故郷の話
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シャチ視点
倉庫の鍵が開けられていたとしても、中にはヴェスプッチの部下がいるだろう事は考えずとも分かる。船長が能力を使って倉庫内をある程度探ってみたが、ベポとバイザクの姿は無さそうだという。
「誘拐してりゃ此処に連れて来てると思ったんだが……当てが外れたかなぁ」
「中の奴等に聞いてみればいいだろ」
「中に何人居ると思ってそれを言ってますか船長。……多分関係ねぇ従業員も居るんですよ。彼等に手を出しゃ今度こそハートの海賊団が襲撃したって話になっちまう」
木箱の陰に隠れて話す船長とペンギンに、シャチは近くを通り過ぎた従業員がコチラへ気付いていないのを確認してから振り返った。
「フクロウ、じゃない。ムクロは?」
「アイツが誰に憑依してるか知らねぇ。畜生、全員寝かせるとか出来りゃ楽なのによぉ」
「ペンギンはムクロみたいな『ヒョウイ』って出来ないの?」
「出来ねぇなぁ。あれはムクロが……そっか、幻覚って手があんのかぁ」
何かを思いついたらしいペンギンが木箱の陰から身を乗り出し、従業員だかヴェスプッチ一派だか分からない人影を観察している。それから何か数を数えると、後ろに居た船長へと声を掛けた。
「船長、あそこの奴等を三人程ここに“シャンブル”出来ます?」
「ちょっと退け。……“ROOM”」
薄い膜のようなものが広がり、その膜で作られた半円状のドームの中へペンギンが指定した三人が入り込む。それを見計らって船長が近くに転がっていたロープの切れ端といったゴミと『入れ替えた』
唐突に自分の居場所が移動し、何が起こったのか分かっていない様子の三人をペンギンが飛び掛って気絶させる。声を発する時間さえ与えずに三人の意識を奪ったペンギンは、その三人を順に木箱の陰へと引き摺って隠した。
それから戻ってきたかと思うと、左手で指を鳴らす。
「……幻覚を掛けました。今俺達は周囲からこの三人に見えている筈です」
「ハァ?」
「クローム屋と同じ『炎』だったな」
「下手な幻覚は上手い幻術師が相手だとすぐに見破られる上に、俺はあんまり幻覚得意じゃねぇんですよ。だからこういうのはやりたくねぇんですけど」
「背に腹は変えられないだろ。クローム屋は上手いのか?」
「ムクロとクローム、それにあと一人がこの国で最高位の幻術師ですよ。あいつ等の幻術は俺でも時々見破れませんし」
ペンギンが木箱の陰から堂々と出て行く。船長がその後を悠然と追うのに、シャチも慌てて付いていった。
周囲で作業をしている作業員達は、シャチ達を見ても別段気にした様子も無く通り過ぎている。目が合うたびにシャチなんかはバレやしないかとビクビクしてしまうのだが、そんなシャチの肩を船長が叩いた。
「堂々としてろ。その方がばれにくい」
「は、はい」
倉庫の鍵が開けられていたとしても、中にはヴェスプッチの部下がいるだろう事は考えずとも分かる。船長が能力を使って倉庫内をある程度探ってみたが、ベポとバイザクの姿は無さそうだという。
「誘拐してりゃ此処に連れて来てると思ったんだが……当てが外れたかなぁ」
「中の奴等に聞いてみればいいだろ」
「中に何人居ると思ってそれを言ってますか船長。……多分関係ねぇ従業員も居るんですよ。彼等に手を出しゃ今度こそハートの海賊団が襲撃したって話になっちまう」
木箱の陰に隠れて話す船長とペンギンに、シャチは近くを通り過ぎた従業員がコチラへ気付いていないのを確認してから振り返った。
「フクロウ、じゃない。ムクロは?」
「アイツが誰に憑依してるか知らねぇ。畜生、全員寝かせるとか出来りゃ楽なのによぉ」
「ペンギンはムクロみたいな『ヒョウイ』って出来ないの?」
「出来ねぇなぁ。あれはムクロが……そっか、幻覚って手があんのかぁ」
何かを思いついたらしいペンギンが木箱の陰から身を乗り出し、従業員だかヴェスプッチ一派だか分からない人影を観察している。それから何か数を数えると、後ろに居た船長へと声を掛けた。
「船長、あそこの奴等を三人程ここに“シャンブル”出来ます?」
「ちょっと退け。……“ROOM”」
薄い膜のようなものが広がり、その膜で作られた半円状のドームの中へペンギンが指定した三人が入り込む。それを見計らって船長が近くに転がっていたロープの切れ端といったゴミと『入れ替えた』
唐突に自分の居場所が移動し、何が起こったのか分かっていない様子の三人をペンギンが飛び掛って気絶させる。声を発する時間さえ与えずに三人の意識を奪ったペンギンは、その三人を順に木箱の陰へと引き摺って隠した。
それから戻ってきたかと思うと、左手で指を鳴らす。
「……幻覚を掛けました。今俺達は周囲からこの三人に見えている筈です」
「ハァ?」
「クローム屋と同じ『炎』だったな」
「下手な幻覚は上手い幻術師が相手だとすぐに見破られる上に、俺はあんまり幻覚得意じゃねぇんですよ。だからこういうのはやりたくねぇんですけど」
「背に腹は変えられないだろ。クローム屋は上手いのか?」
「ムクロとクローム、それにあと一人がこの国で最高位の幻術師ですよ。あいつ等の幻術は俺でも時々見破れませんし」
ペンギンが木箱の陰から堂々と出て行く。船長がその後を悠然と追うのに、シャチも慌てて付いていった。
周囲で作業をしている作業員達は、シャチ達を見ても別段気にした様子も無く通り過ぎている。目が合うたびにシャチなんかはバレやしないかとビクビクしてしまうのだが、そんなシャチの肩を船長が叩いた。
「堂々としてろ。その方がばれにくい」
「は、はい」