故郷の話
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ロー視点
「あ、間違えた! 船が襲撃されて、ペンギンがライオンと一緒に囮に!」
「全然違うじゃん! ってかライオン!?」
「ライオンとは白いライオンですか?」
「フクロウが喋った!?」
「いいから答えろ」
「は、はいっ! 白くてでかくて、なんか虎みたいな縞模様でした」
「ライガーだっけ? ペンギンが言ってたヤツ」
「オレの匂い嗅いでたヤツだよ!」
シャチやベポが背後で煩いが、ライオンに心当たりがあるらしいフクロウとクローム、それにバイザクを見れば、一匹と二人は戸惑いの色を浮かべている。
「襲撃者は」
「ペンギンとライオンが上手く船から引き剥がしてくれて。でも何処に行ったかまでは」
「フクロウ屋。クローム屋。心当たりはあるか?」
「ボスや九代目に確認をとってみないと」
「無いんだな」
クロームには心当たりが無いらしい。ローとしてもこの島で問題を起こした覚えはなく、クルー達が問題を起こしたとも聞いていなかった。
些細な事でも報告してくる奴等だし報告する相手がローでなくとも、最終的にはローか副船長であるペンギンに集まる。そしてペンギンであれば報告が必要なものであるなら、そのクルーがローへ報告しているいないに関わらず、話を聞けばローへ告げに来るはずだ。それは病気であろうと変わらない。
となると、こちらが何もしていない状態で手を出してきたか。
「ペンギンが向かった方角は分かるか」
「はい。船から北西の方角です」
「そっちには崖があります。危険だから地元の人はあまり近付きません」
バイザクの説明を聞いて、ペンギンが故意にその方向へ向かったのだろうと考える。この国の出身だから地理にも詳しいはずだ。
「ジャンバール、こいつと一緒に船へ戻れ。シャチとベポは一緒に来い」
「アイアイ、キャプテン!」
「クローム。バイザクと屋敷へ戻ってツナヨシへ報告なさい。ボクは彼等を崖に……」
「崖までは私が案内できます!」
叫んだバイザクを振り返れば、バイザクは両手を握り締めてロー達を見ていた。
「バイザク! 貴方は危ないですからクロームと一緒に屋敷へ戻りなさい」
「そうよバイザク。怪我したらシルビが怒るわ」
「イヤです。私の友達の船が襲われたんです!」
今にも泣きそうになって主張するバイザクに、ローは彼女がロボットである事を一瞬忘れる。
ローの考える機械はこんな感情など持っていない。シャボンティ諸島で遭遇したバーソロミュー・クマの偽物サイボーグだってこんなにも知的であった様子は無く、もっと人工物的で規則的で、不気味でさえあった。なのに眼の前に居る『少女』は、自分で考え憤り『友達』であるベポのことを考えている。
いったいどうすれば、こんな『誰かを想える人工物』が造れるのか。
「そんなところを、父親に似る必要はないというのに」
フクロウが困り果てたように呟いた。
「あ、間違えた! 船が襲撃されて、ペンギンがライオンと一緒に囮に!」
「全然違うじゃん! ってかライオン!?」
「ライオンとは白いライオンですか?」
「フクロウが喋った!?」
「いいから答えろ」
「は、はいっ! 白くてでかくて、なんか虎みたいな縞模様でした」
「ライガーだっけ? ペンギンが言ってたヤツ」
「オレの匂い嗅いでたヤツだよ!」
シャチやベポが背後で煩いが、ライオンに心当たりがあるらしいフクロウとクローム、それにバイザクを見れば、一匹と二人は戸惑いの色を浮かべている。
「襲撃者は」
「ペンギンとライオンが上手く船から引き剥がしてくれて。でも何処に行ったかまでは」
「フクロウ屋。クローム屋。心当たりはあるか?」
「ボスや九代目に確認をとってみないと」
「無いんだな」
クロームには心当たりが無いらしい。ローとしてもこの島で問題を起こした覚えはなく、クルー達が問題を起こしたとも聞いていなかった。
些細な事でも報告してくる奴等だし報告する相手がローでなくとも、最終的にはローか副船長であるペンギンに集まる。そしてペンギンであれば報告が必要なものであるなら、そのクルーがローへ報告しているいないに関わらず、話を聞けばローへ告げに来るはずだ。それは病気であろうと変わらない。
となると、こちらが何もしていない状態で手を出してきたか。
「ペンギンが向かった方角は分かるか」
「はい。船から北西の方角です」
「そっちには崖があります。危険だから地元の人はあまり近付きません」
バイザクの説明を聞いて、ペンギンが故意にその方向へ向かったのだろうと考える。この国の出身だから地理にも詳しいはずだ。
「ジャンバール、こいつと一緒に船へ戻れ。シャチとベポは一緒に来い」
「アイアイ、キャプテン!」
「クローム。バイザクと屋敷へ戻ってツナヨシへ報告なさい。ボクは彼等を崖に……」
「崖までは私が案内できます!」
叫んだバイザクを振り返れば、バイザクは両手を握り締めてロー達を見ていた。
「バイザク! 貴方は危ないですからクロームと一緒に屋敷へ戻りなさい」
「そうよバイザク。怪我したらシルビが怒るわ」
「イヤです。私の友達の船が襲われたんです!」
今にも泣きそうになって主張するバイザクに、ローは彼女がロボットである事を一瞬忘れる。
ローの考える機械はこんな感情など持っていない。シャボンティ諸島で遭遇したバーソロミュー・クマの偽物サイボーグだってこんなにも知的であった様子は無く、もっと人工物的で規則的で、不気味でさえあった。なのに眼の前に居る『少女』は、自分で考え憤り『友達』であるベポのことを考えている。
いったいどうすれば、こんな『誰かを想える人工物』が造れるのか。
「そんなところを、父親に似る必要はないというのに」
フクロウが困り果てたように呟いた。