原作前日常編
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夢主視点
「……ん、始まったなぁ」
窓の外に眺められる町の様子を確認し、シルビは屋内へと振り返る。使用人から強奪した服を着ている青年は無視し、反対側の壁へある窓へ向かう。
この屋根裏部屋は本来物見櫓だったのか建物の中では一際高く突き出しており、四方を目視できるように窓が備えられていた。この島で昔どんな争いがあったのか知らないが、港側の窓が比較的大きい事を考えれば、やはり海賊対策なのだろう。
それが今や『海賊』であるシルビに利用されるとは、この建物が建てられた当時の者にとっては残念に違いない。
東側の窓から外を確認すれば屋根の上へ鳥の群れが留まっていた。森で起こった爆破から逃げてきたのだろうその鳥が、何かに反応して空へ舞い上がる。
シルビは愛用している銃を取り出して空へと舞い上がった鳥へ狙いをつけた。銃と言ってはいるが正確には『銃の形をしている』だけであって銃ではない。
しかしシルビが使える能力と併用する事で、本来の銃以上の力を発揮するそれをシルビは気に入っている。例えばどう考えても然程飛距離が無いはずのその銃で、狙撃銃並みの飛距離を狙えるところなどをだ。
乾いた音に続いて鳥の聞くに堪えない鳴き声が響く。その声へ反応して屋根の上から舞い上がった鳥の群れが、曲線を描くように飛んでいくのを追い掛けて、南側の窓からもう一発。
「何してんだ?」
「君は鶏肉って嫌いかぁ?」
「き、嫌いじゃねえけど? 豚や牛よりは簡単に手に入るしな」
「じゃあ見ねぇ事をお勧めする。鳥に限った話じゃねぇけど、群れってのは恐ろしいもんだぜぇ」
予測通り仲間を撃たれてか至近距離で発砲された事による混乱でか、鳥の群れはシルビ達の居る屋根裏部屋の周囲をグルグルと旋回し始める。屋根や森へ留まろうとするのを窓から狙って撃つことで阻止しひたすらグルグルと跳び続けさせていると、地上で民衆に追われながらローとバンダナが走ってくるのが見えた。
屋敷の扉は開けてある。そのまま一直線に屋敷へ駆けて来る二人を確認し、シルビも窓から外の鳥の様子を呆然と眺めている青年の腕を掴んだ。
「走るのに自信あるかぁ?」
「なんか嫌な予感しかしねえんだけど!?」
「その通りぃ!」
腕を掴んだまま屋根裏部屋を降りる階段へと向かい、シルビは青年を先に行かせて階段から窓を撃って割る。硝子の砕ける音に続いて、我を忘れて飛び込んでくる鳥の群れ。
『彼等』は今、恐怖と混乱と怒りによって『本能丸出し』状態になっていた。そして『本能』に近ければ近いほど、動植物や無機生命体はシルビへ畏敬と様々な『感情』を向ける。
「さぁ、おいでぇ。言葉が分かるだけの娘に負けねぇよ俺は」
「……ん、始まったなぁ」
窓の外に眺められる町の様子を確認し、シルビは屋内へと振り返る。使用人から強奪した服を着ている青年は無視し、反対側の壁へある窓へ向かう。
この屋根裏部屋は本来物見櫓だったのか建物の中では一際高く突き出しており、四方を目視できるように窓が備えられていた。この島で昔どんな争いがあったのか知らないが、港側の窓が比較的大きい事を考えれば、やはり海賊対策なのだろう。
それが今や『海賊』であるシルビに利用されるとは、この建物が建てられた当時の者にとっては残念に違いない。
東側の窓から外を確認すれば屋根の上へ鳥の群れが留まっていた。森で起こった爆破から逃げてきたのだろうその鳥が、何かに反応して空へ舞い上がる。
シルビは愛用している銃を取り出して空へと舞い上がった鳥へ狙いをつけた。銃と言ってはいるが正確には『銃の形をしている』だけであって銃ではない。
しかしシルビが使える能力と併用する事で、本来の銃以上の力を発揮するそれをシルビは気に入っている。例えばどう考えても然程飛距離が無いはずのその銃で、狙撃銃並みの飛距離を狙えるところなどをだ。
乾いた音に続いて鳥の聞くに堪えない鳴き声が響く。その声へ反応して屋根の上から舞い上がった鳥の群れが、曲線を描くように飛んでいくのを追い掛けて、南側の窓からもう一発。
「何してんだ?」
「君は鶏肉って嫌いかぁ?」
「き、嫌いじゃねえけど? 豚や牛よりは簡単に手に入るしな」
「じゃあ見ねぇ事をお勧めする。鳥に限った話じゃねぇけど、群れってのは恐ろしいもんだぜぇ」
予測通り仲間を撃たれてか至近距離で発砲された事による混乱でか、鳥の群れはシルビ達の居る屋根裏部屋の周囲をグルグルと旋回し始める。屋根や森へ留まろうとするのを窓から狙って撃つことで阻止しひたすらグルグルと跳び続けさせていると、地上で民衆に追われながらローとバンダナが走ってくるのが見えた。
屋敷の扉は開けてある。そのまま一直線に屋敷へ駆けて来る二人を確認し、シルビも窓から外の鳥の様子を呆然と眺めている青年の腕を掴んだ。
「走るのに自信あるかぁ?」
「なんか嫌な予感しかしねえんだけど!?」
「その通りぃ!」
腕を掴んだまま屋根裏部屋を降りる階段へと向かい、シルビは青年を先に行かせて階段から窓を撃って割る。硝子の砕ける音に続いて、我を忘れて飛び込んでくる鳥の群れ。
『彼等』は今、恐怖と混乱と怒りによって『本能丸出し』状態になっていた。そして『本能』に近ければ近いほど、動植物や無機生命体はシルビへ畏敬と様々な『感情』を向ける。
「さぁ、おいでぇ。言葉が分かるだけの娘に負けねぇよ俺は」