故郷の話
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ロー視点
「貴様には分からないだろう! 生まれた瞬間から『相談役』としての地位を得た貴様には! 格下のくせに民衆共はオレを敬いやしない! 歳下の候補者には追い越され金も地位も手に入りはしない!」
「俺はそれを一度も欲した覚えは無ぇ。お前が敬われねぇのはお前が敬うに足る人物じゃねぇからで、ツナヨシに追い越されたのはお前が何もしなかったからで、金も地位も手に入らねぇのはお前が努力してねぇからだろぉ。この国で既にそんな状態じゃ、『外』に行ったところで野垂れ死ぬだけだぁ」
「うるさいうるさいうるさい! ゴミ屑の一人がオレに楯突くんじゃない! 『炎』と『外』の力さえあればこんな国、簡単にオレのモノになっていたんだ!」
「その『外』にすらいけない奴が何言ってるんだか」
「黙れ海賊風情が! 『炎』すら使えないただの小汚い賞金首が口を挟むなっ……」
銃声。
「……俺の船長と、『海賊』を馬鹿にしねぇでくれるかなぁ」
ペンギンの声は普段と変わりない。まるで怒ることすら面倒だとばかりのその声色に、ローは今のペンギンが『副船長』なのか『相談役』なのか分からなくなる。
弾が掠った頬から血を流したヴェスプッチは、食いしばるように唇を噛み締めていた。何があってもいいようにといつでも能力が使えるようにと身構えたローの前へ、ペンギンが進み出る。
右手の銃は下ろされ、ペンギンはヴェスプッチが灯している小さな橙色の炎を見つめていた。その表情はローには見えない。
爆発が起こり再び船が揺れた。何処からか警告音が響き渡り避難を催促している。窓から窺える海面が近付いているのが見えた。早くしなければ船ごと海へ落ちてしまうかもしれない。
ヴェスプッチの部下が一斉にペンギンとローへと向かってくる。それぞれの手には炎の灯った武器があるが、捌けない程ではない。
その部下達を置いてヴェスプッチが背中を見せて走っていくのが見える。この期に及んで逃げるのかとか、部下は置いていくのかとヴェスプッチの愚劣ぶりにいっそ感心していれば、ペンギンが肩越しに振り返った。
「船長、これ頼みます」
「ペンギン?」
「もうすぐシャチが来ますよ」
「おい、待てっ!」
停止の声を気にせずヴェスプッチを追いかけていったペンギンに、ローは舌打ちを零す。
「っ……“ROOM”!」
腹いせとばかりに盛大に能力を展開させ、ローは長刀を鞘から抜いて構えた。
爆発の感覚が近くなっている。後ろからシャチの声が聞こえるので、シャチが来るまでには片付けてしまおうと思う。
その方が気兼ねなくベポとバイザクに近付けるし、あの馬鹿も追いかけられるからだ。
「気を楽にしろ……すぐ終わらせてやる!」
「貴様には分からないだろう! 生まれた瞬間から『相談役』としての地位を得た貴様には! 格下のくせに民衆共はオレを敬いやしない! 歳下の候補者には追い越され金も地位も手に入りはしない!」
「俺はそれを一度も欲した覚えは無ぇ。お前が敬われねぇのはお前が敬うに足る人物じゃねぇからで、ツナヨシに追い越されたのはお前が何もしなかったからで、金も地位も手に入らねぇのはお前が努力してねぇからだろぉ。この国で既にそんな状態じゃ、『外』に行ったところで野垂れ死ぬだけだぁ」
「うるさいうるさいうるさい! ゴミ屑の一人がオレに楯突くんじゃない! 『炎』と『外』の力さえあればこんな国、簡単にオレのモノになっていたんだ!」
「その『外』にすらいけない奴が何言ってるんだか」
「黙れ海賊風情が! 『炎』すら使えないただの小汚い賞金首が口を挟むなっ……」
銃声。
「……俺の船長と、『海賊』を馬鹿にしねぇでくれるかなぁ」
ペンギンの声は普段と変わりない。まるで怒ることすら面倒だとばかりのその声色に、ローは今のペンギンが『副船長』なのか『相談役』なのか分からなくなる。
弾が掠った頬から血を流したヴェスプッチは、食いしばるように唇を噛み締めていた。何があってもいいようにといつでも能力が使えるようにと身構えたローの前へ、ペンギンが進み出る。
右手の銃は下ろされ、ペンギンはヴェスプッチが灯している小さな橙色の炎を見つめていた。その表情はローには見えない。
爆発が起こり再び船が揺れた。何処からか警告音が響き渡り避難を催促している。窓から窺える海面が近付いているのが見えた。早くしなければ船ごと海へ落ちてしまうかもしれない。
ヴェスプッチの部下が一斉にペンギンとローへと向かってくる。それぞれの手には炎の灯った武器があるが、捌けない程ではない。
その部下達を置いてヴェスプッチが背中を見せて走っていくのが見える。この期に及んで逃げるのかとか、部下は置いていくのかとヴェスプッチの愚劣ぶりにいっそ感心していれば、ペンギンが肩越しに振り返った。
「船長、これ頼みます」
「ペンギン?」
「もうすぐシャチが来ますよ」
「おい、待てっ!」
停止の声を気にせずヴェスプッチを追いかけていったペンギンに、ローは舌打ちを零す。
「っ……“ROOM”!」
腹いせとばかりに盛大に能力を展開させ、ローは長刀を鞘から抜いて構えた。
爆発の感覚が近くなっている。後ろからシャチの声が聞こえるので、シャチが来るまでには片付けてしまおうと思う。
その方が気兼ねなくベポとバイザクに近付けるし、あの馬鹿も追いかけられるからだ。
「気を楽にしろ……すぐ終わらせてやる!」