故郷の話
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ベポ視点
バイザクは優しい子だとベポは思う。喋る白クマであるベポを最初に驚きこそすれ怖がることなく、しかも堂々と『友達』だと言い切ってくれた。
勿論キャプテンやシャチ達もやさしい。けれども彼等は『仲間』であって『友達』じゃなかった。兼用はしてくれるけど、やっぱり何か違う。
少しペンギンに似ている気がしたのは、実は意外と強情で『他人思い』だからだろうか。
そんなバイザクを連れて、ベポは走っていた。
撃たれた腕が痛い。弾が掠っただけだけれど血は止まっていなくて、ベポの白い毛並みがどんどん赤くなっていく。繋いだ手の先にいるバイザクは、時々進行方向のどちらが危ないかを教えてくれるけれど、『女の子』だからかあんまり足は速くない。
ペンギンが戦っていた崖の上で、ベポとバイザクは襲撃者の死角から出ようと、船長達から離れて少し森の奥へ移動した。岩場を回りこむよりは森の中を進んだ方が足元は危なくなかったし、挟み撃ちに出来るとも思ったのだ。
けれども森の中には、ベポ達と同じ様に追いかけてきたのか襲撃者と同じ格好の奴らが隠れていて、バイザクとベポに気付いて襲ってきたのである。
襲撃者の一人が『小娘は生け捕りにしろ! クマは殺せ!』と叫んでいたのは聞こえた。最初こそ障害物の多い森の中で接近戦に慣れているベポは優位に立てていたし、バイザクも護身の心得があるのかベポの目を逃れた襲撃者を倒していたけれど、途中から襲撃者達は『炎』を使い出したである。
この国特有の能力。その全貌をベポは知らなかった。
知っていたのは黄色い炎が怪我を治せるというくらいで、そんな分からない能力を使われて直ぐに形勢が逆転されてしまう。キャプテン達の元へ逃げるなり気付いてもらえるようにすれば良かったのだろうけれど、それは隠れていた襲撃者達の向こう側で、仕方なくベポは逃げることにしたのだ。
町へ戻れば流石に堂々と手を出してはこないと思った。
「っうわ!?」
目の前の地面が盛り上がったかと思うと、何かの植物の蔦が伸びてベポ達の進路を塞ぐ。どうしようと悩んだその一瞬に、背中へ衝撃が来た。
「ベポ!」
「わ、わ、何コレ……」
背中が痛いと思うと、青い炎が身体にまとわり付いている。毛が燃えているのだと思って慌てて叩き消そうと動かした腕が、動かし辛い。
「青の炎は『鎮静』。お前みたいな害獣には勿体無いな」
「メ、バイザク、逃げて」
男の声が聞こえてもバイザクに逃げるように促すのがやっとだった。ベポは立っていられなくなって地面に倒れる。
頭を踏まれたような気と、バイザクの声が聞こえたような気がした。
バイザクは優しい子だとベポは思う。喋る白クマであるベポを最初に驚きこそすれ怖がることなく、しかも堂々と『友達』だと言い切ってくれた。
勿論キャプテンやシャチ達もやさしい。けれども彼等は『仲間』であって『友達』じゃなかった。兼用はしてくれるけど、やっぱり何か違う。
少しペンギンに似ている気がしたのは、実は意外と強情で『他人思い』だからだろうか。
そんなバイザクを連れて、ベポは走っていた。
撃たれた腕が痛い。弾が掠っただけだけれど血は止まっていなくて、ベポの白い毛並みがどんどん赤くなっていく。繋いだ手の先にいるバイザクは、時々進行方向のどちらが危ないかを教えてくれるけれど、『女の子』だからかあんまり足は速くない。
ペンギンが戦っていた崖の上で、ベポとバイザクは襲撃者の死角から出ようと、船長達から離れて少し森の奥へ移動した。岩場を回りこむよりは森の中を進んだ方が足元は危なくなかったし、挟み撃ちに出来るとも思ったのだ。
けれども森の中には、ベポ達と同じ様に追いかけてきたのか襲撃者と同じ格好の奴らが隠れていて、バイザクとベポに気付いて襲ってきたのである。
襲撃者の一人が『小娘は生け捕りにしろ! クマは殺せ!』と叫んでいたのは聞こえた。最初こそ障害物の多い森の中で接近戦に慣れているベポは優位に立てていたし、バイザクも護身の心得があるのかベポの目を逃れた襲撃者を倒していたけれど、途中から襲撃者達は『炎』を使い出したである。
この国特有の能力。その全貌をベポは知らなかった。
知っていたのは黄色い炎が怪我を治せるというくらいで、そんな分からない能力を使われて直ぐに形勢が逆転されてしまう。キャプテン達の元へ逃げるなり気付いてもらえるようにすれば良かったのだろうけれど、それは隠れていた襲撃者達の向こう側で、仕方なくベポは逃げることにしたのだ。
町へ戻れば流石に堂々と手を出してはこないと思った。
「っうわ!?」
目の前の地面が盛り上がったかと思うと、何かの植物の蔦が伸びてベポ達の進路を塞ぐ。どうしようと悩んだその一瞬に、背中へ衝撃が来た。
「ベポ!」
「わ、わ、何コレ……」
背中が痛いと思うと、青い炎が身体にまとわり付いている。毛が燃えているのだと思って慌てて叩き消そうと動かした腕が、動かし辛い。
「青の炎は『鎮静』。お前みたいな害獣には勿体無いな」
「メ、バイザク、逃げて」
男の声が聞こえてもバイザクに逃げるように促すのがやっとだった。ベポは立っていられなくなって地面に倒れる。
頭を踏まれたような気と、バイザクの声が聞こえたような気がした。