故郷の話
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シャチ視点
シャチが何とか階段を見つけて一階へ降り見覚えのある中庭へ向かうと、確かツナヨシとかいう青年が中庭の墓を見つめていた。このボンゴレの次期後継者だった筈だが、ペンギンのことを『センパイ』と呼んでいたのを覚えている。
「……なぁ」
「ウェ!? はい!?」
ペンギンよりは若いだろうツナヨシへ声を掛けるとヤケに驚かれた。肩を竦めたまま振り返ったツナヨシは、声を掛けたのがシャチだと確かめると恥ずかしげに苦笑する。
「すみません。今特く……仕事から逃げてきてるもので」
次期後継者でも仕事から逃げたりするのかと思った。回廊から中庭へ足を踏み入れてツナヨシへ近付き、彼が見ていた墓を真似して見下ろす。
風雨に晒されて角が取れた墓石。彫られた名前はペンギンの本名と同じ『シルビ』とあった。まさかペンギンの墓なんてオチは冗談でもイヤだなと思っていると、隣のツナヨシが口を開く。
「『死告シャイタン』の墓なんです。知ってますか?」
「頂上戦争の後に麦わらと一緒に居た、スッゲー高額の賞金首だろ? え? でも『死告シャイタン』って生きてるよな?」
「ええ、今は生きてます」
「あ、生前墓地だっけ? 死ぬ前に作っとく墓みたいな?」
誰かから聞いた覚えのある風習のことを言えば、ツナヨシはそんなものかなと笑った。
「センパイは落ち込んだ時や考え事をしたり、辛かったり眠かったりすると直ぐにここへ来てたから、今も居るかなと思ってきたんだけど、居なかったですね」
「ペンギンなら溜まってる仕事片付けるって言ってたぜ?」
「じゃあ別邸にいるのかな。最初からそっちに行けば良かった。えーと……」
「オレ、シャチ」
「シャチ君は散歩?」
「のつもりだったんだけど、道に迷った」
恥ずかしさよりもまた迷ってしまう方が困るので、正直に言ってみればツナヨシが乾いた笑いを漏らす。それはシャチに呆れているというより、迷うという単語へ掛かっているように思えた。自分の家も同然だろうにツナヨシも迷った事があるのかも知れない。
「オレも、今でも時々迷うよ」
やはりそうだった。
「センパイのトコに行くけど、良ければ一緒に行く?」
「あーじゃあ行く。……そうだ。さっきペンギンそっくりの銀髪の男に会ったんだけど、あの人ってペンギンの親戚かなんか?」
「スクアーロかな? センパイの話じゃセンパイよりも弟さんにそっくりだよ。写真を見せてもらった事があるけど、似てたから」
「……ペンギンの弟って」
「うん。もう亡くなってる」
ツナヨシは言いよどみもせずに答える。
シャチが何とか階段を見つけて一階へ降り見覚えのある中庭へ向かうと、確かツナヨシとかいう青年が中庭の墓を見つめていた。このボンゴレの次期後継者だった筈だが、ペンギンのことを『センパイ』と呼んでいたのを覚えている。
「……なぁ」
「ウェ!? はい!?」
ペンギンよりは若いだろうツナヨシへ声を掛けるとヤケに驚かれた。肩を竦めたまま振り返ったツナヨシは、声を掛けたのがシャチだと確かめると恥ずかしげに苦笑する。
「すみません。今特く……仕事から逃げてきてるもので」
次期後継者でも仕事から逃げたりするのかと思った。回廊から中庭へ足を踏み入れてツナヨシへ近付き、彼が見ていた墓を真似して見下ろす。
風雨に晒されて角が取れた墓石。彫られた名前はペンギンの本名と同じ『シルビ』とあった。まさかペンギンの墓なんてオチは冗談でもイヤだなと思っていると、隣のツナヨシが口を開く。
「『死告シャイタン』の墓なんです。知ってますか?」
「頂上戦争の後に麦わらと一緒に居た、スッゲー高額の賞金首だろ? え? でも『死告シャイタン』って生きてるよな?」
「ええ、今は生きてます」
「あ、生前墓地だっけ? 死ぬ前に作っとく墓みたいな?」
誰かから聞いた覚えのある風習のことを言えば、ツナヨシはそんなものかなと笑った。
「センパイは落ち込んだ時や考え事をしたり、辛かったり眠かったりすると直ぐにここへ来てたから、今も居るかなと思ってきたんだけど、居なかったですね」
「ペンギンなら溜まってる仕事片付けるって言ってたぜ?」
「じゃあ別邸にいるのかな。最初からそっちに行けば良かった。えーと……」
「オレ、シャチ」
「シャチ君は散歩?」
「のつもりだったんだけど、道に迷った」
恥ずかしさよりもまた迷ってしまう方が困るので、正直に言ってみればツナヨシが乾いた笑いを漏らす。それはシャチに呆れているというより、迷うという単語へ掛かっているように思えた。自分の家も同然だろうにツナヨシも迷った事があるのかも知れない。
「オレも、今でも時々迷うよ」
やはりそうだった。
「センパイのトコに行くけど、良ければ一緒に行く?」
「あーじゃあ行く。……そうだ。さっきペンギンそっくりの銀髪の男に会ったんだけど、あの人ってペンギンの親戚かなんか?」
「スクアーロかな? センパイの話じゃセンパイよりも弟さんにそっくりだよ。写真を見せてもらった事があるけど、似てたから」
「……ペンギンの弟って」
「うん。もう亡くなってる」
ツナヨシは言いよどみもせずに答える。