故郷の話
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ロー視点
「理由は」
ローの視線を受けてもフクロウの表情は変わらない。
「そこの大きな方が仰いましたね。ボクの能力のことを『ペンギンに聞いた』と。ですがボクの能力は、一般国民には知られていないモノなんです」
「『炎』の力じゃないのか」
「プラスアルファ、ですかね。民衆は『炎』の更なる使い方さえ知らない。ですが幹部格は、そこのクロームも含め、『炎』を使っての戦い方を心得ている。その戦い方の一つだと思ってください」
「つまり、それを知っているペンギンは『何者か』と」
クロームは自分の事を『幻術師』だと言った。つまりこのムクロが言っている事もそれに近いか更に上位に当たる炎の利用法なのだろう。それはローにも理解できた。
そして恐らく民衆がそこまでの『炎の使い方』は知らされていないことも理解できる。民衆に力を持たせない為だ。
過ぎた力は国に対する反抗精神を生みやすい。今のところこの国ではそんな問題は無さそうに思えるが、備えるに越した事はないのだろう。
「で、でもペンギンはこの国の出身だってっ!」
後ろでシャチが主張するが、それでもペンギンが怪しい事には変わりない。
「出身。ではその方はこの国のどの島の出身で、どの炎の使い手かご存知ですか?」
「そこまでは、聞いてないけど」
「何歳くらいですか?」
「二十代前半だ」
聞いていたクロームがハッとした表情になる。
「島を出て行く者は少ないですから、殆どの名前を覚えているつもりですが、生憎そのような名前の方は……」
首を振るムクロに、ローは説明が足りないのだと気付いていたものの、言ったところで分かるのかどうかが判断できなかった。
何故ならクロームが言ったのだ。『千年前の建国当時にいた人の名前だから、皆が知っている』と。
ペンギンがローへ『シルビ』と名乗っていたからといって、それが本名である確証は無い。当初はローを麻薬取引の手引き人かとさえ思っていた奴だ。用心して偽名を名乗り、それが今まで訂正されていない可能性だってある。
しかしここで妙な疑いを掛けられるのも、ハートにとってもペンギンにとっても迷惑だろう。
「フクロウ屋。アイツは今風邪を引いていて船から降りてない。だが話をする程度なら出来る」
「フクロウ屋ってボクのことですかトラファルガー船長。……そうですね、それでしたらフクロウではなくクロームに」
「せんちょぉー!」
ムクロの声を遮るように聞こえたクルーの声に振り返れば、船で見張り番をしていたはずのクルーが息を切らせて走ってくるところだった。ローの目の前まで来て必死に呼吸を整え、顔を上げる。
港からずっと走ってきただけにしては、着ているツナギに切られたような擦れたような穴が開いていた。
「ペ、ペンギンがライオンに連れてかれましたっ!」
「理由は」
ローの視線を受けてもフクロウの表情は変わらない。
「そこの大きな方が仰いましたね。ボクの能力のことを『ペンギンに聞いた』と。ですがボクの能力は、一般国民には知られていないモノなんです」
「『炎』の力じゃないのか」
「プラスアルファ、ですかね。民衆は『炎』の更なる使い方さえ知らない。ですが幹部格は、そこのクロームも含め、『炎』を使っての戦い方を心得ている。その戦い方の一つだと思ってください」
「つまり、それを知っているペンギンは『何者か』と」
クロームは自分の事を『幻術師』だと言った。つまりこのムクロが言っている事もそれに近いか更に上位に当たる炎の利用法なのだろう。それはローにも理解できた。
そして恐らく民衆がそこまでの『炎の使い方』は知らされていないことも理解できる。民衆に力を持たせない為だ。
過ぎた力は国に対する反抗精神を生みやすい。今のところこの国ではそんな問題は無さそうに思えるが、備えるに越した事はないのだろう。
「で、でもペンギンはこの国の出身だってっ!」
後ろでシャチが主張するが、それでもペンギンが怪しい事には変わりない。
「出身。ではその方はこの国のどの島の出身で、どの炎の使い手かご存知ですか?」
「そこまでは、聞いてないけど」
「何歳くらいですか?」
「二十代前半だ」
聞いていたクロームがハッとした表情になる。
「島を出て行く者は少ないですから、殆どの名前を覚えているつもりですが、生憎そのような名前の方は……」
首を振るムクロに、ローは説明が足りないのだと気付いていたものの、言ったところで分かるのかどうかが判断できなかった。
何故ならクロームが言ったのだ。『千年前の建国当時にいた人の名前だから、皆が知っている』と。
ペンギンがローへ『シルビ』と名乗っていたからといって、それが本名である確証は無い。当初はローを麻薬取引の手引き人かとさえ思っていた奴だ。用心して偽名を名乗り、それが今まで訂正されていない可能性だってある。
しかしここで妙な疑いを掛けられるのも、ハートにとってもペンギンにとっても迷惑だろう。
「フクロウ屋。アイツは今風邪を引いていて船から降りてない。だが話をする程度なら出来る」
「フクロウ屋ってボクのことですかトラファルガー船長。……そうですね、それでしたらフクロウではなくクロームに」
「せんちょぉー!」
ムクロの声を遮るように聞こえたクルーの声に振り返れば、船で見張り番をしていたはずのクルーが息を切らせて走ってくるところだった。ローの目の前まで来て必死に呼吸を整え、顔を上げる。
港からずっと走ってきただけにしては、着ているツナギに切られたような擦れたような穴が開いていた。
「ペ、ペンギンがライオンに連れてかれましたっ!」