故郷の話
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ロー視点
「シルビチャンの親友が、シルビチャンのことを『風のようだ』って例えた事があるんだ。僕も又聞きだから良く知らないけど、飛ぶ鳥を落とすのも翼へ風を与えるのもシルビチャン次第なんだって。『風が無ければ空があろうと気候は変わらない』」
ビャクランがテーブルのチーズを摘む。酒のツマミとしてはいいだろうが腹を満たすものではない。
「でもシルビチャンは風じゃ無くて人だから、面倒臭いんだよね。風みたいにすっきり吹いてくれない」
「人間だしな」
「そう、人間だから相手の考えてる事は分からない」
誰かがグラスを落としたのか割れる音がした。
「シルビチャンを羞恥心で一杯にする方法教えてあげる。センチョーサンはシルビチャンの叔父さんに似てるし、サービス」
「誰だか知らない奴に『似てる』と言われても困る」
「シルビチャンはね、真っ直ぐに好意を向けると簡単に倒せるんだ」
ローの話を無視してビャクランが機嫌よく持っていたグラスを空にする。手酌で再びワインを満たしローのグラスへも注いだ。
倒し方など誰も聞いていない。更に言うなら羞恥心で一杯にしてどうするというのか。意味が分からないと視線で示すとビャクランはペンギンと同じ紫色の目を細めた。
「率直に言ったほうが通じるんだよ。命令とかお願いとか、そういうほうが分かりやすいのと同じでね」
そう言ってワインを一気飲みしたビャクランは、それだけを話しに来たとばかりに来たとき同様ふらりと立ち上がって行ってしまう。その先では飛行船に乗った訳でも無いのに何故か一番酷い怪我だったバンダナがツナヨシへ話しかけられ、申し訳無さそうに頭を下げられていた。
白いライガーが深皿に注がれたワインを美味そうに飲んでいる。イルカがそれを興味深そうに眺めているが、手を伸ばそうとはしていない。ワカメはいつの間にか潰れていた。
グラスへ注がれたワインを飲み干し、ローも立ち上がる。バンダナへ謝っているツナヨシへと近付き、声を掛けた。
「ペンギンのヤツが何処にいるか分かるか」
「センパイですか? センパイなら……中庭の墓のトコだと思いますよ」
「そうか」
中庭の墓をそういえばまだ誰の墓なのかは知らない。けれどもイミテーションと言っていたから実際に誰かが埋まっていることはないのだろう。
そんな墓の意味がローには理解できなかったが、長い年月を経てあそこへ置かれている。
近くのテーブルから酒瓶を二つ頂戴して行こうとすれば、先ほどまで酒を飲んでいたライガーが横へ並んだ。
「シルビチャンの親友が、シルビチャンのことを『風のようだ』って例えた事があるんだ。僕も又聞きだから良く知らないけど、飛ぶ鳥を落とすのも翼へ風を与えるのもシルビチャン次第なんだって。『風が無ければ空があろうと気候は変わらない』」
ビャクランがテーブルのチーズを摘む。酒のツマミとしてはいいだろうが腹を満たすものではない。
「でもシルビチャンは風じゃ無くて人だから、面倒臭いんだよね。風みたいにすっきり吹いてくれない」
「人間だしな」
「そう、人間だから相手の考えてる事は分からない」
誰かがグラスを落としたのか割れる音がした。
「シルビチャンを羞恥心で一杯にする方法教えてあげる。センチョーサンはシルビチャンの叔父さんに似てるし、サービス」
「誰だか知らない奴に『似てる』と言われても困る」
「シルビチャンはね、真っ直ぐに好意を向けると簡単に倒せるんだ」
ローの話を無視してビャクランが機嫌よく持っていたグラスを空にする。手酌で再びワインを満たしローのグラスへも注いだ。
倒し方など誰も聞いていない。更に言うなら羞恥心で一杯にしてどうするというのか。意味が分からないと視線で示すとビャクランはペンギンと同じ紫色の目を細めた。
「率直に言ったほうが通じるんだよ。命令とかお願いとか、そういうほうが分かりやすいのと同じでね」
そう言ってワインを一気飲みしたビャクランは、それだけを話しに来たとばかりに来たとき同様ふらりと立ち上がって行ってしまう。その先では飛行船に乗った訳でも無いのに何故か一番酷い怪我だったバンダナがツナヨシへ話しかけられ、申し訳無さそうに頭を下げられていた。
白いライガーが深皿に注がれたワインを美味そうに飲んでいる。イルカがそれを興味深そうに眺めているが、手を伸ばそうとはしていない。ワカメはいつの間にか潰れていた。
グラスへ注がれたワインを飲み干し、ローも立ち上がる。バンダナへ謝っているツナヨシへと近付き、声を掛けた。
「ペンギンのヤツが何処にいるか分かるか」
「センパイですか? センパイなら……中庭の墓のトコだと思いますよ」
「そうか」
中庭の墓をそういえばまだ誰の墓なのかは知らない。けれどもイミテーションと言っていたから実際に誰かが埋まっていることはないのだろう。
そんな墓の意味がローには理解できなかったが、長い年月を経てあそこへ置かれている。
近くのテーブルから酒瓶を二つ頂戴して行こうとすれば、先ほどまで酒を飲んでいたライガーが横へ並んだ。