原作前日常編
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ロー視点
作戦通り領主の屋敷へと入り、屋敷の主である領主を探していると二階の寝室で全裸に近い状態の領主を見つけた。その隣にはあの妹も居て、バンダナが妙な声を上げる。
「誰だ貴様等は!?」
「名乗ったほうがいいのか?」
「折角ですからねぇ。どうぞ船長」
「昨日アンタ等が町を襲撃するだろうからと追い出された海賊、トラファルガー・ローだ。期待されて来ねえのは失礼だと思ってな。わざわざ来てやったよ」
中年男性の裸など見たくも無いが、服を着させる余裕の時間も無い。ローの名前を聞いて顔色を悪くしている領主の後ろで、シーツで身体を隠そうとしていた妹へ声を掛ける。
「手引き感謝するぜ。流石鳥使いってとこだな」
「な、何のことだ?」
「さァな。その女に聞いてみろよ」
訝しげに振り返る領主とその視線から逃げようと顔を逸らし、身をちぢ込ませる妹。面白いくらいに想定通りの行動をするなと思っていれば、背後の扉の外が騒がしくなる。バンダナが扉を開けて廊下を確認し、振り返った。
「来たみたいですよ」
「丁度いいな」
そのまま領主と妹へ背を向けて部屋を出ようとすると、妹が叫ぶように呼び止める。振り返れば妹は身体へシーツを巻きつけ立っていた。
「何でよ! なんでわたしばっかり! 私が何かしたっていうの!?」
「少なくともこの島の奴等を騙しはしたな。まぁオレ達にとってはあり難かったから、一応礼を言ってやろう。今後はもう少し騙すのが上手くなるべきだろうよ」
いくら見た目が美人でも性格が良くなければ正直好みではない。そういえば兄貴のほうは何処へいるんだと思いながら部屋を出れば、後ろから領主が妹へ怒鳴りつけるように追及する声が聞こえてきた。
階下から騒ぎ声がするのは町から追いかけてきた民衆だろう。何処へ居るんだとか領主は無事かと言う声が聞こえるので、この階へ来るのにもそう時間は掛かるまい。
そして上の階からは、順繰りに何かを壊したり倒したりしながら何かが迫ってくる音。だんだん近付いてくるそれに廊下の奥をバンダナと一緒になって見ていると、上の階から階段を駆け下りてくる二人の影。
「船長! バンダナさん! 走れぇ!」
防寒帽を片手で抑えながら走る我らが副船長と、ローがクルーに欲しいと思っていた青年が、廊下一面を埋め尽くす鳥の群れに追われながら走ってきた。
二人が思わず驚いて動けないでいると、すれ違い様にシルビがローとバンダナの腕を掴む。それに引っ張られる形で走り出せば、鳥の群れへ追われる人数は総勢四人だ。
ギャアギャアと耳障りな鳴き声と、壁にぶつかるなどして墜落する鳥の可哀想な音が後ろから追ってくる。立ち止まるどころか振り返る為にスピードを緩めるだけでもあの群れへ捕まってしまいそうだ。
「何なんだいこりゃ!?」
「ヒッチコックの『鳥』を思い出しますねぇ」
「何だそれ?」
「鳥が襲ってくるえい……物語ですね。パニック物で迫力があります」
「そ、そんな話してる場合かよ!」
「あ、船長、プレゼント。新しいクルーです」
「いいのか!?」
「喜ぶのは後にしましょうや船長」
「なんなんだっ……!」
叫びながら走っていて青年が舌を噛んだらしい。
作戦通り領主の屋敷へと入り、屋敷の主である領主を探していると二階の寝室で全裸に近い状態の領主を見つけた。その隣にはあの妹も居て、バンダナが妙な声を上げる。
「誰だ貴様等は!?」
「名乗ったほうがいいのか?」
「折角ですからねぇ。どうぞ船長」
「昨日アンタ等が町を襲撃するだろうからと追い出された海賊、トラファルガー・ローだ。期待されて来ねえのは失礼だと思ってな。わざわざ来てやったよ」
中年男性の裸など見たくも無いが、服を着させる余裕の時間も無い。ローの名前を聞いて顔色を悪くしている領主の後ろで、シーツで身体を隠そうとしていた妹へ声を掛ける。
「手引き感謝するぜ。流石鳥使いってとこだな」
「な、何のことだ?」
「さァな。その女に聞いてみろよ」
訝しげに振り返る領主とその視線から逃げようと顔を逸らし、身をちぢ込ませる妹。面白いくらいに想定通りの行動をするなと思っていれば、背後の扉の外が騒がしくなる。バンダナが扉を開けて廊下を確認し、振り返った。
「来たみたいですよ」
「丁度いいな」
そのまま領主と妹へ背を向けて部屋を出ようとすると、妹が叫ぶように呼び止める。振り返れば妹は身体へシーツを巻きつけ立っていた。
「何でよ! なんでわたしばっかり! 私が何かしたっていうの!?」
「少なくともこの島の奴等を騙しはしたな。まぁオレ達にとってはあり難かったから、一応礼を言ってやろう。今後はもう少し騙すのが上手くなるべきだろうよ」
いくら見た目が美人でも性格が良くなければ正直好みではない。そういえば兄貴のほうは何処へいるんだと思いながら部屋を出れば、後ろから領主が妹へ怒鳴りつけるように追及する声が聞こえてきた。
階下から騒ぎ声がするのは町から追いかけてきた民衆だろう。何処へ居るんだとか領主は無事かと言う声が聞こえるので、この階へ来るのにもそう時間は掛かるまい。
そして上の階からは、順繰りに何かを壊したり倒したりしながら何かが迫ってくる音。だんだん近付いてくるそれに廊下の奥をバンダナと一緒になって見ていると、上の階から階段を駆け下りてくる二人の影。
「船長! バンダナさん! 走れぇ!」
防寒帽を片手で抑えながら走る我らが副船長と、ローがクルーに欲しいと思っていた青年が、廊下一面を埋め尽くす鳥の群れに追われながら走ってきた。
二人が思わず驚いて動けないでいると、すれ違い様にシルビがローとバンダナの腕を掴む。それに引っ張られる形で走り出せば、鳥の群れへ追われる人数は総勢四人だ。
ギャアギャアと耳障りな鳴き声と、壁にぶつかるなどして墜落する鳥の可哀想な音が後ろから追ってくる。立ち止まるどころか振り返る為にスピードを緩めるだけでもあの群れへ捕まってしまいそうだ。
「何なんだいこりゃ!?」
「ヒッチコックの『鳥』を思い出しますねぇ」
「何だそれ?」
「鳥が襲ってくるえい……物語ですね。パニック物で迫力があります」
「そ、そんな話してる場合かよ!」
「あ、船長、プレゼント。新しいクルーです」
「いいのか!?」
「喜ぶのは後にしましょうや船長」
「なんなんだっ……!」
叫びながら走っていて青年が舌を噛んだらしい。