこの海賊船の船長と対峙している。それなりの額が懸かった賞金首であるその男が、今回の目標だ。
ワカメが見ているものに気付いたのかペンギンの視線も一瞬そちらへ向けられる。だが向かう事はない。
「行かないの」
「行って俺が手を出したら、そりゃ船長の実力じゃなくなるなぁ」
冗談なのか本気なのか分からなかったのはペンギンが笑っていたからだ。確かにペンギンの戦闘能力の高さであれば、賞金首の心臓を奪うなんてことも楽勝かも知れない。ただし船長の様な能力がある訳ではないから、その心臓は動きを止めてしまうだろうが。
右手に携えた銃を再び掲げるペンギンの視線は、既に船長には向いていない。むしろ逆を向いている。
それは信頼の証なのか信用の証なのか。ワカメだったら信頼の証だと明言出来るけれど、色々隠し事をし続けているペンギンだとそれが分からない。おそらく信用も信頼もしているから、船長へ背を向けることが出来るのだろうけれど。
ではもし、船長が『その信頼を裏切ったら?』
「なぁペンギン?」
「ん?」
「船長が途中でいなくなったりしたら、どうする?」
船長が七武海になる為の心臓集めは、順調だ。
息をするように人を殺すことを覚えたのは果たして幾つの時だったか。少なくとも、この船へ乗ってからだ。
ワカメが乗る海賊船の副船長は、歳若くして一国の重鎮であるにも拘らず、息をするようにどころか生きる様な、ごく当たり前だといわんばかりな敵の倒し方をする。
利き手である左手に構えたナイフ。それが銀の軌道を描きながら鮮血の間を縫う様子はワカメだけでは無く敵の視線さえ奪うのだ。しかし視線を奪われた敵は次の瞬間にはその喉を掻き切られている訳だが。
手の中で半回転して逆手に持ち直されたナイフが、後ろから襲い掛かろうとした荒くれ者の腹部へと吸い込まれる。そのまま引き裂くように破かれた腹から飛び出す臓物が地面へ飛びつく頃には、彼は既に次の標的へ向かっているのだ。
地を這うように低く下げられた身体が、銃で船長を狙っていた敵の目の前へ迫る。銃を構える手首を切断したかと思うと叫ぶ間も与えず蹴り飛ばし、ナイフを持つのとは逆の手で玩具にしか見えないが愛用らしい銃を構えてワカメを見た。
「へっ――」
すぐ耳の脇を銃弾が掠っていく。振り返れば背後にいた男が肩から血を流して倒れるところで。
「あ、危ねー!」
「危ねぇじゃねぇよ動けよワカメぇ!」
さっきまでの殺意を無かったものにしてペンギンが走り寄って来る。周りではバンダナやイルカがまだ暴れまわっていた。どうやら立ち尽くしていたのはワカメだけらしい。
船長は視界で起きている乱闘の向こうでこの海賊船の船長と対峙している。それなりの額が懸かった賞金首であるその男が、今回の目標だ。
ワカメが見ているものに気付いたのかペンギンの視線も一瞬そちらへ向けられる。だが向かう事はない。
「行かないの」
「行って俺が手を出したら、そりゃ船長の実力じゃなくなるなぁ」
冗談なのか本気なのか分からなかったのはペンギンが笑っていたからだ。確かにペンギンの戦闘能力の高さであれば、賞金首の心臓を奪うなんてことも楽勝かも知れない。ただし船長の様な能力がある訳ではないから、その心臓は動きを止めてしまうだろうが。
右手に携えた銃を再び掲げるペンギンの視線は、既に船長には向いていない。むしろ逆を向いている。
それは信頼の証なのか信用の証なのか。ワカメだったら信頼の証だと明言出来るけれど、色々隠し事をし続けているペンギンだとそれが分からない。おそらく信用も信頼もしているから、船長へ背を向けることが出来るのだろうけれど。
ではもし、船長が『その信頼を裏切ったら?』
「なぁペンギン?」
「ん?」
「船長が途中でいなくなったりしたら、どうする?」
船長が七武海になる為の心臓集めは、順調だ。