故郷の話
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ロー視点
「代替わりはしておらんよ。ヤツはただ一人じゃ」
核心をずらして言おうとしていないらしい相手に、久しぶりに見ることになった父の筆跡への興味より呆れが勝る。便箋を封筒へ戻しテーブルへ戻せば、タルボは笑い声を上げながら再びその手紙をローへと差し出してきた。
「お主が持っていると良い。ワシにはもう重い代物じゃ」
「オレにだって重い」
「ならシルビのヤツへ渡すが良かろう。きっと泣きながら謝罪してくるぞ」
何故『死告シャイタン』の出した手紙でペンギンのヤツが泣くんだと疑問に思うが、タルボは気にした様子も無い。むしろその反応を楽しみにしているような様子に、ペンギンへは見せないほうがいいと判断する。
「アレとの船旅は楽しいか?」
「愚問だな」
「お主のクルーたちもよくアレを慕っておるようじゃの。アレは誠意には誠意で返す男じゃ。昔っからそれだけは変わらん。それで救われた者もこの世界には多かろうて」
「だから『相談役』なのか?」
「ヒヒッ、あの若さで国の一端を担う立場になっておるのが珍しいか?」
「……オレはあいつを北の海で見つけた。この国の『外』だ」
この島へ来て直ぐに気になったことを思い出す。
「ワシにも北の海へ行くとは言っておったよ」
初めてペンギンと会った時ペンギンは北の海にある島へいて、そこで入院した医者の替わりに薬の管理をしていた。きっとローが勧誘しなければ医者が退院してくるまでそこへ居て、その後はこの国へ戻るか、また何処かへ行くつもりだったのだろう。
それは分かる。
「だがその時にはもう『相談役』だったんだろ? ならどうして、アイツはここを出て行ったんだ」
ハートの船に乗ってから、ローは一度もペンギンが『故郷へ戻りたい』と言っているのを聞いた覚えも、それどころか故郷についても聞いたことは無かった。
そもそもここへ来る前に始めてボンゴレが故郷だと知ったくらいだし、それ以外にもペンギンには冥王レイリーと友人だとか『炎』のこと、『Dの意志』についても知っている様子だとか、まだ知らないことのほうが多いくらいだ。
ペンギンは何も言わない。こちらから聞き出そうとは思わないが、教えて欲しいとは思っている。
アマゾン・リリーでローを船長として信用するとペンギンは言った。だからローも信頼してペンギンが言い出すのを待っているのだ。
だがそれでも、聞きたいと思うときはある。
「……んなことワシャ知らん」
「そこは知っておけ」
タルボの返事は予想以上に素っ気無いものだった。
「代替わりはしておらんよ。ヤツはただ一人じゃ」
核心をずらして言おうとしていないらしい相手に、久しぶりに見ることになった父の筆跡への興味より呆れが勝る。便箋を封筒へ戻しテーブルへ戻せば、タルボは笑い声を上げながら再びその手紙をローへと差し出してきた。
「お主が持っていると良い。ワシにはもう重い代物じゃ」
「オレにだって重い」
「ならシルビのヤツへ渡すが良かろう。きっと泣きながら謝罪してくるぞ」
何故『死告シャイタン』の出した手紙でペンギンのヤツが泣くんだと疑問に思うが、タルボは気にした様子も無い。むしろその反応を楽しみにしているような様子に、ペンギンへは見せないほうがいいと判断する。
「アレとの船旅は楽しいか?」
「愚問だな」
「お主のクルーたちもよくアレを慕っておるようじゃの。アレは誠意には誠意で返す男じゃ。昔っからそれだけは変わらん。それで救われた者もこの世界には多かろうて」
「だから『相談役』なのか?」
「ヒヒッ、あの若さで国の一端を担う立場になっておるのが珍しいか?」
「……オレはあいつを北の海で見つけた。この国の『外』だ」
この島へ来て直ぐに気になったことを思い出す。
「ワシにも北の海へ行くとは言っておったよ」
初めてペンギンと会った時ペンギンは北の海にある島へいて、そこで入院した医者の替わりに薬の管理をしていた。きっとローが勧誘しなければ医者が退院してくるまでそこへ居て、その後はこの国へ戻るか、また何処かへ行くつもりだったのだろう。
それは分かる。
「だがその時にはもう『相談役』だったんだろ? ならどうして、アイツはここを出て行ったんだ」
ハートの船に乗ってから、ローは一度もペンギンが『故郷へ戻りたい』と言っているのを聞いた覚えも、それどころか故郷についても聞いたことは無かった。
そもそもここへ来る前に始めてボンゴレが故郷だと知ったくらいだし、それ以外にもペンギンには冥王レイリーと友人だとか『炎』のこと、『Dの意志』についても知っている様子だとか、まだ知らないことのほうが多いくらいだ。
ペンギンは何も言わない。こちらから聞き出そうとは思わないが、教えて欲しいとは思っている。
アマゾン・リリーでローを船長として信用するとペンギンは言った。だからローも信頼してペンギンが言い出すのを待っているのだ。
だがそれでも、聞きたいと思うときはある。
「……んなことワシャ知らん」
「そこは知っておけ」
タルボの返事は予想以上に素っ気無いものだった。