故郷の話
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ロー視点
「『超直感』とは、ボンゴレの血族が持つただの勘よ」
紅茶へ角砂糖を落とす目の前の老人に、ローは糖分を取りすぎだと思う。今入れた砂糖で四つ目となれば、飽和状態で紅茶に溶けずカップの底が酷いことになっていそうだ。
しかし老人はそんな事は気にせずにかき混ぜる。
「ヒヒヒ。若いの。知ったところで特に意味も無いことじゃとワシは思うぞ?」
「その判断はオレがする。『超直感』ってのは悪魔の実の能力とも違うのか」
「新世界を往く者には『見聞色の覇気』と呼ばれる能力を持つ者が居る。超直感は或いはその類じゃろうて。言葉にすれば単純明快。『勘のいい者』というだけじゃ」
「『勘』?」
「例えば、そうじゃの……一分後に人が死ぬとしよう。事故じゃ。しかしてお主はそれをどの段階で知る事ができる?」
「……起きそうな現場を見たらじゃねえのか」
「超直感を持つ者達は、朝目覚めてから、下手すれば前の日から『明日は事故が起こりそうな気がする』と悟る」
資料室で手伝いをしてくれていた、クロームと名乗った女がお茶菓子を運んできた。その菓子へ手を伸ばした昨日の老人は、布の巻かれていて見えないはずの目で正確に茶菓子の位置を捉えて手に取っている。
「異常なまでに『勘』がいい。それだけに尽きるのよ」
「未来予知?」
「ヒッヒッヒ! それはジッリョネロの娘よ。ボンゴレは自然に受け入れてしまう。昨日十代目が言っていたであろう? 『悪い人じゃないから大丈夫』じゃとなあ」
昨日の屋敷の前での出来事を思い出して、ローはあの時感じた違和感の原因に気付いた。あの時ツナヨシは初対面であるローが海賊だと知っても、既に『大丈夫な相手である』と認識して話していたのである。その根拠も何も無かったというのにだ。
相手に敵意が無いかの即時判断。
『超直感』というのはそういう事が出来る能力でもあるのだろう。という事は、潜水艦であれ船であれ、その船にも乗る者達が島へ害を為すかどうかもそうして判断してきたということか。
「無論それ以外の審査だってしておろう。しかして相手の船へ乗り込むよりは互いに損も得も無い。損得を考えて欲張れば使えなくなる力だとも言われておる」
「でもボスはそんな事ない」
「そうじゃのうクローム。十代目は初代に匹敵する『善人』じゃ。彼奴が領主になるのが楽しみでならんわ」
特徴的な笑い声を上げる老人とは逆にクロームは目を伏せる。ツナヨシが領主になるに当たって他にも候補がいるようだから、何か問題でもあるのかもしれない。
開けられた窓からベポの声が聞こえたような気がした。紅茶に口を付けると大分美味い。
「『超直感』とは、ボンゴレの血族が持つただの勘よ」
紅茶へ角砂糖を落とす目の前の老人に、ローは糖分を取りすぎだと思う。今入れた砂糖で四つ目となれば、飽和状態で紅茶に溶けずカップの底が酷いことになっていそうだ。
しかし老人はそんな事は気にせずにかき混ぜる。
「ヒヒヒ。若いの。知ったところで特に意味も無いことじゃとワシは思うぞ?」
「その判断はオレがする。『超直感』ってのは悪魔の実の能力とも違うのか」
「新世界を往く者には『見聞色の覇気』と呼ばれる能力を持つ者が居る。超直感は或いはその類じゃろうて。言葉にすれば単純明快。『勘のいい者』というだけじゃ」
「『勘』?」
「例えば、そうじゃの……一分後に人が死ぬとしよう。事故じゃ。しかしてお主はそれをどの段階で知る事ができる?」
「……起きそうな現場を見たらじゃねえのか」
「超直感を持つ者達は、朝目覚めてから、下手すれば前の日から『明日は事故が起こりそうな気がする』と悟る」
資料室で手伝いをしてくれていた、クロームと名乗った女がお茶菓子を運んできた。その菓子へ手を伸ばした昨日の老人は、布の巻かれていて見えないはずの目で正確に茶菓子の位置を捉えて手に取っている。
「異常なまでに『勘』がいい。それだけに尽きるのよ」
「未来予知?」
「ヒッヒッヒ! それはジッリョネロの娘よ。ボンゴレは自然に受け入れてしまう。昨日十代目が言っていたであろう? 『悪い人じゃないから大丈夫』じゃとなあ」
昨日の屋敷の前での出来事を思い出して、ローはあの時感じた違和感の原因に気付いた。あの時ツナヨシは初対面であるローが海賊だと知っても、既に『大丈夫な相手である』と認識して話していたのである。その根拠も何も無かったというのにだ。
相手に敵意が無いかの即時判断。
『超直感』というのはそういう事が出来る能力でもあるのだろう。という事は、潜水艦であれ船であれ、その船にも乗る者達が島へ害を為すかどうかもそうして判断してきたということか。
「無論それ以外の審査だってしておろう。しかして相手の船へ乗り込むよりは互いに損も得も無い。損得を考えて欲張れば使えなくなる力だとも言われておる」
「でもボスはそんな事ない」
「そうじゃのうクローム。十代目は初代に匹敵する『善人』じゃ。彼奴が領主になるのが楽しみでならんわ」
特徴的な笑い声を上げる老人とは逆にクロームは目を伏せる。ツナヨシが領主になるに当たって他にも候補がいるようだから、何か問題でもあるのかもしれない。
開けられた窓からベポの声が聞こえたような気がした。紅茶に口を付けると大分美味い。