故郷の話
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シャチ視点
フクロウに主張を押し通したバイザクの先導で向かった崖は、なるほど鍛えてもいない一般人では途中の森を抜ける事すら難しいだろう。所々に残されていた真新しい戦闘の跡は、良く見れば銃弾が木の幹に穿たれていたり、何か強い力で抉ったように消滅していたりと生々しい。場所によってはどうしてそうなったのかさえ分からないような傷跡さえ残っていた。
ペンギンが賞金こそ懸かっていないものの強いとは言え、風邪も治りきっていない状態で大丈夫だろうかと不安になるほどで、戦闘の現場が近付いてきたのか岩場から聞こえる騒音に、シャチは思わず船長を見る。
「船長」
呼べば船長が頷いた。飛び出すタイミングを見払うために隠れていた岩場から顔を出せば、猛獣の雄叫びが辺り一体に響き渡る。
思わず耳を押さえて身を竦ませるシャチは気にせず、ベポとバイザクが岩場を移動していった。多分あっちから出た方が不意をつけそうだと考えたのだろう。船長は何も言わずに岩場から争っているだろうペンギン達を見ていた。
その肩へフクロウが舞い降りる。シャチも岩場の影からペンギン達の姿を探した。
ペンギンはツナギの袖を撒くって構えている。その後ろにはつき従うように白いライオンが身を近付けていて、囲んでいる奴等を睨みつけていた。そいつ等の顔が、屋敷で見たヴェスプッチとかいう奴の取り巻きだと思い出して、シャチは声を出さないように手で塞いでから船長の肩に留まっているフクロウへと近付く。
「なぁなぁ、あいつ等ヴェスプッチとかって奴等の取り巻きじゃね?」
「あのゴミ屑をご存知でしたか」
「ゴミ……メシ食べる前に屋敷で煩いって怒鳴られたよ。バイザクのことも馬鹿にしてたし、あんまりいい奴じゃないとは思ったけど」
「正解ですよ。ばれてないと思っているようですが、外の下劣な奴等と親しくしているようですし。人身売買をしようとしている動きもあります」
吐き捨てるように言うムクロに、こいつヴェスプッチのこと大嫌いなんだなと思った。
ペンギンは時々咳き込みながら襲い掛かってくる奴等を捌いている。武器も持たずに全身だけで銃や鈍器による攻撃を避けては反撃をしている様は流石としか言いようが無い。
一人の相手も倒せない事に業を煮やしたのか、囲んでいる奴等の一人が手に嵌めている指輪へ炎を灯した。赤い色のその炎が、男の持っていた棍棒に燃え移ったかと思うとペンギンへ向けて振り下ろされる。避けたもののそれが振り下ろされた先の地面が丸く抉れるように消滅した。
「うそ!?」
「赤い炎の性質は『分解』です。あの棍棒に触れたらあの地面のように分解されますよ」
「いや、まだいける」
フクロウに主張を押し通したバイザクの先導で向かった崖は、なるほど鍛えてもいない一般人では途中の森を抜ける事すら難しいだろう。所々に残されていた真新しい戦闘の跡は、良く見れば銃弾が木の幹に穿たれていたり、何か強い力で抉ったように消滅していたりと生々しい。場所によってはどうしてそうなったのかさえ分からないような傷跡さえ残っていた。
ペンギンが賞金こそ懸かっていないものの強いとは言え、風邪も治りきっていない状態で大丈夫だろうかと不安になるほどで、戦闘の現場が近付いてきたのか岩場から聞こえる騒音に、シャチは思わず船長を見る。
「船長」
呼べば船長が頷いた。飛び出すタイミングを見払うために隠れていた岩場から顔を出せば、猛獣の雄叫びが辺り一体に響き渡る。
思わず耳を押さえて身を竦ませるシャチは気にせず、ベポとバイザクが岩場を移動していった。多分あっちから出た方が不意をつけそうだと考えたのだろう。船長は何も言わずに岩場から争っているだろうペンギン達を見ていた。
その肩へフクロウが舞い降りる。シャチも岩場の影からペンギン達の姿を探した。
ペンギンはツナギの袖を撒くって構えている。その後ろにはつき従うように白いライオンが身を近付けていて、囲んでいる奴等を睨みつけていた。そいつ等の顔が、屋敷で見たヴェスプッチとかいう奴の取り巻きだと思い出して、シャチは声を出さないように手で塞いでから船長の肩に留まっているフクロウへと近付く。
「なぁなぁ、あいつ等ヴェスプッチとかって奴等の取り巻きじゃね?」
「あのゴミ屑をご存知でしたか」
「ゴミ……メシ食べる前に屋敷で煩いって怒鳴られたよ。バイザクのことも馬鹿にしてたし、あんまりいい奴じゃないとは思ったけど」
「正解ですよ。ばれてないと思っているようですが、外の下劣な奴等と親しくしているようですし。人身売買をしようとしている動きもあります」
吐き捨てるように言うムクロに、こいつヴェスプッチのこと大嫌いなんだなと思った。
ペンギンは時々咳き込みながら襲い掛かってくる奴等を捌いている。武器も持たずに全身だけで銃や鈍器による攻撃を避けては反撃をしている様は流石としか言いようが無い。
一人の相手も倒せない事に業を煮やしたのか、囲んでいる奴等の一人が手に嵌めている指輪へ炎を灯した。赤い色のその炎が、男の持っていた棍棒に燃え移ったかと思うとペンギンへ向けて振り下ろされる。避けたもののそれが振り下ろされた先の地面が丸く抉れるように消滅した。
「うそ!?」
「赤い炎の性質は『分解』です。あの棍棒に触れたらあの地面のように分解されますよ」
「いや、まだいける」