故郷の話
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シャチ視点
ボウガンの矢を周囲の貨物に隠れて防ぐかクナイで叩き落していれば、いつかは矢がなくなるかなと思っていたものの、それは同時にシャチが相手へ近付く事が出来ないという事だ。ボウガンの弱点は至近距離と矢が無くなること。それくらいボウガンの使い手は承知しているだろうから、何の突破口にもなりはしない。
「逃げてばかりじゃ何も出来ませんよ?」
「うっさい! 分かってるし!」
思わず返事をするとボウガンの矢がシャチの隠れていた木箱へと突き刺さる。場所が悪いと貫通さえしてくるものだから、確実に隠れられる場所は少なかった。
そして向こうもそれが分かっていて、シャチがそういうポイントへ向かえないように仕向けてくる。
「隠れているのでしたらその隠れ場所も壊すだけ。貴方はご存じないでしょうから教えて差し上げますが、私の灯す炎の特質は相談役のお言葉通り『炎をまとわせた物の硬度を強化する』なので炎の威力を上げれば……」
発射音がしてシャチが隠れていた木箱にボウガンの矢が刺さった。その先端がシャチの顔の横へと突き出し、もう少しずれていれば危なかっただろう。矢には緑色の炎がまとわりついていたが、暫くすると完全に消えた。
「こうして簡単に折れることもなくなります」
なるほど炎の威力を上げると硬度も上がり、それまで貫通できなかったものも貫通できる強度を持つという事らしい。ただのボウガンの矢だと舐めてかかってはいけない。
こんなの無理だと思うものの、シャチはペンギンの言葉を思い出して何とか冷静さを取り戻す。
『信頼されてるって自覚しなさい』
自分も『死の外科医』トラファルガー・ローが率いるハートの海賊団の一員なのだ。その船長と副船長が『信頼』してシャチを残していったのである。
その期待に応えられなきゃ、男じゃない。
「隠れるのは止めたのですか?」
木箱の上へ登って姿を現したシャチに、男はボウガンの先を向ける。シャチはそのボウガンの矢の先ではなく、発射させるために添えられている男の指先を見つめた。
中身が入っている木箱さえ貫通するボウガンの矢。分かった事は幾つかあってその内の一つが、炎の威力が上がると矢の強度が上がる事。
けれども上がるのは、『矢の強度』だけだ。
「オレさ、ハートの中じゃ珍しく医師免許も持ってないし医者になれるような頭も持ってなくて、船長みたいに悪魔の実を食ってるワケでも、ペンギンみたいに億越えを一蹴りで吹き飛ばせるワケでもないんだ」
「落ちこぼれだから許して欲しいと?」
引き金はまだ引かれない。
ボウガンの矢を周囲の貨物に隠れて防ぐかクナイで叩き落していれば、いつかは矢がなくなるかなと思っていたものの、それは同時にシャチが相手へ近付く事が出来ないという事だ。ボウガンの弱点は至近距離と矢が無くなること。それくらいボウガンの使い手は承知しているだろうから、何の突破口にもなりはしない。
「逃げてばかりじゃ何も出来ませんよ?」
「うっさい! 分かってるし!」
思わず返事をするとボウガンの矢がシャチの隠れていた木箱へと突き刺さる。場所が悪いと貫通さえしてくるものだから、確実に隠れられる場所は少なかった。
そして向こうもそれが分かっていて、シャチがそういうポイントへ向かえないように仕向けてくる。
「隠れているのでしたらその隠れ場所も壊すだけ。貴方はご存じないでしょうから教えて差し上げますが、私の灯す炎の特質は相談役のお言葉通り『炎をまとわせた物の硬度を強化する』なので炎の威力を上げれば……」
発射音がしてシャチが隠れていた木箱にボウガンの矢が刺さった。その先端がシャチの顔の横へと突き出し、もう少しずれていれば危なかっただろう。矢には緑色の炎がまとわりついていたが、暫くすると完全に消えた。
「こうして簡単に折れることもなくなります」
なるほど炎の威力を上げると硬度も上がり、それまで貫通できなかったものも貫通できる強度を持つという事らしい。ただのボウガンの矢だと舐めてかかってはいけない。
こんなの無理だと思うものの、シャチはペンギンの言葉を思い出して何とか冷静さを取り戻す。
『信頼されてるって自覚しなさい』
自分も『死の外科医』トラファルガー・ローが率いるハートの海賊団の一員なのだ。その船長と副船長が『信頼』してシャチを残していったのである。
その期待に応えられなきゃ、男じゃない。
「隠れるのは止めたのですか?」
木箱の上へ登って姿を現したシャチに、男はボウガンの先を向ける。シャチはそのボウガンの矢の先ではなく、発射させるために添えられている男の指先を見つめた。
中身が入っている木箱さえ貫通するボウガンの矢。分かった事は幾つかあってその内の一つが、炎の威力が上がると矢の強度が上がる事。
けれども上がるのは、『矢の強度』だけだ。
「オレさ、ハートの中じゃ珍しく医師免許も持ってないし医者になれるような頭も持ってなくて、船長みたいに悪魔の実を食ってるワケでも、ペンギンみたいに億越えを一蹴りで吹き飛ばせるワケでもないんだ」
「落ちこぼれだから許して欲しいと?」
引き金はまだ引かれない。