故郷の話
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夢主視点
一夜明けて宴会での飲み過ぎで、二日酔いになりながらも出航の準備をするクルー達を放置してローがシルビの家へと来た。家とは言っても領主の屋敷の敷地内にある別邸で、シルビが居ない時はタルボ爺さんとバイザクしか住んでいない。
その別邸の温室を見せるという話をしていた。
「居ねぇ間はバイザクやタルボ爺さん、それからハヤト……ツナヨシの右腕に管理を頼んでるんです。ここにしか発根してねぇものもありますし」
「全部何の植物か分かるのか?」
「自分の温室ですからねぇ」
何百年もかけて集めて育てていた植物の群れは、今はもう無くなってしまった島から採取したものもある。海軍によるバスターコールで滅んだ島は少なくない。自然現象で沈んでしまった島も。
薬茶を淹れて戻ってくれば、船長は勝手に部屋の本棚から出したのだろうノートと植物を見比べていた。温室へあるテーブルへ座って見ていればいいのにと思ったが、特に問題も無いので好きにさせる。今見ている鉢のそれは何に効くものだったか。
気が済んだのかノートを閉じて戻ってきた船長が座る。
「薬師というより植物学者だな」
「どちらかというと漢方医ですから」
「――七武海になろうと思う」
船長は、前触れ無く言い出した。
内容的には結構重大なことだと思うが、言い方が『明日買物行く』というのと然程変わらない辺りに、冗談半分なのかと考える。
しかしカップを取って中身の薬茶を見つめる視線は冗談を言ったようには思えず、本気なのだと知れた。
「自薦と推薦、どちらにしますか?」
「理由を聞かねえのか」
「ええ。貴方がそうと決めたのですから。俺が聞かれてねぇのに俺が聞くのは卑怯でしょう」
彼がシルビを『ペンギン』と呼ばなくなるまでは付いて行くと決めたシルビにとっては、それすら些細な事だ。何が切っ掛けなのかとかは分からないが、分からずとも構わない。
どうしても知りたかったら『×××』という卑怯な手だって使える。そんなことを知らない船長には、やはり少し申し訳ないとも思うが。
「……ずっと、やろうと思っていた事がある。その為にはもう少しのし上がっておきたい」
「今の七武海入りは確か推薦か自薦でしたねぇ。推薦なら俺の伝手を頼ってみましょう。レイリーとかドラゴンさんとかいるし、最悪『死告シャイタン』でも……」
「自薦で……ちょっと待て。冥王はともかく『革命家』や『死告屋』とも知り合いかお前!?」
「? イワンコフと知り合いな時点で気付いてませんでしたか? 『死告シャイタン』は……この島の出身ですし」
嘘は言っていない。
驚いて真剣さも飛んでしまったらしく頭を抱えて脱力する船長に、やはり言っていないことがあるのは面倒だなとは思った。言う気は無いが。
一夜明けて宴会での飲み過ぎで、二日酔いになりながらも出航の準備をするクルー達を放置してローがシルビの家へと来た。家とは言っても領主の屋敷の敷地内にある別邸で、シルビが居ない時はタルボ爺さんとバイザクしか住んでいない。
その別邸の温室を見せるという話をしていた。
「居ねぇ間はバイザクやタルボ爺さん、それからハヤト……ツナヨシの右腕に管理を頼んでるんです。ここにしか発根してねぇものもありますし」
「全部何の植物か分かるのか?」
「自分の温室ですからねぇ」
何百年もかけて集めて育てていた植物の群れは、今はもう無くなってしまった島から採取したものもある。海軍によるバスターコールで滅んだ島は少なくない。自然現象で沈んでしまった島も。
薬茶を淹れて戻ってくれば、船長は勝手に部屋の本棚から出したのだろうノートと植物を見比べていた。温室へあるテーブルへ座って見ていればいいのにと思ったが、特に問題も無いので好きにさせる。今見ている鉢のそれは何に効くものだったか。
気が済んだのかノートを閉じて戻ってきた船長が座る。
「薬師というより植物学者だな」
「どちらかというと漢方医ですから」
「――七武海になろうと思う」
船長は、前触れ無く言い出した。
内容的には結構重大なことだと思うが、言い方が『明日買物行く』というのと然程変わらない辺りに、冗談半分なのかと考える。
しかしカップを取って中身の薬茶を見つめる視線は冗談を言ったようには思えず、本気なのだと知れた。
「自薦と推薦、どちらにしますか?」
「理由を聞かねえのか」
「ええ。貴方がそうと決めたのですから。俺が聞かれてねぇのに俺が聞くのは卑怯でしょう」
彼がシルビを『ペンギン』と呼ばなくなるまでは付いて行くと決めたシルビにとっては、それすら些細な事だ。何が切っ掛けなのかとかは分からないが、分からずとも構わない。
どうしても知りたかったら『×××』という卑怯な手だって使える。そんなことを知らない船長には、やはり少し申し訳ないとも思うが。
「……ずっと、やろうと思っていた事がある。その為にはもう少しのし上がっておきたい」
「今の七武海入りは確か推薦か自薦でしたねぇ。推薦なら俺の伝手を頼ってみましょう。レイリーとかドラゴンさんとかいるし、最悪『死告シャイタン』でも……」
「自薦で……ちょっと待て。冥王はともかく『革命家』や『死告屋』とも知り合いかお前!?」
「? イワンコフと知り合いな時点で気付いてませんでしたか? 『死告シャイタン』は……この島の出身ですし」
嘘は言っていない。
驚いて真剣さも飛んでしまったらしく頭を抱えて脱力する船長に、やはり言っていないことがあるのは面倒だなとは思った。言う気は無いが。