原作前日常編
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ロー視点
島の奥から聞こえた爆音に、まだ早朝ともいえない時間だというのに木々から一斉に鳥が飛び上がる。空の一部を黒く染めるその集団が再び静まるのを待って、再び爆音。
あれだけ鳥が居たら、鳥の言葉が分かる奴なら情報収集も楽だろうなと思いながら、ローは操舵室へ居るバンダナへ指示を出す。
「“二つ目”が爆発したぞ」
『んじゃ、三つ目が爆発したら教えてください』
バンダナの声を掻き消すように、“三つ目”が爆発した。とうとう木々へ戻る事を止めて空をぐるぐると滞空し始めた鳥を確認し、バンダナへと合図を出してローも船内へと戻る。
海中で発射されたであろう魚雷が、真っ直ぐに白い泡で線を描きながら島の港へと向かっていく。暫くして港で起こった爆発による波の余波から逃げる様に、潜水艦は海へと潜って移動を始めた。
作戦内容は到ってシンプルで、屋敷と港を爆撃するだけである。しかし屋敷で先に爆発を起こすことによって、昨日の騒ぎで『逃げた海賊』の協力者が居たと思わせ、その容疑をあの兄妹へ被せるのだ。
無論この計画は穴だらけで、冷静になれば考える余地はいくらでもある。だがその冷静になる余地を与えずに全てを終わらせれば、混乱している最中には間違った認識さえ与えられるのだと、あの『ただの薬師』と名乗って憚らない副船長は言った。
作戦を考えろと言ったのはローだが、よくもまぁこんな作戦がすぐに考えられるものだ。
次の地点へと到達し再びシルビが指摘したポイントへ向けて魚雷を発射させる。緩い地盤へ直撃した魚雷によって、面白いほどに地面が陥没していくのが遠目でも分かった。あれでは数年はこの島の漁業自給率が下がるだろう。
「地形を上手く利用してますよねぇ」
「海賊なのに地形学に詳しいってどうなんだ?」
「何も知らずに固い地盤へ打ち込んで、魚雷無駄にするよりかはマシじゃねえですか」
とはいえ何故そんな事が出来るのか謎なのは変わりない。
「さて、停泊させる場所は何処でしたっけ?」
「爆破した港だ」
爆発の衝撃で黒煙が舞い上がる港の、比較的被害が少なかった場所へ漁師達が慌てて無事だった船を移動させている。その混乱に乗じて船を少し離れた場所へある岩場の影へと描くし船を停めた。
これから二人も上陸し、なるべく町民に『目撃されながら』屋敷へ向かわねばならない。何なら名乗っても大々的に暴れながらでもいいと言われているので、注文通りロー達に気付いて騒ぎ立てる町民達へ、ローとバンダナはそれぞれの武器を構えた。
島の奥から聞こえた爆音に、まだ早朝ともいえない時間だというのに木々から一斉に鳥が飛び上がる。空の一部を黒く染めるその集団が再び静まるのを待って、再び爆音。
あれだけ鳥が居たら、鳥の言葉が分かる奴なら情報収集も楽だろうなと思いながら、ローは操舵室へ居るバンダナへ指示を出す。
「“二つ目”が爆発したぞ」
『んじゃ、三つ目が爆発したら教えてください』
バンダナの声を掻き消すように、“三つ目”が爆発した。とうとう木々へ戻る事を止めて空をぐるぐると滞空し始めた鳥を確認し、バンダナへと合図を出してローも船内へと戻る。
海中で発射されたであろう魚雷が、真っ直ぐに白い泡で線を描きながら島の港へと向かっていく。暫くして港で起こった爆発による波の余波から逃げる様に、潜水艦は海へと潜って移動を始めた。
作戦内容は到ってシンプルで、屋敷と港を爆撃するだけである。しかし屋敷で先に爆発を起こすことによって、昨日の騒ぎで『逃げた海賊』の協力者が居たと思わせ、その容疑をあの兄妹へ被せるのだ。
無論この計画は穴だらけで、冷静になれば考える余地はいくらでもある。だがその冷静になる余地を与えずに全てを終わらせれば、混乱している最中には間違った認識さえ与えられるのだと、あの『ただの薬師』と名乗って憚らない副船長は言った。
作戦を考えろと言ったのはローだが、よくもまぁこんな作戦がすぐに考えられるものだ。
次の地点へと到達し再びシルビが指摘したポイントへ向けて魚雷を発射させる。緩い地盤へ直撃した魚雷によって、面白いほどに地面が陥没していくのが遠目でも分かった。あれでは数年はこの島の漁業自給率が下がるだろう。
「地形を上手く利用してますよねぇ」
「海賊なのに地形学に詳しいってどうなんだ?」
「何も知らずに固い地盤へ打ち込んで、魚雷無駄にするよりかはマシじゃねえですか」
とはいえ何故そんな事が出来るのか謎なのは変わりない。
「さて、停泊させる場所は何処でしたっけ?」
「爆破した港だ」
爆発の衝撃で黒煙が舞い上がる港の、比較的被害が少なかった場所へ漁師達が慌てて無事だった船を移動させている。その混乱に乗じて船を少し離れた場所へある岩場の影へと描くし船を停めた。
これから二人も上陸し、なるべく町民に『目撃されながら』屋敷へ向かわねばならない。何なら名乗っても大々的に暴れながらでもいいと言われているので、注文通りロー達に気付いて騒ぎ立てる町民達へ、ローとバンダナはそれぞれの武器を構えた。