故郷の話
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ロー視点
ボンゴレ領主の計らいによって開かれた酒宴にハートのクルーは色めきたっている。
クルー全員を連れての宴会は昨日の騒動など無かったとばかりに騒いでおり、シャチなんかはあれだけ怖がっていたライガーに寄りかかって酒を飲んでいた。飼い主は傍に居ないようだが、居たら居たでシャチが煩そうなので気にしないことにする。
クロームの傍ではチョコレートケーキをワンホール一人で食べている奴がいたり、ガナッシュとかいったメッシュの男が酒を飲みながら泣いていたりする光景を視界の端に、ローはこの騒ぎの中にペンギンの姿が無い事に気付いた。
それからペンギンを探している自分に嫌気が差して赤ワインを飲み下す。宴会の最中だというのにローの機嫌だけは相変わらず下がっていた。
「隣、いい?」
声を掛けられて振り向けば、飛行船から飛び降りた後に見た白い男。ペンギンと同じ紫の眼にローを映して細めている笑顔は、やはり似ていないというのにペンギンに似ていると思う。
「ホントはシルビチャンと飲もうと思ったんだけどさ、居ないからねー」
「居ないのか、アイツ」
許可を出す前から勝手に隣へ座る男は、手酌でワインをグラスへ注いだ。
「センチョーサンに嫌われたと思ってへこんでたよ」
「あ?」
「あ、ボクね、ビャクランって言うの。『ミルフィオーレ』の領主その二。『ミルフィオーレ』は分担制なんだ」
「自己紹介はいい。へこんでるってどういう事だ」
「メンタル弱いんだよ、シルビチャン」
いい歳した男をちゃん付けで呼ぶビャクランに、ローは無言で続きを促す。
「『嫌い』だとか、『おいていかれる』事や『突き放される』ことに敏感に反応する。慰めたから少しはマシだろうけれど、結構面倒臭い性格してるんだよ」
「……『嫌い』と言われるのが苦手だってのは知ってる」
「そ? でも突き放したんだね。この国でのシルビチャン見て変なことでも考えた?」
「変なことってなんだ」
「『船を降りるかもしれない』とか」
ベポがクロームの隣に居る男へ話しかけていた。チョコレートケーキを分けてくれとかそういう事を言っているらしい。男は随分と悩んでいるが、クロームがとりなしているのが見える。
「……降りるだろ。アイツはもうこの国へ帰ってきたんだから」
「そうだとしたらボクは嬉しいね。でも同時に苦しくもあるんだよ」
「苦しく?」
「風は一つの場所へ留まっていられない」
ジャンバールがツナヨシの部下らしい青年に話しかけられていた。驚いたような表情だが、悪い事を言われた訳では無さそうだ。
ボンゴレ領主の計らいによって開かれた酒宴にハートのクルーは色めきたっている。
クルー全員を連れての宴会は昨日の騒動など無かったとばかりに騒いでおり、シャチなんかはあれだけ怖がっていたライガーに寄りかかって酒を飲んでいた。飼い主は傍に居ないようだが、居たら居たでシャチが煩そうなので気にしないことにする。
クロームの傍ではチョコレートケーキをワンホール一人で食べている奴がいたり、ガナッシュとかいったメッシュの男が酒を飲みながら泣いていたりする光景を視界の端に、ローはこの騒ぎの中にペンギンの姿が無い事に気付いた。
それからペンギンを探している自分に嫌気が差して赤ワインを飲み下す。宴会の最中だというのにローの機嫌だけは相変わらず下がっていた。
「隣、いい?」
声を掛けられて振り向けば、飛行船から飛び降りた後に見た白い男。ペンギンと同じ紫の眼にローを映して細めている笑顔は、やはり似ていないというのにペンギンに似ていると思う。
「ホントはシルビチャンと飲もうと思ったんだけどさ、居ないからねー」
「居ないのか、アイツ」
許可を出す前から勝手に隣へ座る男は、手酌でワインをグラスへ注いだ。
「センチョーサンに嫌われたと思ってへこんでたよ」
「あ?」
「あ、ボクね、ビャクランって言うの。『ミルフィオーレ』の領主その二。『ミルフィオーレ』は分担制なんだ」
「自己紹介はいい。へこんでるってどういう事だ」
「メンタル弱いんだよ、シルビチャン」
いい歳した男をちゃん付けで呼ぶビャクランに、ローは無言で続きを促す。
「『嫌い』だとか、『おいていかれる』事や『突き放される』ことに敏感に反応する。慰めたから少しはマシだろうけれど、結構面倒臭い性格してるんだよ」
「……『嫌い』と言われるのが苦手だってのは知ってる」
「そ? でも突き放したんだね。この国でのシルビチャン見て変なことでも考えた?」
「変なことってなんだ」
「『船を降りるかもしれない』とか」
ベポがクロームの隣に居る男へ話しかけていた。チョコレートケーキを分けてくれとかそういう事を言っているらしい。男は随分と悩んでいるが、クロームがとりなしているのが見える。
「……降りるだろ。アイツはもうこの国へ帰ってきたんだから」
「そうだとしたらボクは嬉しいね。でも同時に苦しくもあるんだよ」
「苦しく?」
「風は一つの場所へ留まっていられない」
ジャンバールがツナヨシの部下らしい青年に話しかけられていた。驚いたような表情だが、悪い事を言われた訳では無さそうだ。