故郷の話
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シャチ視点
溜め息を吐いたペンギンは、腕を組んで馬鹿にしたように男を見る。
「造りえねぇ技術の結晶って時点で、思考回路を破壊するのは難しいと思うぜぇ」
「最悪動力源だけ取り出せればいいでしょう。それとも貴方がやってくれますか?」
「却下。自分の娘を壊すとか誰が了承するんだぁ?」
「たかが作り物を『娘』と呼んで愛でているだけの貴方には分からないでしょうね。アレがどんなに価値のあるものか」
「バイザクをモノ扱いすんなよ!」
思わず口を挟んでしまってから、シャチはしまったと思うものの怒っている事は確かだったのでそのまま男を睨みつけた。意外そうにペンギンからシャチへと視線を移した男は、シャチが船長の様に二つ名もないただの船員の一人だと悟るとゴミを見るような目をする。
「炎も使えないただの海賊が、口出ししないでいただきたい」
「炎が使えないからって何だよ! 炎が無くちゃ何も出来ないって自己紹介じゃん!」
船長がちょっと噴き出していた。ペンギンも思わずといったように顔を逸らして咳き込んでいたが、あれは多分笑っている。
痛いところを衝いたのか男が青筋を浮かべてシャチを睨んできた。
「だってその通りだろ? さっきから『炎』『炎』って、炎灯せなきゃ何も出来ないって言ってる様にしか聞こえないし」
「炎も灯せない者が何を言う!」
「ホラまた『炎』って言った!」
揚げ足を取るようにそう言えば、男がボウガンを構えて矢を放つ。けれども目前へせまったそれは、シャチを庇うように前へ出たペンギンが蹴り上げる。その一撃で粉砕された矢の破片がパラパラと床へ落ちた。
「船長」
「そうだな。……シャチ。お前コイツの相手してから追いかけて来い」
「へっ!?」
いきなりの船長命令に素っ頓狂な声が出る。
「『外』は炎が使えたって怖いところだって教えてやれ」
面白そうにそう命じる船長は、男がボウガンを向けても気にした様子も無く通路へと向かって歩き出した。その後を追い掛ける様にペンギンまでシャチの傍を離れてしまう。
「ペ、ペンギン……」
「あの男が灯した炎は『硬化』の特質を持つ緑の炎だぁ。炎をまとわせた物の硬度を強化すると考えればいい。……まぁ、シャチもハートのクルーだしなぁ」
「それ何の慰めにもなってないんだけど!?」
思わず叫べばペンギンの手がシャチの頭へと置かれた。
「シャチなら倒せると思って船長も俺も先に行くんだから、信頼されてるって自覚しなさい」
そう言って男の隙をぬって走り去ってしまった二人に、シャチは口出ししてしまった数分前の自分を恨む。追いかけるのではなくシャチを倒す事に決めたらしい男がボウガンを構えるのに対し、シャチはツナギへ仕舞ってあった己の得物であるクナイを取り出して両手へ構えた。
溜め息を吐いたペンギンは、腕を組んで馬鹿にしたように男を見る。
「造りえねぇ技術の結晶って時点で、思考回路を破壊するのは難しいと思うぜぇ」
「最悪動力源だけ取り出せればいいでしょう。それとも貴方がやってくれますか?」
「却下。自分の娘を壊すとか誰が了承するんだぁ?」
「たかが作り物を『娘』と呼んで愛でているだけの貴方には分からないでしょうね。アレがどんなに価値のあるものか」
「バイザクをモノ扱いすんなよ!」
思わず口を挟んでしまってから、シャチはしまったと思うものの怒っている事は確かだったのでそのまま男を睨みつけた。意外そうにペンギンからシャチへと視線を移した男は、シャチが船長の様に二つ名もないただの船員の一人だと悟るとゴミを見るような目をする。
「炎も使えないただの海賊が、口出ししないでいただきたい」
「炎が使えないからって何だよ! 炎が無くちゃ何も出来ないって自己紹介じゃん!」
船長がちょっと噴き出していた。ペンギンも思わずといったように顔を逸らして咳き込んでいたが、あれは多分笑っている。
痛いところを衝いたのか男が青筋を浮かべてシャチを睨んできた。
「だってその通りだろ? さっきから『炎』『炎』って、炎灯せなきゃ何も出来ないって言ってる様にしか聞こえないし」
「炎も灯せない者が何を言う!」
「ホラまた『炎』って言った!」
揚げ足を取るようにそう言えば、男がボウガンを構えて矢を放つ。けれども目前へせまったそれは、シャチを庇うように前へ出たペンギンが蹴り上げる。その一撃で粉砕された矢の破片がパラパラと床へ落ちた。
「船長」
「そうだな。……シャチ。お前コイツの相手してから追いかけて来い」
「へっ!?」
いきなりの船長命令に素っ頓狂な声が出る。
「『外』は炎が使えたって怖いところだって教えてやれ」
面白そうにそう命じる船長は、男がボウガンを向けても気にした様子も無く通路へと向かって歩き出した。その後を追い掛ける様にペンギンまでシャチの傍を離れてしまう。
「ペ、ペンギン……」
「あの男が灯した炎は『硬化』の特質を持つ緑の炎だぁ。炎をまとわせた物の硬度を強化すると考えればいい。……まぁ、シャチもハートのクルーだしなぁ」
「それ何の慰めにもなってないんだけど!?」
思わず叫べばペンギンの手がシャチの頭へと置かれた。
「シャチなら倒せると思って船長も俺も先に行くんだから、信頼されてるって自覚しなさい」
そう言って男の隙をぬって走り去ってしまった二人に、シャチは口出ししてしまった数分前の自分を恨む。追いかけるのではなくシャチを倒す事に決めたらしい男がボウガンを構えるのに対し、シャチはツナギへ仕舞ってあった己の得物であるクナイを取り出して両手へ構えた。