故郷の話
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ロー視点
「飛び降りなさい」
そう言いきったムクロに流石のペンギンも黙り込んでいたので、絶句しているのかと思ってローが口を開きかけた直後、ペンギンが少し上擦った声でムクロへ話しかけた。
「と、飛び降りるってお前……」
「何ですか。好きでしょう貴方。高いところからの紐無しバンジー」
「好きだけど」
「好きなの!?」
すぐ傍に居たシャチが思わず突っ込んでいるが、シャチが突っ込んでいなければローが言っていたかもしれない。思い起こせばなるほど思い当たる行動はある。
だがその時と今とでは状況も高さも違う。下は海とは言え、高すぎれば着水の衝撃に人間なんてひとたまりも無いことだってあるのだ。
しかしムクロは気にした様子も無く続ける。
「貴方はたまには周囲の皆を信じる事をしてみては如何です? 貴方の為にわざわざシモンへ行っていたキョウヤ君だって戻ってきていますし、ショウイチやスパナもスタンバイしています」
「……なんでその二人が」
「もっと驚く事を言ってあげましょう。――……『ビャクラン』が来てますよ」
直後、ムクロが憑依している生首を床へ落としたペンギンが、ホルダーから銃を抜きながら振り返り、ロー達の後ろへあった飛行船の窓を盛大に撃った。撃ったというより全てを吹き飛ばしたと表現した方が良さそうな穴は、ペンギンの持つ銃では到底作り出せるものではない。今までにも見たことのあるそれは、炎の力を利用していたものなのだろう。
ホルダーへ銃を戻す時間さえ惜しいとばかりにペンギンが走り出し、ローとシャチの腕を掴む。シャチが慌ててバイザクを抱かかえているベポを掴み、総勢四人分の重みを物ともせずにペンギンが風穴と化した窓へと駆け、床が壊れる勢いで空へと踏み切った。
身体に感じる浮遊感は、一瞬にして重力へ引っ張られる力へと変わる。
シャチとベポが、喉が枯れんばかりに叫んでいた。
ペンギンはローとシャチの腕をしっかりと掴んで放さない。
頭に被っていた帽子がふわ、と浮かぶのに慌てて手を伸ばせば、体が回ってローの視界に一面の空の青が写り込む。
まるで海の中にいるようだ。
泳げなくなってから初めて感じたかもしれないその漂うような浮遊感は、ボフリと布に落下する感触をもって終わった。白い広げられた布に身体を抱き留められ、身体を起こして周りを見れば、ペンギンの笑い声が聞こえる。
「やっべぇ、たまんねぇなぁやっぱ!」
「シルビチャンってホント空中大好きだよね」
聞こえた第三者の声に振り返れば、ロー達が乗っている布の角を掴んでいる者がいた。これも『炎』によるものなのか、空を飛びながらペンギンの言葉に苦笑しているツナヨシと、見覚えの無い者が三人。
その内の一人は、眼の色以外髪の色も服装も顔も全く違うというのに、どうしてだかペンギンとそっくりだという印象を受けた。
その男は背中の羽を羽ばたかせて笑う。
「おかえりシルビチャン」
「ただいまビャクラン」
「飛び降りなさい」
そう言いきったムクロに流石のペンギンも黙り込んでいたので、絶句しているのかと思ってローが口を開きかけた直後、ペンギンが少し上擦った声でムクロへ話しかけた。
「と、飛び降りるってお前……」
「何ですか。好きでしょう貴方。高いところからの紐無しバンジー」
「好きだけど」
「好きなの!?」
すぐ傍に居たシャチが思わず突っ込んでいるが、シャチが突っ込んでいなければローが言っていたかもしれない。思い起こせばなるほど思い当たる行動はある。
だがその時と今とでは状況も高さも違う。下は海とは言え、高すぎれば着水の衝撃に人間なんてひとたまりも無いことだってあるのだ。
しかしムクロは気にした様子も無く続ける。
「貴方はたまには周囲の皆を信じる事をしてみては如何です? 貴方の為にわざわざシモンへ行っていたキョウヤ君だって戻ってきていますし、ショウイチやスパナもスタンバイしています」
「……なんでその二人が」
「もっと驚く事を言ってあげましょう。――……『ビャクラン』が来てますよ」
直後、ムクロが憑依している生首を床へ落としたペンギンが、ホルダーから銃を抜きながら振り返り、ロー達の後ろへあった飛行船の窓を盛大に撃った。撃ったというより全てを吹き飛ばしたと表現した方が良さそうな穴は、ペンギンの持つ銃では到底作り出せるものではない。今までにも見たことのあるそれは、炎の力を利用していたものなのだろう。
ホルダーへ銃を戻す時間さえ惜しいとばかりにペンギンが走り出し、ローとシャチの腕を掴む。シャチが慌ててバイザクを抱かかえているベポを掴み、総勢四人分の重みを物ともせずにペンギンが風穴と化した窓へと駆け、床が壊れる勢いで空へと踏み切った。
身体に感じる浮遊感は、一瞬にして重力へ引っ張られる力へと変わる。
シャチとベポが、喉が枯れんばかりに叫んでいた。
ペンギンはローとシャチの腕をしっかりと掴んで放さない。
頭に被っていた帽子がふわ、と浮かぶのに慌てて手を伸ばせば、体が回ってローの視界に一面の空の青が写り込む。
まるで海の中にいるようだ。
泳げなくなってから初めて感じたかもしれないその漂うような浮遊感は、ボフリと布に落下する感触をもって終わった。白い広げられた布に身体を抱き留められ、身体を起こして周りを見れば、ペンギンの笑い声が聞こえる。
「やっべぇ、たまんねぇなぁやっぱ!」
「シルビチャンってホント空中大好きだよね」
聞こえた第三者の声に振り返れば、ロー達が乗っている布の角を掴んでいる者がいた。これも『炎』によるものなのか、空を飛びながらペンギンの言葉に苦笑しているツナヨシと、見覚えの無い者が三人。
その内の一人は、眼の色以外髪の色も服装も顔も全く違うというのに、どうしてだかペンギンとそっくりだという印象を受けた。
その男は背中の羽を羽ばたかせて笑う。
「おかえりシルビチャン」
「ただいまビャクラン」