故郷の話
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ロー視点
「何者だ?」
ヴェスプッチが訝しげにペンギンを見たのとは対照的に、ツナヨシ達が驚いた顔をする。ペンギンはそれを気に掛ける素振りすら見せずにローの脇を抜け、ヴェスプッチへと近付くと利き手である左手を振り上げヴェスプッチの顔面を思い切り殴りつけた。
ウェ、ともウプ、ともつかない声を上げてヴェスプッチが仰向けに倒れる。完全に倒れる寸前、白目をむいて鼻血を出しているどころか前歯も数本折れているのが見えた。
殴りつけた体勢のまま動きを止めていたペンギンは、手に着いた血を振り払いながら鼻を鳴らしてヴェスプッチを見下ろす。
「失望したよ」
たった一言。
そのたった一言を発した後、ペンギンがおもむろに防寒帽へと手を掛けた。
ずるりと外された帽子の下から、長い黒髪が背中へと流れていく。ポケットからゴムを取り出してその髪を手早く纏めたペンギンは、髪を一つに結わえ終えると気絶しているヴェスプッチの腹へと片脚を乗せて踏みつけた。
「なぁにが『我等の相談役』だぁ。その割には俺の声も忘れてんじゃねぇかぁ。しかも『何者だ』って、全然俺に気付いてねぇじゃねぇかよテメェの行為こそ超直感を汚してんだぁ! ハートの海賊団が襲撃した事実は無ぇしむしろ襲撃された側だよテメェの部下に!」
「セ、センパ……」
「ツナヨシもちゃんと言い返せぇ。お前の指示は間違ってなかったんだから。億越えの船長がいる海賊だろうが俺が乗ってた時点で無害だとは証明されてんだよ。それをしたくて乗ってたわけじゃねぇねけど、この国に害があるような船だったらそもそも俺は乗ってねぇ!」
興奮しているせいか、息継ぎのタイミングで腹へ乗せていた足を踏み鳴らしている。その度に気絶しているであろうヴェスプッチから変な声が聞こえた。
正直聞くに耐えないが、ロー以外の者はそんな音を気にしている場合ではないらしい。群集もジャンバール達もシャチでさえ、ペンギンの正体に唖然として言葉を無くしている。
ここは自分が宥めるべきなのだろうかと、ローが思ってしまうほどにだ。
「おいペンギン……」
「『トラファルガー』。今は邪魔しないでくれねぇ?」
振り返ったペンギンの目がローを射抜く。久しぶりに防寒帽無しで見た紫色の眼は、日の光に晒され爛々と輝いていた。
本気なのだろう。ローのことを『船長』と呼ばない時点でそれが分かる。
ローが口を閉ざした事を確認した『シルビ』は、ヴェスプッチから足を降ろすとその身体を蹴飛ばしてヴェスプッチの部下と思われる奴等の居る方へと転がした。それから周囲で見守っていた面々の全員と目を合わせるようにゆっくりと辺りを見回す。
「この騒ぎ、グラマト・T・シルビが預かる」
「何者だ?」
ヴェスプッチが訝しげにペンギンを見たのとは対照的に、ツナヨシ達が驚いた顔をする。ペンギンはそれを気に掛ける素振りすら見せずにローの脇を抜け、ヴェスプッチへと近付くと利き手である左手を振り上げヴェスプッチの顔面を思い切り殴りつけた。
ウェ、ともウプ、ともつかない声を上げてヴェスプッチが仰向けに倒れる。完全に倒れる寸前、白目をむいて鼻血を出しているどころか前歯も数本折れているのが見えた。
殴りつけた体勢のまま動きを止めていたペンギンは、手に着いた血を振り払いながら鼻を鳴らしてヴェスプッチを見下ろす。
「失望したよ」
たった一言。
そのたった一言を発した後、ペンギンがおもむろに防寒帽へと手を掛けた。
ずるりと外された帽子の下から、長い黒髪が背中へと流れていく。ポケットからゴムを取り出してその髪を手早く纏めたペンギンは、髪を一つに結わえ終えると気絶しているヴェスプッチの腹へと片脚を乗せて踏みつけた。
「なぁにが『我等の相談役』だぁ。その割には俺の声も忘れてんじゃねぇかぁ。しかも『何者だ』って、全然俺に気付いてねぇじゃねぇかよテメェの行為こそ超直感を汚してんだぁ! ハートの海賊団が襲撃した事実は無ぇしむしろ襲撃された側だよテメェの部下に!」
「セ、センパ……」
「ツナヨシもちゃんと言い返せぇ。お前の指示は間違ってなかったんだから。億越えの船長がいる海賊だろうが俺が乗ってた時点で無害だとは証明されてんだよ。それをしたくて乗ってたわけじゃねぇねけど、この国に害があるような船だったらそもそも俺は乗ってねぇ!」
興奮しているせいか、息継ぎのタイミングで腹へ乗せていた足を踏み鳴らしている。その度に気絶しているであろうヴェスプッチから変な声が聞こえた。
正直聞くに耐えないが、ロー以外の者はそんな音を気にしている場合ではないらしい。群集もジャンバール達もシャチでさえ、ペンギンの正体に唖然として言葉を無くしている。
ここは自分が宥めるべきなのだろうかと、ローが思ってしまうほどにだ。
「おいペンギン……」
「『トラファルガー』。今は邪魔しないでくれねぇ?」
振り返ったペンギンの目がローを射抜く。久しぶりに防寒帽無しで見た紫色の眼は、日の光に晒され爛々と輝いていた。
本気なのだろう。ローのことを『船長』と呼ばない時点でそれが分かる。
ローが口を閉ざした事を確認した『シルビ』は、ヴェスプッチから足を降ろすとその身体を蹴飛ばしてヴェスプッチの部下と思われる奴等の居る方へと転がした。それから周囲で見守っていた面々の全員と目を合わせるようにゆっくりと辺りを見回す。
「この騒ぎ、グラマト・T・シルビが預かる」