故郷の話
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ロー視点
出港の仕度が続く港へ見送りの為にかツナヨシ達がやってきた。船長の立場に甘えて手伝いをせず、ペンギンの家で温室を見せてもらうなどしていたローへ近付いてきたツナヨシは、潜水艦を見て眩しげに目を細める。ちなみにペンギンはまだ用事と支度があるとかで屋敷で別れた。
「潜水艦は珍しいか?」
「そうですね。飛行船を作るのに苦労してるような国ですから」
「技術は『外』より進んでるだろ。バイザクみたいな機械人形が造れるんだ」
「『外』から此処を守るには、まだまだですね。バイザクだってセンパイが一人で造ったものですし」
そのバイザクは来ていない。ベポがツナヨシと一緒に来ていた男へバイザクのことを尋ねている。
「センパイは、自分の願いに対して臆病になります」
隣のツナヨシを横目で見た。
「ビャクランはそれを面倒臭いって良く言うんですけど、あの人が経験してきたことを知ると、そうなるのも仕方ないのかなってオレは思ったんですよね」
「仕方ないような事なのか?」
「お兄さん気質なんですよ。我慢が第一の」
「面倒見はいいな」
「でも貴方は『船長』ですから」
ツナヨシがローを見上げて笑う。
「クルーの願いに気付いてくれると思ってます」
「……当たり前だ」
甲板からバンダナがローを呼んだ。荷を積み終えたのだろう船へシャチやベポも乗り込んでいく。ローも船へ乗り込んで振り返れば、白い街並み。不協和音にはならない音楽が聞こえてくる。港に居る島民達が手を振っていて、クルーがそれに手を振り返していた。
動き出す船に、ツナヨシやその部下達が手を振る。
その向こう、屋敷へ通じる通りを数人の人影が走ってきて、ローは長刀を抱え直してそれを見つめた。
勢い良く走ってきた影のうち一つが見送っているツナヨシ達の脇をすり抜け、埠頭を思い切り踏み切る。その後ろでは一緒に走ってきたバイザクが大きく手を振っていた。
ローが伸ばした手を掴み、甲板へと着地した『ペンギン』が振り返って手を振る。
「行ってきますぅ!」
「いってらっしゃい!」
だんだんと遠ざかり小さくなる港の人の姿に、ペンギンは持っていた防寒帽をしっかりと被ってから、ローを見た。
「ギリギリだったな」
「ツナヨシを正式に次代領主へする為の書類を置いてきたんですよ。アレがあればとりあえず後継者問題はなくなりますから」
「あー、ペンギンだ!」
ベポの声に振り返れば、ベポが走ってきてペンギンへと抱きつく。
「もう遅いよ! もっと早く戻ってくると思ってた」
「ゴメンなぁ。久しぶりだからやる事が色々あったんだぁ」
「全部片付けてきたの?」
「うん。これで葬式でも無ぇ限りは戻る必要ねぇよ」
「そん時はオレ達も行くよ。ね、キャプテン?」
「そうだな。ハートも世話になったしな」
船内へとベポへ引っ張られていくペンギンに、ローも船内へ入ろうと踵を返しかけて最後にもう一度島を眺める。
次に来る時は、今度こそペンギンと別れるときだ。だからきっと、数十年も後になるだろう。
出港の仕度が続く港へ見送りの為にかツナヨシ達がやってきた。船長の立場に甘えて手伝いをせず、ペンギンの家で温室を見せてもらうなどしていたローへ近付いてきたツナヨシは、潜水艦を見て眩しげに目を細める。ちなみにペンギンはまだ用事と支度があるとかで屋敷で別れた。
「潜水艦は珍しいか?」
「そうですね。飛行船を作るのに苦労してるような国ですから」
「技術は『外』より進んでるだろ。バイザクみたいな機械人形が造れるんだ」
「『外』から此処を守るには、まだまだですね。バイザクだってセンパイが一人で造ったものですし」
そのバイザクは来ていない。ベポがツナヨシと一緒に来ていた男へバイザクのことを尋ねている。
「センパイは、自分の願いに対して臆病になります」
隣のツナヨシを横目で見た。
「ビャクランはそれを面倒臭いって良く言うんですけど、あの人が経験してきたことを知ると、そうなるのも仕方ないのかなってオレは思ったんですよね」
「仕方ないような事なのか?」
「お兄さん気質なんですよ。我慢が第一の」
「面倒見はいいな」
「でも貴方は『船長』ですから」
ツナヨシがローを見上げて笑う。
「クルーの願いに気付いてくれると思ってます」
「……当たり前だ」
甲板からバンダナがローを呼んだ。荷を積み終えたのだろう船へシャチやベポも乗り込んでいく。ローも船へ乗り込んで振り返れば、白い街並み。不協和音にはならない音楽が聞こえてくる。港に居る島民達が手を振っていて、クルーがそれに手を振り返していた。
動き出す船に、ツナヨシやその部下達が手を振る。
その向こう、屋敷へ通じる通りを数人の人影が走ってきて、ローは長刀を抱え直してそれを見つめた。
勢い良く走ってきた影のうち一つが見送っているツナヨシ達の脇をすり抜け、埠頭を思い切り踏み切る。その後ろでは一緒に走ってきたバイザクが大きく手を振っていた。
ローが伸ばした手を掴み、甲板へと着地した『ペンギン』が振り返って手を振る。
「行ってきますぅ!」
「いってらっしゃい!」
だんだんと遠ざかり小さくなる港の人の姿に、ペンギンは持っていた防寒帽をしっかりと被ってから、ローを見た。
「ギリギリだったな」
「ツナヨシを正式に次代領主へする為の書類を置いてきたんですよ。アレがあればとりあえず後継者問題はなくなりますから」
「あー、ペンギンだ!」
ベポの声に振り返れば、ベポが走ってきてペンギンへと抱きつく。
「もう遅いよ! もっと早く戻ってくると思ってた」
「ゴメンなぁ。久しぶりだからやる事が色々あったんだぁ」
「全部片付けてきたの?」
「うん。これで葬式でも無ぇ限りは戻る必要ねぇよ」
「そん時はオレ達も行くよ。ね、キャプテン?」
「そうだな。ハートも世話になったしな」
船内へとベポへ引っ張られていくペンギンに、ローも船内へ入ろうと踵を返しかけて最後にもう一度島を眺める。
次に来る時は、今度こそペンギンと別れるときだ。だからきっと、数十年も後になるだろう。