故郷の話
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ジャンバール視点
「これはこれはバイザク様。そんなよそ者と居られるとは思っておりませんでしたもので、よそ者の仲間の小汚い小娘かと」
「彼等は海賊です。海賊は『海上で己が誇りの為に生きる者』とお父さんより教わりました。決してよそ者と見下す相手ではありません」
子供が怯えて老婆にしがみ付いている。ベポと一緒に来たバイザクという少女はあの男達のことを知っているようで、果敢にも言い返していた。
シャチとベポはジャンバール同様黙って見守っている。今ここで口を挟んでも上手く論破できるとは思えないし、かといって武器や手を出してしまえばもっと悪い。それはハートの海賊団とバイザクとの両方に泥を塗る行為だ。
「そのお父上はもう長年帰ってきておりませんが、その『海賊』に殺されてしまったのでは?」
「お父さんは死んでいません」
「ほう? 何故断言できるのかお聞きしても? 消息不明のお父上を信じるのも結構ですが、それなら早く帰ってくるようにと伝えていただきたいものですな」
「……お父さんは、戻ってきたところで貴方のような方を選別するとは思いません」
「それは貴方のお父上次第でしょうな」
バイザクを見下すように見つめていた男は、話す事はもう無いとばかりに歩き出し、取り巻きの護衛を連れて去っていく。その姿が見えなくなってから、ジャンバールはそっと溜め息を吐いた。
あれは、天竜人に似ている。自分以外の人間を全て下に見て、何をされようと何をしようと自分が正しいのだと、自分が世界の中心だとでも言わんばかりの目をしていた。
「にょおん」
「ウリ。大丈夫です」
シャチのキャスケットからバイザクの肩へ移動して鳴いた猫を、バイザクの手が撫でる。ウリという名前らしいその猫は、一頻り撫でられるとバイザクの肩からも降りてするりと建物へと入っていった。
「何なんだよ! アイツ!」
憤慨するシャチも尤もだ。子供の頭を撫でていた老婆が男達の去って行ったほうを眺め、口を開く。
「あの方はヴェスプッチ様と言いましてな、十代目ボンゴレ領主候補の一人なのですよ」
「ボンゴレ……この島か」
「ええ。ボンゴレの領主は世襲制でして、ほとんど『ツナヨシ』様に決まっているのですが、相談役であらせられるバイザク様のお父上、『シルビ』様がいないのをいい事に『自分が次期領主になるのだ』と」
淡々といっているつもりだったのだろうが、老婆の声はそれがイヤでならないという色が滲んでいた。確かにあんな男が領主になれば、こんな穏やかな島ではなくなるだろう。
ふとシャチが首を傾げて何かを思い出そうとしていることに気付く。
「どうした?」
「ん、んー、どっかで『シルビ』って聞いた事ある気が……」
「これはこれはバイザク様。そんなよそ者と居られるとは思っておりませんでしたもので、よそ者の仲間の小汚い小娘かと」
「彼等は海賊です。海賊は『海上で己が誇りの為に生きる者』とお父さんより教わりました。決してよそ者と見下す相手ではありません」
子供が怯えて老婆にしがみ付いている。ベポと一緒に来たバイザクという少女はあの男達のことを知っているようで、果敢にも言い返していた。
シャチとベポはジャンバール同様黙って見守っている。今ここで口を挟んでも上手く論破できるとは思えないし、かといって武器や手を出してしまえばもっと悪い。それはハートの海賊団とバイザクとの両方に泥を塗る行為だ。
「そのお父上はもう長年帰ってきておりませんが、その『海賊』に殺されてしまったのでは?」
「お父さんは死んでいません」
「ほう? 何故断言できるのかお聞きしても? 消息不明のお父上を信じるのも結構ですが、それなら早く帰ってくるようにと伝えていただきたいものですな」
「……お父さんは、戻ってきたところで貴方のような方を選別するとは思いません」
「それは貴方のお父上次第でしょうな」
バイザクを見下すように見つめていた男は、話す事はもう無いとばかりに歩き出し、取り巻きの護衛を連れて去っていく。その姿が見えなくなってから、ジャンバールはそっと溜め息を吐いた。
あれは、天竜人に似ている。自分以外の人間を全て下に見て、何をされようと何をしようと自分が正しいのだと、自分が世界の中心だとでも言わんばかりの目をしていた。
「にょおん」
「ウリ。大丈夫です」
シャチのキャスケットからバイザクの肩へ移動して鳴いた猫を、バイザクの手が撫でる。ウリという名前らしいその猫は、一頻り撫でられるとバイザクの肩からも降りてするりと建物へと入っていった。
「何なんだよ! アイツ!」
憤慨するシャチも尤もだ。子供の頭を撫でていた老婆が男達の去って行ったほうを眺め、口を開く。
「あの方はヴェスプッチ様と言いましてな、十代目ボンゴレ領主候補の一人なのですよ」
「ボンゴレ……この島か」
「ええ。ボンゴレの領主は世襲制でして、ほとんど『ツナヨシ』様に決まっているのですが、相談役であらせられるバイザク様のお父上、『シルビ』様がいないのをいい事に『自分が次期領主になるのだ』と」
淡々といっているつもりだったのだろうが、老婆の声はそれがイヤでならないという色が滲んでいた。確かにあんな男が領主になれば、こんな穏やかな島ではなくなるだろう。
ふとシャチが首を傾げて何かを思い出そうとしていることに気付く。
「どうした?」
「ん、んー、どっかで『シルビ』って聞いた事ある気が……」