故郷の話
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ロー視点
「し、死ぬかとっ……」
「下は海だしこの高さなら大丈夫だってぇ」
シャチを助けに来たようにも見えた巨大豹と入れ替わる事で、ローとペンギンが飛行船へ乗り込めばシャチが半泣きでペンギンへしがみ付いていた。
確かにいきなり豹に咥えられ、空を跳んで飛行船へ移動など、滅多に無い経験だろう。落ちないように気をつけながら見下ろした海は、ペンギンの言う通り落ちて平気だとは到底思えない。
とりあえずこれ以上の落下の危険性を下げる為にも格納口を閉める。ロー達は空を飛べはしないので、これでこの飛行船を奪取するか何処かへ着陸するかしないと降りられない。
カチ、と撃鉄が引かれる音がして、ローは通路へ繋がる扉を振り返る。視界を銃弾とは違うものが飛びぬけ、ペンギンがシャチを抱えて飛び退いた。
壁に刺さったのはボウガンの矢だ。通常であれば木製でもない壁へ突き刺さっているそれには、緑色の炎がまとわりついている。
「……ランク高けぇなぁ」
「ヴェスプッチ様の一番の部下ですので、この程度は当たり前かと」
ボウガンを右手へ提げた男は、ペンギンの言葉に鼻を鳴らしてみせた。どうやら『炎』にも属性以外に個人差があるらしい。どんどん新事実が発覚していくなとローは思うものの、この国の奴にとっては当たり前の知識なのかペンギンも男も驚きもしなかった。
「ベポとバイザクは何処に居る?」
「害獣とお嬢様でしたらこの先の操舵室へいますよ。害獣を殺したら自分も死ぬなどと言い出すのでね、運ぶのが大変でしたよ」
「この船に乗ってるんだな?」
「乗ってるだけですよ。そのうち海へ落として処分する予定です。……もっとも、それは貴方方も同じですが」
男が笑うのにローは長刀を構えかける。人の船のクルーを『害獣』呼ばわりも気に食わないが、更に自分達も殺そうとしている事に腹が立ったからだ。
ロー一人ならいい。『炎』が使えようが何だろうがこの程度の奴へ負ける気はしない。だがクルーへ手を出すというのなら容赦は出来なかった。
「……ちなみに、この船は何処へ行こうとしてんだぁ?」
ペンギンが尋ねる。
「この国の『外』です。こんな平和ボケした国へ閉じこもっておらずとも、我々のこの『炎』があれば世界など手の中も同然! 相談役、貴方もそうは思いませんか? この国は臆病だ。何百年も『外』から来る者を選択し取捨し、その結果我々は世界政府へも相手にされない弱小国家と成り果てた!」
「……バイザクを攫った理由は」
「あの『機械人形』は『外』の奴等では到底作りえない技術の結晶! 希少な『夜の炎』を動力源とした塊だ! 思考回路を破壊し命令だけを聞くように作り変えれば、またとない『戦闘兵器』になる!」
興奮気味に語る男に、ペンギンが頭を掻きながら溜め息を付いた。
「し、死ぬかとっ……」
「下は海だしこの高さなら大丈夫だってぇ」
シャチを助けに来たようにも見えた巨大豹と入れ替わる事で、ローとペンギンが飛行船へ乗り込めばシャチが半泣きでペンギンへしがみ付いていた。
確かにいきなり豹に咥えられ、空を跳んで飛行船へ移動など、滅多に無い経験だろう。落ちないように気をつけながら見下ろした海は、ペンギンの言う通り落ちて平気だとは到底思えない。
とりあえずこれ以上の落下の危険性を下げる為にも格納口を閉める。ロー達は空を飛べはしないので、これでこの飛行船を奪取するか何処かへ着陸するかしないと降りられない。
カチ、と撃鉄が引かれる音がして、ローは通路へ繋がる扉を振り返る。視界を銃弾とは違うものが飛びぬけ、ペンギンがシャチを抱えて飛び退いた。
壁に刺さったのはボウガンの矢だ。通常であれば木製でもない壁へ突き刺さっているそれには、緑色の炎がまとわりついている。
「……ランク高けぇなぁ」
「ヴェスプッチ様の一番の部下ですので、この程度は当たり前かと」
ボウガンを右手へ提げた男は、ペンギンの言葉に鼻を鳴らしてみせた。どうやら『炎』にも属性以外に個人差があるらしい。どんどん新事実が発覚していくなとローは思うものの、この国の奴にとっては当たり前の知識なのかペンギンも男も驚きもしなかった。
「ベポとバイザクは何処に居る?」
「害獣とお嬢様でしたらこの先の操舵室へいますよ。害獣を殺したら自分も死ぬなどと言い出すのでね、運ぶのが大変でしたよ」
「この船に乗ってるんだな?」
「乗ってるだけですよ。そのうち海へ落として処分する予定です。……もっとも、それは貴方方も同じですが」
男が笑うのにローは長刀を構えかける。人の船のクルーを『害獣』呼ばわりも気に食わないが、更に自分達も殺そうとしている事に腹が立ったからだ。
ロー一人ならいい。『炎』が使えようが何だろうがこの程度の奴へ負ける気はしない。だがクルーへ手を出すというのなら容赦は出来なかった。
「……ちなみに、この船は何処へ行こうとしてんだぁ?」
ペンギンが尋ねる。
「この国の『外』です。こんな平和ボケした国へ閉じこもっておらずとも、我々のこの『炎』があれば世界など手の中も同然! 相談役、貴方もそうは思いませんか? この国は臆病だ。何百年も『外』から来る者を選択し取捨し、その結果我々は世界政府へも相手にされない弱小国家と成り果てた!」
「……バイザクを攫った理由は」
「あの『機械人形』は『外』の奴等では到底作りえない技術の結晶! 希少な『夜の炎』を動力源とした塊だ! 思考回路を破壊し命令だけを聞くように作り変えれば、またとない『戦闘兵器』になる!」
興奮気味に語る男に、ペンギンが頭を掻きながら溜め息を付いた。