故郷の話
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シャチ視点
「出たな! 『死の外科医』トラファルガー・ロー!」
船長に気付いて振り返ったヴェスプッチが、勝ち誇ったようにがなり立てた。周囲で壁を作って見物していた島民達がざわめき立つ。
「コイツは懸賞金四億の賞金首だ! 先日世間を騒がせた『ロッキーポート事件』の首謀者だとも言われている。そんな危険人物を我々の島へ入れてよいのか、諸君、どう思うか!」
何を言ってるんだコイツとシャチは思ったものの、すぐ傍から『確かに、そうなのかな』と不安の滲む声が聞こえてギクリとした。確かに船長は億越えで、それだけの賞金を掛けられるような行為だって今まで確かにしてきたが、だからといってこの島では何もしていない。
していないから怖くない、というのも変な話だけれど、こんな風に不安を煽るのもおかしいとは思う。船長はヴェスプッチの言葉など気にした様子もなく肩を竦めていた。
「しかも入れたのは次期後継者候補ツナヨシだぞ。これはこの国へ対する反逆行為に他ならないだろう! 超直感の名を汚す行為とも言っていい。超直感がもたらす信頼を逆手に取りこうして汚らしい海賊をこの島へ入れ、我々の平穏を脅かそうとしているのだから!」
ツナヨシと言われて周囲の視線を受けた青年は黙ってヴェスプッチの話を聞いている。反論も何もしないことに、シャチは自分のことではないのに怒れよと思った。
ペンギンが口元を押さえて咳き込んでいる。フクロウがそんなペンギンの肩へと留まった。
「更には! この穢れた海賊共は我らが相談役の娘であるバイザクを誑かし、拉致をしようと画策していた事が我がヴェスプッチの手により判明した。多くの者がこの海賊の手下である白クマに連れられている姿を見ただろう!」
船長は何も言わない。シャチのほうが誰が誑かしただって、と思わず怒鳴りそうになったが、ペンギンに口を塞がれた。何すんだよ、と言おうとしてペンギンを見上げれば、防寒帽の影から見える目が鋭くなっていることに気付いて口ごもる。
怒っている時の目だ。
ヴェスプッチの演説を聞いていた周囲の人が数人、何処かに知らせへ向かうように走っていった。
「我らが相談役のいない今、バイザクの存在は彼の存在を信ずる唯一のもの! そんな彼女を攫おうとした愚か者達を許せるか諸君!?」
ヴェスプッチが言い切って満足そうに周囲を見回す。ジャンバールやジャンバールの傍にいるクローム達は黙っていて、その肩へさっきまではペンギンの肩へ留まっていたフクロウが舞い降りた。
長刀を抱えなおした船長が、おもむろに口を開く。
「言いたい戯言は、それだけか?」
「な、なんだとっ……」
「オレとオレのクルーは、そんな下らねえ冗談を聞かされる為だけに襲撃されたのかと聞いている」
「襲撃された? したの間違いであろう?」
「なら何処を襲撃されたんだ? 言っとくが、事前に防いだなんてたわ言は受け付けねえ。それは『事前』である段階で襲撃じゃねえからな」
「ハッ、それこそ詭弁……」
「トラファルガー。もういい」
ペンギンがシャチを押さえていた手を放して、前へと進み出た。
「出たな! 『死の外科医』トラファルガー・ロー!」
船長に気付いて振り返ったヴェスプッチが、勝ち誇ったようにがなり立てた。周囲で壁を作って見物していた島民達がざわめき立つ。
「コイツは懸賞金四億の賞金首だ! 先日世間を騒がせた『ロッキーポート事件』の首謀者だとも言われている。そんな危険人物を我々の島へ入れてよいのか、諸君、どう思うか!」
何を言ってるんだコイツとシャチは思ったものの、すぐ傍から『確かに、そうなのかな』と不安の滲む声が聞こえてギクリとした。確かに船長は億越えで、それだけの賞金を掛けられるような行為だって今まで確かにしてきたが、だからといってこの島では何もしていない。
していないから怖くない、というのも変な話だけれど、こんな風に不安を煽るのもおかしいとは思う。船長はヴェスプッチの言葉など気にした様子もなく肩を竦めていた。
「しかも入れたのは次期後継者候補ツナヨシだぞ。これはこの国へ対する反逆行為に他ならないだろう! 超直感の名を汚す行為とも言っていい。超直感がもたらす信頼を逆手に取りこうして汚らしい海賊をこの島へ入れ、我々の平穏を脅かそうとしているのだから!」
ツナヨシと言われて周囲の視線を受けた青年は黙ってヴェスプッチの話を聞いている。反論も何もしないことに、シャチは自分のことではないのに怒れよと思った。
ペンギンが口元を押さえて咳き込んでいる。フクロウがそんなペンギンの肩へと留まった。
「更には! この穢れた海賊共は我らが相談役の娘であるバイザクを誑かし、拉致をしようと画策していた事が我がヴェスプッチの手により判明した。多くの者がこの海賊の手下である白クマに連れられている姿を見ただろう!」
船長は何も言わない。シャチのほうが誰が誑かしただって、と思わず怒鳴りそうになったが、ペンギンに口を塞がれた。何すんだよ、と言おうとしてペンギンを見上げれば、防寒帽の影から見える目が鋭くなっていることに気付いて口ごもる。
怒っている時の目だ。
ヴェスプッチの演説を聞いていた周囲の人が数人、何処かに知らせへ向かうように走っていった。
「我らが相談役のいない今、バイザクの存在は彼の存在を信ずる唯一のもの! そんな彼女を攫おうとした愚か者達を許せるか諸君!?」
ヴェスプッチが言い切って満足そうに周囲を見回す。ジャンバールやジャンバールの傍にいるクローム達は黙っていて、その肩へさっきまではペンギンの肩へ留まっていたフクロウが舞い降りた。
長刀を抱えなおした船長が、おもむろに口を開く。
「言いたい戯言は、それだけか?」
「な、なんだとっ……」
「オレとオレのクルーは、そんな下らねえ冗談を聞かされる為だけに襲撃されたのかと聞いている」
「襲撃された? したの間違いであろう?」
「なら何処を襲撃されたんだ? 言っとくが、事前に防いだなんてたわ言は受け付けねえ。それは『事前』である段階で襲撃じゃねえからな」
「ハッ、それこそ詭弁……」
「トラファルガー。もういい」
ペンギンがシャチを押さえていた手を放して、前へと進み出た。