故郷の話
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ロー視点
「ベポ!」
客室として宛がわれていた部屋に飛び込んできたバイザクが、ベポの姿を見て駆け寄ってきた。
「バイザク!」
「無事ですか!? 怪我は大丈夫ですか?」
「大丈夫だよ。キャプテンが治療してくれたもん。バイザクこそ平気なの?」
「はい。お父さんが修理してくれたのでもう大丈夫です!」
ニコリと微笑むバイザクにベポも笑っているが、ローの意識はバイザクの無事より彼女の口から零れた単語へと向く。
「その『お父さん』は今何してる?」
「領主会議へ顔を出しています」
振り返って言うバイザクは悪くないのだが、ローは無意識に舌打ちを零して帽子の角度を直した。
バイザクの『父親』であるペンギンの顔を見なくなって一晩。領主のお詫びと厚意でハートのクルーは屋敷で一夜を過ごした。他にも補償に関する話をさせて欲しいという事で、船長であるローと数人のクルーが屋敷へ残っている訳だが、未だに誰も来てないのである。
当の領主も来なければ、ローのクルーでもあるペンギンさえ顔を見せない。バイザクの言う事が本当ならば、あいつ等はローを放置して会議をしているという事になる。
会議をしなければ何も出来ないという訳でもあるまい。
楽しげにベポと話しているバイザクへ八つ当たりしても仕方ないだろうし、いっその事その会議の現場へ突入してみるかとローが座っていたソファから立ち上がったところで、再び客室の扉が開かれた。
ゴツリ、と杖の先を鳴らして部屋へと入ってきたタルボは特徴的な笑い声を零す。
「ヒマそうじゃのう」
「何しに来た」
「そうつれない返事をするでない。ワシも暇ゆえにな、ちと雑談をしにきただけじゃ」
そう言って許可もなしに向かいのソファへ腰を降ろすタルボに、ローも再び座った。
ベポがバイザクと一緒に部屋を出ていく。怪我をしているのだから激しい動きはするなと言ってあるから平気だろうが、この状況は作為的なものかと勘繰ってしまう。
タルボは杖を両手で持って笑っている。
「で、何の話をするんだ」
「ちと気になることがあってのう」
服を弄って取り出した何かを、タルボが手元で見つめてからテーブルへと置いてローへと差し出してきた。どうやら手紙らしいそれは一見しただけでも分かる程古く、扱いに気をつけなければ破けてしまいそうだ。
宛て先は目の前へ座っている老人の名だが、その封筒を捲って書かれていた差出人の名前にローは一瞬思考が止まる。
「十数年前ワシへ送られてきた物じゃ。生憎返事は届かずに戻ってきたがのう」
「……知り合いだったのか?」
「そう尋ねるという事は、その差出人はお主の血縁者でよいのじゃな?」
見えないはずの眼で見つめられて、ローはその視線から逃げるように封筒の差出人の名前を見つめた。小さい頃は何度も見た筆跡のそれは、きっとこれ以外にはもう残っていないのだろう。
封を開けて中の便箋を取り出す。しかしその内の一枚は違う者が書いたらしく『父の筆跡』ではなかった。
「ベポ!」
客室として宛がわれていた部屋に飛び込んできたバイザクが、ベポの姿を見て駆け寄ってきた。
「バイザク!」
「無事ですか!? 怪我は大丈夫ですか?」
「大丈夫だよ。キャプテンが治療してくれたもん。バイザクこそ平気なの?」
「はい。お父さんが修理してくれたのでもう大丈夫です!」
ニコリと微笑むバイザクにベポも笑っているが、ローの意識はバイザクの無事より彼女の口から零れた単語へと向く。
「その『お父さん』は今何してる?」
「領主会議へ顔を出しています」
振り返って言うバイザクは悪くないのだが、ローは無意識に舌打ちを零して帽子の角度を直した。
バイザクの『父親』であるペンギンの顔を見なくなって一晩。領主のお詫びと厚意でハートのクルーは屋敷で一夜を過ごした。他にも補償に関する話をさせて欲しいという事で、船長であるローと数人のクルーが屋敷へ残っている訳だが、未だに誰も来てないのである。
当の領主も来なければ、ローのクルーでもあるペンギンさえ顔を見せない。バイザクの言う事が本当ならば、あいつ等はローを放置して会議をしているという事になる。
会議をしなければ何も出来ないという訳でもあるまい。
楽しげにベポと話しているバイザクへ八つ当たりしても仕方ないだろうし、いっその事その会議の現場へ突入してみるかとローが座っていたソファから立ち上がったところで、再び客室の扉が開かれた。
ゴツリ、と杖の先を鳴らして部屋へと入ってきたタルボは特徴的な笑い声を零す。
「ヒマそうじゃのう」
「何しに来た」
「そうつれない返事をするでない。ワシも暇ゆえにな、ちと雑談をしにきただけじゃ」
そう言って許可もなしに向かいのソファへ腰を降ろすタルボに、ローも再び座った。
ベポがバイザクと一緒に部屋を出ていく。怪我をしているのだから激しい動きはするなと言ってあるから平気だろうが、この状況は作為的なものかと勘繰ってしまう。
タルボは杖を両手で持って笑っている。
「で、何の話をするんだ」
「ちと気になることがあってのう」
服を弄って取り出した何かを、タルボが手元で見つめてからテーブルへと置いてローへと差し出してきた。どうやら手紙らしいそれは一見しただけでも分かる程古く、扱いに気をつけなければ破けてしまいそうだ。
宛て先は目の前へ座っている老人の名だが、その封筒を捲って書かれていた差出人の名前にローは一瞬思考が止まる。
「十数年前ワシへ送られてきた物じゃ。生憎返事は届かずに戻ってきたがのう」
「……知り合いだったのか?」
「そう尋ねるという事は、その差出人はお主の血縁者でよいのじゃな?」
見えないはずの眼で見つめられて、ローはその視線から逃げるように封筒の差出人の名前を見つめた。小さい頃は何度も見た筆跡のそれは、きっとこれ以外にはもう残っていないのだろう。
封を開けて中の便箋を取り出す。しかしその内の一枚は違う者が書いたらしく『父の筆跡』ではなかった。