故郷の話
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シャチ視点
帽子を畳んで尻ポケットへ押し込んだペンギンは、周囲のどよめきを気にした様子も無くクロームの傍に居る童顔の青年へと近付き、その頭をおもむろに撫でた。
「元気そうで何よりぃ」
「せ、せんぱいっ」
今にも泣き出しそうなその青年の呼びかけは無視して、ペンギンは気絶しているヴェスプッチを振り返る。そうやってペンギンが動く度に、シャチの傍に居る民衆はざわざわと色めき立っていた。
『この国』では、『シルビ』と名乗ったペンギンはそれだけ重要で人気のある立場なのだろう。漠然とそれを理解してシャチは少し寂しさを感じた。
「ボンゴレ領主次期後継者候補ツナヨシ。同じく次期後継者候補ヴェスプッチ。貴殿等の尋問に関し、現ボンゴレ領主九代目への拝謁を相談役として望む。その時が来るまで屋敷での謹慎を求めたい」
「……分かりました」
ツナヨシというらしい青年が頭を下げる。クロームが何か言いたげに身を乗り出しかけたが、それはツナヨシの部下らしい男へ止められていた。くすんだ銀髪の目付きが悪い男だが、ヴェスプッチに対するような不快さは無い。
民衆の視線を受けてヴェスプッチをその部下達が運んで、ツナヨシは自分の足で屋敷へと向かって歩き出す。話に付いていけていないのはシャチ達ハートのクルーだけで、ぞろぞろと退散していく彼等を見送るしかない最中、去っていくのを眺めていたペンギンが口を開いた。
「ツナヨシ」
「何ですかセンパイ」
立ち止まって振り返ったツナヨシに、周りの者たちも足を止める。
「俺の娘とハートの海賊団クルーの一人が見当たらねぇ。ベスターにも探して貰っているんだがどうにも戻ってこねぇ」
「ベスター扱き使ってると、ザンザスに怒られますよ?」
「いいんだよ、ベスターには『お願い』してんだしぃ。不明になったのは先の襲撃未遂直後。よって襲撃との関連性が高けぇ。このままだとハートの海賊団への敵対行為として『トラファルガー船長』と『副船長』が見なすだろうから、手を貸してくれぇ」
そのペンギンの『言い方』に、思わずといったように船長が笑い声を上げた。見れば船長は帽子を押さえて前屈みになってまで笑っている。
「上手い言い回しだな」
ペンギンは何も言わずにニヤリと笑い返した。訳の分からないシャチとは違って、聞いていたジャンバールやバンダナは感心した風にペンギンを見ている。
「そうですね。それはこの国の信頼問題に関わりますね」
ツナヨシとその周りに居たクロームや部下達が顔を見合わせ、頷いたかと思うと走り出した。
遠くで猛獣の吼える声が聞こえる。
帽子を畳んで尻ポケットへ押し込んだペンギンは、周囲のどよめきを気にした様子も無くクロームの傍に居る童顔の青年へと近付き、その頭をおもむろに撫でた。
「元気そうで何よりぃ」
「せ、せんぱいっ」
今にも泣き出しそうなその青年の呼びかけは無視して、ペンギンは気絶しているヴェスプッチを振り返る。そうやってペンギンが動く度に、シャチの傍に居る民衆はざわざわと色めき立っていた。
『この国』では、『シルビ』と名乗ったペンギンはそれだけ重要で人気のある立場なのだろう。漠然とそれを理解してシャチは少し寂しさを感じた。
「ボンゴレ領主次期後継者候補ツナヨシ。同じく次期後継者候補ヴェスプッチ。貴殿等の尋問に関し、現ボンゴレ領主九代目への拝謁を相談役として望む。その時が来るまで屋敷での謹慎を求めたい」
「……分かりました」
ツナヨシというらしい青年が頭を下げる。クロームが何か言いたげに身を乗り出しかけたが、それはツナヨシの部下らしい男へ止められていた。くすんだ銀髪の目付きが悪い男だが、ヴェスプッチに対するような不快さは無い。
民衆の視線を受けてヴェスプッチをその部下達が運んで、ツナヨシは自分の足で屋敷へと向かって歩き出す。話に付いていけていないのはシャチ達ハートのクルーだけで、ぞろぞろと退散していく彼等を見送るしかない最中、去っていくのを眺めていたペンギンが口を開いた。
「ツナヨシ」
「何ですかセンパイ」
立ち止まって振り返ったツナヨシに、周りの者たちも足を止める。
「俺の娘とハートの海賊団クルーの一人が見当たらねぇ。ベスターにも探して貰っているんだがどうにも戻ってこねぇ」
「ベスター扱き使ってると、ザンザスに怒られますよ?」
「いいんだよ、ベスターには『お願い』してんだしぃ。不明になったのは先の襲撃未遂直後。よって襲撃との関連性が高けぇ。このままだとハートの海賊団への敵対行為として『トラファルガー船長』と『副船長』が見なすだろうから、手を貸してくれぇ」
そのペンギンの『言い方』に、思わずといったように船長が笑い声を上げた。見れば船長は帽子を押さえて前屈みになってまで笑っている。
「上手い言い回しだな」
ペンギンは何も言わずにニヤリと笑い返した。訳の分からないシャチとは違って、聞いていたジャンバールやバンダナは感心した風にペンギンを見ている。
「そうですね。それはこの国の信頼問題に関わりますね」
ツナヨシとその周りに居たクロームや部下達が顔を見合わせ、頷いたかと思うと走り出した。
遠くで猛獣の吼える声が聞こえる。