故郷の話
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
シャチ視点
老婆に勧められた食堂で昼食をとろうと注文した料理を待っていたら、船長が眼帯をした女の人を伴って入ってきた。
「船長! ナンパっすか?」
「違うに決まってるだろ」
「白クマ……!」
やはりベポを見て目を輝かせる女の人に、船長はシャチ達との相席にする。
「ここの領主候補の部下だ。ちょっと借りてる。……そっちは?」
「クロームさん。ベポです。友達です」
「フワフワ……触ってもいい?」
どうやらバイザクの知り合いらしい女の人は、ベポに許可を求めてからその毛並みへ触れて目元を緩めていた。
船長といいベポといい、どうしてモコモコしてる人達ばっかり女性と縁があるのだろうとちょっと悲しくなる。シャチなんて老婆か子供か、ライオンにしか近付かれていない。あとフクロウ。
「ベポの友達だって船長。バイザク、この人がオレ達の船長だよ」
「私はバイザクです。『船長』というのは初めて見ますが、お父さんから話を聞いた事はあります」
船長を見つめて首を傾げるバイザクに、船長はちょっと笑った。愛想が良いなと思ったが、多分ベポの友達だと聞いたからだろう。
「お前の父親は何て言ってた?」
「『俺のあった事のある海賊の船長は数人いるが、誰もが自分の船を大事にしていた』と」
「いい事言う父親だな」
「シルビは優しい人だから。皆の『お兄さん』みたいな人なの」
ベポの毛並みを堪能していたクロームと言うらしい女の人が口を挟む。ベポに触らせてくれたお礼を言って座り直した彼女に、船長が尋ねた。
「『シルビ』?」
「バイザクのお父さん。この国の相談役とか、領主間の仲介とかをしてたんだけれど、数年前に島の外に」
老婆も言っていた名前で、やはりシャチは聞き覚えがあるのだがどうにも思い出せない。凄く身近な人の声で聞いた気がするのだが、それが誰だったのかも分からなかった。
「そんな重要な立場の者が、島の外へ出て平気なのか?」
「領主間の関係は今のところ良好だから。それにあまり自由を束縛してもよくないから」
「お父さんは風のような人ですから。風は止めることが出来ないでしょう?」
そう言うバイザクに、それでも父親がいないって寂しいんじゃないのかと思う。シャチなんかペンギンが一緒に島を降りられないだけで、何となく物足りないような気さえしているのだ。
もう少し子供の事を考えてやれと、会った事も無いバイザクの父親に対して注意したくなる。それにしても、娘にまで『風のような』と評されるからには、きっと自由奔放な奴なのだろうと思った。
料理が運ばれてくる。バイザクは注文しなかったから、シャチとジャンバールとベポの三人分。
老婆に勧められた食堂で昼食をとろうと注文した料理を待っていたら、船長が眼帯をした女の人を伴って入ってきた。
「船長! ナンパっすか?」
「違うに決まってるだろ」
「白クマ……!」
やはりベポを見て目を輝かせる女の人に、船長はシャチ達との相席にする。
「ここの領主候補の部下だ。ちょっと借りてる。……そっちは?」
「クロームさん。ベポです。友達です」
「フワフワ……触ってもいい?」
どうやらバイザクの知り合いらしい女の人は、ベポに許可を求めてからその毛並みへ触れて目元を緩めていた。
船長といいベポといい、どうしてモコモコしてる人達ばっかり女性と縁があるのだろうとちょっと悲しくなる。シャチなんて老婆か子供か、ライオンにしか近付かれていない。あとフクロウ。
「ベポの友達だって船長。バイザク、この人がオレ達の船長だよ」
「私はバイザクです。『船長』というのは初めて見ますが、お父さんから話を聞いた事はあります」
船長を見つめて首を傾げるバイザクに、船長はちょっと笑った。愛想が良いなと思ったが、多分ベポの友達だと聞いたからだろう。
「お前の父親は何て言ってた?」
「『俺のあった事のある海賊の船長は数人いるが、誰もが自分の船を大事にしていた』と」
「いい事言う父親だな」
「シルビは優しい人だから。皆の『お兄さん』みたいな人なの」
ベポの毛並みを堪能していたクロームと言うらしい女の人が口を挟む。ベポに触らせてくれたお礼を言って座り直した彼女に、船長が尋ねた。
「『シルビ』?」
「バイザクのお父さん。この国の相談役とか、領主間の仲介とかをしてたんだけれど、数年前に島の外に」
老婆も言っていた名前で、やはりシャチは聞き覚えがあるのだがどうにも思い出せない。凄く身近な人の声で聞いた気がするのだが、それが誰だったのかも分からなかった。
「そんな重要な立場の者が、島の外へ出て平気なのか?」
「領主間の関係は今のところ良好だから。それにあまり自由を束縛してもよくないから」
「お父さんは風のような人ですから。風は止めることが出来ないでしょう?」
そう言うバイザクに、それでも父親がいないって寂しいんじゃないのかと思う。シャチなんかペンギンが一緒に島を降りられないだけで、何となく物足りないような気さえしているのだ。
もう少し子供の事を考えてやれと、会った事も無いバイザクの父親に対して注意したくなる。それにしても、娘にまで『風のような』と評されるからには、きっと自由奔放な奴なのだろうと思った。
料理が運ばれてくる。バイザクは注文しなかったから、シャチとジャンバールとベポの三人分。